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給与計算の欠勤控除とは?遅刻や早退したときの計算方法を解説

従業員が遅刻・早退・欠勤をしたとき、給与計算でどう対応すればよいか迷う担当者は多いでしょう。
「1分の遅刻でも控除できるのか」「3回遅刻で欠勤1日分にして良いか」「電車遅延のときの扱いは?」など、計算方法や法的な考え方を正しく理解していないと、思わぬトラブルにつながることもあります。

この記事では、欠勤控除と遅刻早退控除の仕組みをまとめて解説します。それぞれの意味と注意点を押さえることで、ミスのない給与計算ができるようになるでしょう。

欠勤控除と遅刻早退控除の意味

欠勤控除と遅刻早退控除の違い

欠勤控除とは、従業員が所定労働日に出勤せず、有給休暇などの正当な休暇理由もない場合に、その日分の賃金を差し引く処理のことです。
遅刻早退控除とは、始業時刻に遅れたり、終業前に早退した場合に、実際に働かなかった不足時間分を賃金から差し引く処理をいいます。

両者の違いは「単位」にあります。
欠勤控除は1日単位での不就労に対して適用され、遅刻早退控除は時間単位での不就労に対して適用されます。
例えば、月給30万円の従業員が1日無断欠勤した場合は欠勤控除、1時間遅刻した場合は遅刻早退控除の対象となります。
いずれも「働いていない時間・日数に応じて給与を減じる」という点では共通していますが、両者の違いを正しくおさえておきましょう。

ノーワーク・ノーペイの原則

欠勤控除と遅刻早退控除の法的根拠となるのが「ノーワーク・ノーペイの原則」です。
これは「働いていない時間に対しては賃金を支払わなくてよい」という考え方で、民法第624条の趣旨とも一致します。

民法第624条(報酬の支払時期)
労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

引用:民法|e-Gov 法令検索

「3回遅刻したら1日欠勤扱いにできるか」という疑問を見かけることがありますが、これは原則として認められません。遅刻3回分の不就労時間の合計が1日分の所定労働時間に満たないにもかかわらず、1日分の賃金を控除することは、ノーワーク・ノーペイの原則に反するためです。
遅刻や早退は、あくまで実際に働かなかった時間分のみを控除するのが正しい扱いです。

減給の制裁との違い

欠勤控除や遅刻早退控除は、あくまで「労働の提供がなかった部分の賃金を支払わない」処理であり、制裁とは別物です。

労働基準法第91条が定める減給の制裁は、問題行動があった従業員に対して懲戒処分として賃金を減額するもので、1回の額や総額に上限が設けられています。

労働基準法第91条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

欠勤控除や遅刻早退控除は制裁ではないため上限規制の対象外ですが、両者を混同すると、違法な賃金控除につながるリスクがあります。例えば、遅刻に対して実際の時間以上に控除する場合、それは減給制裁とみなされる可能性があります。「控除」と「制裁」の区別を明確に理解しておきましょう。

日給月給制/月給日給制と完全月給制の違い

欠勤控除が適用されるかどうかは、賃金制度によって異なります。代表的な制度の違いを整理しておきましょう。

制度内容欠勤・遅刻早退控除
日給月給制月単位で給与を定めるが、欠勤・遅刻があれば不就労分を控除する控除あり
月給日給制日給月給制と同義で使われることが多い控除あり
完全月給制欠勤や遅刻があっても満額支給する控除なし

日本の多くの会社では、一般社員に対しては日給月給制が採用されており、欠勤控除の前提となっています。
制度の違いを理解せずに運用すると、自社の就業規則や従業員の認識との齟齬が生じやすいため、自社の賃金体系を明確にしておくことが大切です。

欠勤控除の対象になるケース

欠勤控除の対象になるケース

仕事を休んだからといって、すべてが欠勤控除の対象になるわけではありません。正当な理由のある休暇や、一定の条件を満たす場合は欠勤扱いにならないことがあります。
まずは、欠勤控除の対象となる主なケースを確認しておきましょう。

欠勤をして有給取得ができないとき

従業員が所定労働日に休んだ場合、年次有給休暇を取得すれば、その日は出勤したものとみなされ、賃金も支払われます。しかし、入社間もなく有給休暇が付与されていない、またはすでに有給休暇を使い切っている場合は、欠勤控除の対象となります。

