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パート・アルバイトの社会保険加入条件とは?106万円の壁や2026年法改正ポイントを解説

パート・アルバイトの社会保険は、「加入対象になるのか」「扶養内で働けるのか」といった疑問が多いテーマです。特に近年は、短時間労働者への社会保険適用拡大が進み、「106万円の壁」や企業規模要件の見直しが注目されています。

この記事では、現行の加入条件を整理したうえで、2026年に向けた制度改正のポイントや実務上の注意点をわかりやすく解説します。

パート社員も社会保険加入の対象になる

パートやアルバイトは社会保険に加入しなくてもよい、というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、現在法改正によって加入が必要となるケースが増えています。パート・アルバイトであっても、一定の条件を満たせば社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象となります

従来は、社会保険は正規雇用者を中心とした制度でしたが、非正規労働者の増加や高齢化社会への対応から、現在は短時間労働者への適用拡大が段階的に進められています。まずは現行の加入条件を正しく把握し、そのうえで今後の法改正が何を変えるのかを整理していきましょう。

パート社員の社会保険加入条件とは

パート社員が社会保険に加入するためには、「従業員数51人以上の企業」において、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 週の勤務時間が20時間以上
  • 給与が月額88,000円以上
  • 2ヵ月を超えて働く予定がある
  • 学生ではない

パート社員の社会保険加入条件

出典:社会保険適用拡大特設サイト|厚生労働省

これらの条件は、いずれか1つでも該当しない場合は加入対象外となります。
ただし、週30時間以上働くパート社員の場合は、「従業員数50人以下」の企業であっても加入対象となる点に注意が必要です。

ここでは2026年3月時点の社会保険加入条件を解説します。加入条件のうち「従業員数51人以上」の基準は法改正予定となっているため、現行制度とあわせて将来の動向も理解しておくことが重要です。
それでは、それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。

従業員数51人以上の企業

現行制度では、従業員数51人以上の企業が社会保険適用拡大の対象となっています。ここでいう従業員数とは、「社会保険の被保険者数」を指します。

従業員数50人以内の企業では、以下の4つの条件をすべて満たす従業員であっても、原則として社会保険の加入対象とはなりません。

  • 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない

ただし、週の所定労働時間が30時間以上など、正社員の4分の3以上の労働時間・日数を満たす場合は、従業員数50人以内の企業であっても加入対象となるため注意が必要です。

なお、この「企業規模要件」は今後の法改正で見直される予定です。段階的に縮小・撤廃される方向で議論が進んでおり、最終的にはすべての企業が対象となる見込みです。

週の所定労働時間が20時間以上

まずは、週の所定労働時間に関する条件です。フルタイム従業員の週所定労働時間が40時間の企業では、「週20時間以上」が社会保険加入の基準の1つとなります。
この「週20時間」は、実際の労働時間ではなく、雇用契約書に定められた所定労働時間で判断するのが原則です。

実務で判断に迷いやすいのは、次のようなケースです。

  • 雇用契約上は20時間未満だが、繁忙期などで一時的に超えた場合:
    原則として加入義務は生じません。
    単発・臨時的な超過であれば、所定労働時間の変更とはみなされないためです。
  • 雇用契約上は20時間未満だが、数ヵ月継続して20時間を超えている場合:
    実労働時間が2ヵ月連続で週20時間以上となり、今後も継続する見込みがある場合は、3ヵ月目から加入対象となります。
  • 雇用契約上は20時間以上だが、実態は20時間未満が多い場合:
    契約上の所定労働時間が基準となるため、原則として加入対象となります。ただし、契約と実態が大きく乖離している場合は、雇用契約の見直しを行い、資格喪失の手続きが必要です。

なお、週の所定労働時間が30時間以上など、正規雇用者の4分の3以上の労働時間・日数を満たすパート社員に関しては、他の条件にかかわらず社会保険の加入対象となるので注意しましょう。

また、雇用保険にも週20時間以上の加入要件がありますが、ここで説明しているのは社会保険の基準となります。

所定内賃金が月額8.8万円以上

壁

次に、賃金に関する条件です。所定内賃金が月額8.8万円以上であることが要件であり、いわゆる「106万円の壁」に関係しています。年収換算で約106万円(8.8万円×12ヵ月)となることから、このように呼ばれています。

