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フレックスタイム制について

フレックスタイム制の活用

労働者A

今月末のプレミアムフライデー、早帰りして温泉にでも行かない?

労働者B

早帰りって、早退するってこと? それってまずいんじゃない!?

労働者A

お前、知らないの?うちの会社フレックスタイムだから、好きな時間に帰っていいんだよ。

労働者B

へー、それならフレックスタイム使って温泉に行こう!

 

フレックスタイム制とは

この会話を実現させる労働時間制度が『フレックスタイム制』です。

フレックスタイム制とは、「始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」(労基法32条の3)と定められています。簡単にいえば『労働者の好きな時間に出社して、好きな時間に退社できる制度』ということになります。

つまり、1日の労働時間は、『労働者自身が決める』ということです。例えば、今日は6時間、明日は9時間といった感じで日々の労働時間を労働者の意思で変えることが可能となるのです。労働者の意思により、柔軟に日々の労働時間を決めることが出来るのが「フレックスタイム制」となります。

もちろん、他の労働時間制度であっても、日々の労働時間を変えることは可能です。しかしながら、それは労働者の意思ではなく、会社の指示(一般的にはシフト)によって、あらかじめ定められた労働時間に従うということになります。労働者の意思によってその日の労働時間を変更する場合には、遅刻や早退ということになってしまうのです。

 

フレックスタイム制を採用するには

フレックスタイム制を採用するには、『始業・終業時刻の決定を労働者にゆだねる』旨を就業規則で定める必要があります。その上で、使用者は、『事業場に過半数労働者を組織する労働組合があればその組合、そうした組合がない場合は過半数代表者と労使協定を締結』しなければなりません。締結する労使協定の内容は以下の通りです。

1. 対象労働者の範囲
2. 1か月以内の清算期間
3. 清算期間の総労働時間
4. 1日の標準労働時間
5. コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はその時間帯

清算期間は、1か月以内となっていますが、『1か月』としているケースが多いと思われます。

なお、「清算期間内の総労働時間」とは、その期間を平均して法定労働時間である週40時間を超えてはなりません。その総労働時間の上限は以下の表の通りです。

日々の労働時間を自由に決められるとはいえ、労働者は、この総労働時間を満たすように日々の労働時間を配分するのが原則となります。

1か月の暦日数 時間数
28日 160時間
29日 165時間42分
30日 171時間25分
31日 177時間8分

 

また、「1日の標準労働時間」とは、フレックスタイム制のもとで労働する労働者が年休を取得した場合に、年休として支払う賃金の算定基礎となる労働時間のことです。

 

コアタイムとフレキシブルタイム

労働者の意思で日々の労働時間を自由に決められるとなると、会社がいて欲しい時間に社内に誰もいないということになってしまうことも考えられます。

また、夜の方が集中できるといって深夜の時間帯にばかり業務を行う労働者がいても困ってしまいます。そういったことを避けるために、任意にコアタイム、フレキシブルタイムといった制限を加えることができます。

コアタイムとは、「労働者が労働しなければならない時間帯のこと」であり、フレキシブルタイムとは、「労働者がその選択により労働することができる時間帯のこと」をいいます。

コアタイムを『11:00から14:00』フレキシブルタイムを『7:00から20:00』と定めた場合の例です。

コアタイムとフレキシブルタイム

この場合、出社時間は『7:00から11:00までの間』としなければなりません。
『11:00から14:00までの間』は必ず出社していなければならない時間帯となり、退社時間は『14:00から20:00までの間』としなければならないということになります。

 

フレックスタイム制における残業時間

フレックスタイム制においては、労働者が『日々の労働時間を決定すること』もあって日々の労働時間においては『残業時間』といった概念ありません。

つまり、1日8時間超えて働いても『残業時間』とはならないのです。

では、フレックスタイム制においては『残業時間』は生じないのでしょうか。フレックスタイム制のもとでは、1日・1週の労働時間では判断せずに、清算期間における労働時間の合計によって時間外労働の有無を判断します。

その判断の仕方は以下のように考えるとわかりやすいでしょう。

フレックスタイム制の残業時間

労働時間を入れる大きな箱を用意します。この箱の大きさは、『清算期間における総労働時間』となります。毎日、働いたらその箱に労働時間を入れていくのです。この箱に入りきらない時間が『残業時間』となります。

つまり、日々の労働時間を足していって、清算期間(1か月)が終わった段階で『箱に入りきらない時間』に対して残業代を支払うことになります。逆に、箱一杯になっていない場合には、その分の賃金を控除することができます。

 

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フレックスタイム制を活用するには

「フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたことにならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること」(昭和63.1.1基発1号、平11.3.31基発168号)といった行政解釈があります。

フレックスタイム制の良さは、労働時間のフレキシビリティといえます。労働者自身が働く時間を決められる範囲を広く持てて、その裁量性が大きい方が望ましいと考えます。

会社は、常に労働者が会社にいるわけではないことを勘案しておかなければなりません。ミーティングを設定する場合は早めに行うなど、労働者が効率的に業務を行えるように支援する必要があります。例えば、『毎朝朝礼を行う』といったルールを改める必要があるということです。

『自分が働きやすい時間帯で業務を行うこと』≠『効率的な働き方』となってしまうことも考えられます。自分が働きやすい時間であるがゆえに、却って『長時間労働』となってしまうようなケースが挙げられます。

長時間労働とならないように、労働者自身が『フレックスタイム制を利用して効率的な時間配分を行うこと』を意識しなければなりません。また、上長は、業務の進捗状況や長時間労働となっていないかについて、気を配ることが必要となります。

あまり、長時間労働が続く場合は、フレックスタイム制の対象から外すことも考えなければなりません。

フレックスタイム制を活用するには、『労働時間を効率的に配分することで、労働時間を短縮すること』が最大の目的であることの理解が重要なポイントとなります。

我々は、子どもの頃から「時間を厳格に守ること」を叩き込まれています。また、朝はみんなそろってスタートし、終わりもみんなでそろって帰るといった職場の慣行にも慣れ親しんでいるような気がします。こういった慣行が『非効率』を生み出していることも否めません。『付き合い残業』なんてまさにその最たるものといえるでしょう。

そういった観点で見ると、フレックスタイムは、日本の職場慣行の概念を覆すものといえるかもしれません。しかしながら、『効率的に働く』ことは労働者の意識に関わることが大きく作用されると考えます。フレックスタイム制により、労働者自身が効率的な時間配分を意識できれば、『理想的な働き方』の一つとなるのではないかと考えます。それには、労働者自身が労働時間を『効率的に働く』という意識を持って配分できることが重要なポイントとなります。

 

 

プロフィール

飯野正明

特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士

1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。

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