「有休残日数を超えている」「本人が申請方法を把握していない」などの理由で欠勤扱いになるケースも少なくありません。こうしたミスを防ぐためには、勤怠管理システムを活用し、従業員本人がリアルタイムで残日数を確認できる環境を整えることが有効です。合わせて、有給休暇の申請がない場合は欠勤控除となる旨を、あらかじめ社内に周知しておくことが重要です。

自然災害で出勤できないとき

台風や大雨、地震などの自然災害により出勤が困難な場合、原則としてノーワーク・ノーペイの考え方が適用されるため、欠勤控除の対象となります。

ただし、大規模な自然災害の場合、会社判断で特別休暇扱いとするケースもあります。
その日の取り扱いは会社の就業規則や災害の規模によって異なります。どの程度の災害で適用するかは会社の裁量に委ねられるため、就業規則や運用ルールで基準を定めておくと、現場の混乱を防ぐことができるでしょう。

公の職務の執行で休むとき

裁判員制度への参加や選挙立会人など、法律に基づく公の職務を執行するために休む場合も、欠勤控除の対象として差し支えありません。

労働基準法第7条では、従業員が勤務時間中に、選挙権を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合、会社がこれを拒否してはならないとされています。ただし、賃金を有給とするか欠勤扱いとするかは会社が自由に決められます。

社会的配慮から有給扱いとする会社も多いため、自社の方針を明確にしておくことが求められます。欠勤控除とする場合も、就業規則にその旨を明記しておきましょう。

法定休暇を有給と定めていないとき

子の看護等休暇(育児・介護休業法第16条の2)や介護休暇(同法第16条の5)、生理休暇(労働基準法第68条)、通院休暇(男女雇用機会均等法第12条)は、いずれも法律上取得が認められた休暇ですが、賃金の支払いは義務づけられていません。会社が有給と定めていない限り、取得した日・時間分は欠勤控除の対象となります。

就業規則や賃金規程に有給とする旨の記載がなければ無給扱いが原則です。
従業員から「休む権利があるのになぜ引かれるのか」という疑問が出やすい部分なので、規程への明記と事前の説明が特に重要です。

遅刻・早退をしたとき

遅刻や早退により、実際に働かなかった時間は、遅刻早退控除の対象となります。
電車遅延など公共交通機関の影響で遅刻した場合も、ノーワーク・ノーペイの原則からは、控除の対象となります。

ただし、遅延証明書の提出により控除しない運用をしている会社も多くあり、ここも就業規則の定めが重要になります。現場ごとの判断に任せず、ルール化しておくことがポイントです。

欠勤控除の対象にならないケース

欠勤控除の対象とならないのは、賃金支払い義務がある場合です。代表的なものが年次有給休暇の取得です。有給休暇を取得した日は出勤扱いとなり、給与は減額されません。また、慶弔休暇や特別休暇など会社独自の有給休暇制度も同様です。

さらに、会社都合による休業(経営判断や設備トラブル、業務縮小など)の場合は、労働基準法第26条に基づき平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。この場合は欠勤控除ではなく、別途休業手当の支給が必要です。

欠勤控除や遅刻早退控除の給与計算方法

欠勤控除や遅刻早退控除の給与計算方法

では、実際に欠勤控除や遅刻早退控除を行う際の、計算方法を確認していきましょう。

欠勤控除の給与計算方法

欠勤控除の基本的な計算式は以下のとおりです。

欠勤控除額=月給÷月の所定労働日数×欠勤日数

【計算例】
月給30万円、月の所定労働日数20日の従業員が2日間欠勤した場合
欠勤控除額=300,000円÷20日×2日=20,000円

なお、「月の所定労働日数」を使用する方法以外にも、暦日数を用いる方法や、「年間所定労働日数÷12ヶ月」で得られる年平均所定労働日数を用いる方法もあります。また、欠勤控除の対象とする「月給」を基本給のみとするのか、役職手当などの手当も含むのかも自由です。

どのような計算式を使うのかは、法令上の決まりはないため、会社が就業規則や賃金規程に定めておく必要があります。計算方法によって控除額が変わるため、ルールを明確に周知しましょう。

遅刻早退控除の給与計算方法

遅刻早退控除の基本計算式は以下のとおりです。

遅刻早退控除額=月給÷月の所定労働時間数×遅刻早退時間数

【計算例】
月給30万円、月の所定労働時間160時間の従業員が30分遅刻した場合
遅刻早退控除額=300,000円÷160時間×0.5時間=937円(1円未満切り捨て)

遅刻・早退時間の計算は1分単位が原則です。「30分未満は切り捨て」「15分単位で切り上げ」などの処理は、従業員に不利になる場合は認められません。一方で、従業員に有利となる処理は問題ありません。