所定内賃金とは、雇用契約書に記載される基本給と各種手当の合計額を指します。残業代や賞与、通勤手当、臨時的に支払われる賃金などは含まれません。

繁忙期などで、一時的に月額8.8万円を超える月があった場合でも、直ちに社会保険の加入対象となるわけではありません。週の所定労働時間の条件と同様に、実際に支払われた賃金が2ヵ月連続で8.8万円以上となり、今後も継続する見込みがある場合は、3ヵ月目から加入対象となります。

継続的に基準を上回る場合は加入対象となるため、パート社員では年収106万円を超えないようにシフト調整を行うケースも少なくありません。現行制度では就業調整が発生しやすい点が課題とされており、こうした背景から、今後の法改正では賃金要件の撤廃が予定されています。

2ヵ月を超える雇用見込みがある

雇用期間が2ヵ月以内の短期雇用の場合は、社会保険の加入対象外となります。ただし、状況が変わり契約更新を行うこととなった場合は、「雇用契約の更新が見込まれるに至った日(労使双方の合意があった日)」から加入対象となります。

また、2ヵ月以内の雇用契約であったとしても、雇用契約書などに「契約更新の可能性あり」と明示している場合は、雇用見込みがあるとみなされ、加入対象となります。短期契約を繰り返すことで加入を回避しようとするケースは、行政の調査対象になることもあるため注意が必要です。

学生ではない

原則として、在学中の学生は社会保険の加入対象外です。ただし、休学中の学生や定時制・通信制の学生、社会人大学院生などは加入対象となります。また、卒業した後も引き続き雇用されることが決まっている内定者アルバイトも対象です。

学生証や在学証明書の確認など、採用時に就学状況をきちんと把握しておくことが重要です。特に長時間勤務する学生アルバイトについては、誤った判断をしないよう注意しましょう。

「社会保険適用拡大」が与えるパート社員への影響

社会保険の適用拡大は、パート社員の働き方に大きな影響を与えます。従来は扶養内で働くことを前提にしていた人も、今後は加入対象となる可能性が高いです。企業にとっても、人員配置や人件費への影響が避けられません。

ここでは、主な改正ポイントを整理し、どのような変化が想定されるのかを解説します。

企業規模要件を縮小・撤廃

企業規模要件は、2016年に従業員数501人以上の企業へ拡大されたことをのを皮切りに、2022年には101人以上、2024年10月からは51人以上の企業へと対象が広がっています。

社会保険適用拡大の影響

出典:社会保険適用拡大特設サイト|厚生労働省

今後もさらに拡大を見込んでおり、企業規模要件は2035年まで10年かけて縮小されていき、最終的には撤廃される方向で検討されています。これまで対象外だった中小企業でも今後はパート社員の多くが加入対象となる可能性があります。

社会保険加入対象の拡大

出典:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省

企業としては、人件費だけでなく、労務管理全体への影響を踏まえた対応が求められるでしょう。

賃金要件(106万円の壁)が撤廃予定

「106万円の壁」として知られる月額8.8万円以上の賃金要件も、2025年度の年金制度改正により撤廃の方針が示されています。撤廃時期は、全国の最低賃金が1,016円以上となる状況を踏まえて判断され、現時点では2026年10月頃が見込まれています。

賃金要件の撤廃

出典:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省

これまで「社会保険料の負担を避けたい」という理由から、年収106万円を超えないようシフトを調整する就業調整が広く行われてきました。しかし企業にとっては、人材を確保できているにもかかわらず労働時間を増やせないというジレンマがあり、人手不足の一因ともなっていました。賃金要件の撤廃は、こうした構造的な問題の解消を目的としています。

なお、106万円の壁が撤廃された場合でも、「130万円の壁」には引き続き注意が必要です。これは、配偶者や親の扶養に入れるかどうかを判断する基準であり、年収130万円を超えると扶養から外れ、本人が社会保険料を負担する必要が生じます。

個人事業所の適用対象を拡大

現在、個人事業所では、常時5人以上の従業員を使用する事業所のうち、社会保険の加入対象となるのは「法定17業種(※)」に限られていました。2029年10月からは、常時5人以上の者を使用する全業種の事業所を適用対象とするよう拡大されます。

ただし、2029年10月時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外とされています。

※法定17業種
①物の製造、②土木・建設、③鉱物採掘、④電気、⑤運送、⑥貨物積卸、⑦焼却・清掃、⑧物の販売、⑨金融・保険、⑩保管・賃貸、⑪媒介周旋、⑫集金、⑬教育・研究、⑭医療、⑮通信・報道、⑯社会福祉、⑰弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業

パート社員の社会保険加入に関する疑問を解消!

パート社員の社会保険については、制度そのものだけでなく、現場での対応に関する疑問も多く寄せられます。「加入したくない」「扶養内で働きたい」といった声に対して、企業はどのように対応すべきでしょうか。

ここでは、実務でよくある疑問について整理し、人事担当者が適切に説明できるポイントを解説します。

パート社員から社会保険に加入したくないと言われたら?

社会保険は、要件を満たせば原則として加入が必要であり、本人の希望だけで外すことはできません。そのため、「加入したくない」という申し出があった場合でも、制度上は加入が必要であることを丁寧に説明しなければなりません。

一方で、保険料負担が発生するため、従業員が不安を感じるケースも少なくありません。加入の可否だけでなく、メリット・デメリットを正しく伝え、納得感を持ってもらうことが重要です。

社会保険に加入する主なメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 病気やケガで働けない際に、傷病手当金として給与の約3分の2が支給される
  • 出産のため会社を休んだ際に、出産手当金として給与の約3分の2が支給される
  • 将来受け取れる年金額が増える

社会保険加入のメリット

出典:社会保険加入のメリット|厚生労働省

一方、デメリットとしては、毎月の社会保険料が給与から天引きされることで手取り収入が減る点があります。特に配偶者の扶養に入っていた場合は、扶養から外れることで世帯全体の負担が増える可能性があります。

ただし、社会保険は医療や老後の生活を支える重要な制度であり、将来に備える側面もあります。目先の手取り額だけでなく、長期的なメリットも含めて説明することが大切です。人事担当者としては、従業員の誤解や不安を解消しながら、制度の正しい理解を促していくことが求められます。

パート社員が扶養内で働き続ける場合は月いくらまで?

「扶養内で働くには月いくらまでか」という質問には、まず「税の扶養(160万円)」か「社会保険の扶養(130万円)」かを切り分けて説明することが重要です。加えて、企業規模や勤務条件によっては106万円で社会保険加入となる点や、この基準が将来的に撤廃予定であることも伝えましょう。

実務では、時給と希望シフトから年収見込みを試算し、手取りが逆転しないかを確認する対応が有効です。単純に上限額を伝えるのではなく、複数の働き方を比較して提示すると納得感につながります。

社会保険に加入しない前提で働く場合は、雇用契約書で週の所定労働時間を20時間未満とするなどの調整が必要になります。ただし、実態が上回れば加入対象となるため、運用との整合性も重要です。

一方で、あえて労働時間を増やし、社会保険に加入したうえで手取りを伸ばす働き方も選択肢です。制度と改正動向を踏まえ、最適な働き方を提案することが人事担当者に求められます。

ダブルワークのパート社員は社会保険に加入する?

ダブルワーク

ダブルワークの場合、社会保険の加入判定はそれぞれの勤務先ごとに独立して行われます。例えば、A社とB社の両方でパートとして働いており、どちらも週20時間以上・月8.8万円以上などの要件を満たす場合、原則として両方の事業所で社会保険の被保険者となります。

この場合、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出し、主たる事業所を選択して保険料を按分計算する仕組みになっています。

実務上は、従業員が自身でダブルワークの状況を申告しないケースも多いため、採用時に副業・兼業の有無を確認し、制度について説明しておくことをおすすめします。

まとめ

パート・アルバイトの社会保険は、条件を満たせば加入が必要であり、適用範囲は年々拡大しています。特に106万円の壁や企業規模要件の見直しは、働き方や人件費に大きな影響を与えるため、今後は制度変更を前提とした対応が不可欠です。

現行ルールと改正動向の両方を押さえ、従業員への適切な説明と運用体制の整備を進めていきましょう。

プロフィール

内山美央プロフィール

内山 美央(特定社会保険労務士)

うちやま社会保険労務士事務所 代表
HR専門のコンテンツマーケティング「人事ライター」所属

新卒3年目で社会保険労務士試験に合格。ITベンチャーでの勤怠管理システムの営業・導入コンサルティング経験を経て、大手事業会社の人事部にて労務管理や人事関連業務のDX推進に携わる。独立後は「労働時間管理のプロフェッショナル」として、人事システムの選定・導入や制度設計など、働き方の改善を入り口に、会社に寄り添った長期視点での人事労務サポートを提供している。

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