欠勤控除・遅刻早退控除の注意点

最後に、欠勤控除・遅刻早退控除に関する、給与計算でよく出る注意点を解説します。

税金・社会保険料の計算や端数処理ルールを押さえる

税金や社会保険料は、欠勤控除後の実際に支給した賃金額をもとに計算します。控除前の金額で計算してしまうと、差引支給額に誤りが生じるため注意が必要です。

また、1円未満の端数については、労働者に不利益とならないよう、原則として切り捨てで処理しましょう。四捨五入や切り上げの場合、実際の不就労時間を超えて賃金を控除することとなり、ノーワーク・ノーペイの原則に反する可能性があるため、避けるのを推奨します。

就業規則の記載と周知を行う

欠勤控除・遅刻早退控除を行うためには、就業規則や賃金規程に定め、従業員へ周知しておくことが前提です。根拠なく控除を行うと賃金未払いとみなされるリスクがあります。

また、基本給だけでなく、役職手当・職務手当・資格手当などの各種手当を控除の対象とするかどうかも、規程に明確に記載しておく必要があります。対象手当の範囲があいまいであると、従業員トラブルの原因になるため注意しましょう。

最低賃金を下回らない

最低賃金と欠勤控除の関係

欠勤控除を行った結果、実際に支払う1時間あたりの賃金が最低賃金を下回る場合は、違法となります。特に注意が必要なのは、月給が最低賃金水準に近いケースです。

最低賃金は「実際の賃金額÷実労働時間」で判断される一方、欠勤控除を「月給÷月の所定労働日数」で計算している会社の場合、控除額が相対的に大きくなり、時間単価が下がってしまうことがあります。

【具体例】
東京都(最低賃金1,226円)で月平均所定労働時間160時間の会社の場合
最低賃金ベースの月給目安=1,226円×160時間=「196,160円」

月給が196,160円の従業員が、平均所定労働日数21日の月に1日(8時間)欠勤すると
● 欠勤控除額=196,160円÷21日×1日=9,340円
● 支給額=196,160円-9,340円=186,820円
⇒時間当たり賃金は、186,820円÷160時間=約1,167円となり、最低賃金を下回ってしまいます。

このように、意図せず最低賃金割れが発生することがあります。月給水準が最低賃金付近の従業員がいる場合は、計算方法を含めて慎重に設計・確認することが重要です。

遅刻早退控除と残業代は相殺できない

遅刻した日に長く働いたとしても、遅刻控除と残業代を相殺することはできません。

【具体例】
所定労働時間:9:00~18:00(休憩1時間、実働8時間)の従業員が1時間遅刻し、10:00~20:00まで働いた場合、次のように整理されます。

● 9:00~10:00 → 1時間遅刻により不就労のため遅刻早退控除
● 10:00~18:00 → 定時内の労働(休憩1時間、実働7時間)
● 18:00~19:00 → 法定労働時間(1日8時間)以内の残業(割増賃金不要)
● 19:00~20:00 → 法定労働時間を超える残業(割増賃金25%以上が必要)

このように、遅刻早退控除と残業の取扱いはそれぞれ別に考える必要があります。遅刻した時間分を、残業した時間で相殺することはできませんので注意しましょう。

まとめ

欠勤控除や遅刻早退控除は、ノーワーク・ノーペイの原則に基づく正当な仕組みですが、運用を誤ると法令違反やトラブルの原因になります。就業規則や賃金規程を整備し、計算方法を明確にしておくことが重要です。

給与計算の正確性を高めるためには、勤怠管理を適切に行い、そのデータを漏れなく給与計算に反映させることが不可欠です。
業務効率化の観点からも、勤怠管理から給与計算、Web明細、さらには年末調整までを一元管理できるレコルの活用を検討してみてください。勤怠データと連携した給与計算の自動化により、計算ミスや確認作業の負担を大幅に削減できるでしょう。

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プロフィール

内山美央プロフィール

内山 美央(特定社会保険労務士)

うちやま社会保険労務士事務所 代表
HR専門のコンテンツマーケティング「人事ライター」所属

新卒3年目で社会保険労務士試験に合格。ITベンチャーでの勤怠管理システムの営業・導入コンサルティング経験を経て、大手事業会社の人事部にて労務管理や人事関連業務のDX推進に携わる。独立後は「労働時間管理のプロフェッショナル」として、人事システムの選定・導入や制度設計など、働き方の改善を入り口に、会社に寄り添った長期視点での人事労務サポートを提供している。

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