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年次有給休暇を効率的に活用する

年次有給休暇の活用

働き方改革ということで労働者の働き方、休み方が見直しを検討している企業も多くあるのではないでしょうか。企業によっては、新たな休暇制度の導入を検討しているところもあるでしょう。

その前に注目して頂きたいのは『年次有給休暇の活用』です。

昨年1年間に企業が付与した年次有給休暇の日数(繰越分を除く)は、労働者1人平均で「18.1日」、そのうち労働者が実際に取得した日数は「8.8日」となっています。取得率でいうと、「48.7%」となっています。(厚生労働省「平成28年就労条件総合調査の概況」)

つまり、半分以上も活用できていない休暇があるにもかかわらず、新たな休暇制度を導入するのはもったいない気がしませんか。ここはまず、年休の効率的な運用を検討するべきではないでしょうか!

政府は、2020年までに年休の取得率を70%に引き上げることを目標に掲げています。また、それに伴い一定の日数の年休消化を義務付ける法改正も検討されています。そういった意味でも「年休の取得率向上」はこれからの労鵜管理にとって重要なことになるでしょう!!

まずは、年休のこと、知っておきましょう。

 

年次有給休暇とは

(1)労働基準法第39条に定められている有給の休暇のことで勤続年数に応じて所定の日数が付与されます。

勤続年数
0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

 

 

(2)パートタイマー等の短い時間や働く日数が少ない労働者に対しても勤続年数および所定労働日数に応じて付与することとなっています。

週所定
労働日数
勤続年数
0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
4日


7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 3日 3日 3日 3日

 

なお、年休の発生要件は以下の通りとなっています。
①6か月以上の継続勤務
②全労働日の8割以上の出勤

 

年休の時季変更権

年休は、労働者の好きなタイミングで休むことができるものです。たとえば、「来週の週末、温泉にでも行こう!」ということで、年休の請求があった場合には、会社は、「ダメだ!」と言って年休の取得をさせないことはできません。ただし、どうしてもその労働者が休んでしまうと会社の業務が立ち行かなくなってしまうような場合のみ断ることができます。しかし、この場合においても「来週の週末はダメだけど、週明けの月曜日に変えてくれ!」といったように休みの時季を変更してもらうこととなっています。これを、「年休の時季変更権」といいます。

年休の時季変更権

 

年休の計画的付与

A社の年休取得率向上会議の一場面

社長

社内で年休を取得する人と取得しない人が偏っているな~

人事担当者A

創立記念日や本人の誕生日などに記念日を年休扱いにして休むようにしてはいかがですか?

人事担当者B

それならGWの谷間や飛び石連休のときも年休で休めるようにしても良さそうですね。

社長

それを可能とする方法はないのか!

 

このときに使えるのが年次有給休暇の計画的付与です。

労働者が年休を好きなタイミングで取得する権利と会社側の時季変更権の双方の権利を行使せずに、年休を特定の時期に計画的に取得させる方法のことです。
ポイントは2つ

(1)就業規則による規定と労働者代表との労使協定が必要!

年休の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、労働者の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする。」といった規定が必要となります。

その上で、実際に計画的付与を行う場合に、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。

なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届出る義務はありません。
労使協定で定める項目は次のとおりです。
a. 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
b. 対象となる年次有給休暇の日数
c. 計画的付与の具体的な方法
d. 対象となる年休を持たない者の扱い
e. 計画的付与日の変更

(2)年次有給休暇の付与日数すべてについて認められているわけではない!

年休の計画的付与は、付与日数すべてについて認められているわけではありません。そもそも、年休は労働者が好きなタイミングで取得できるのが原則です。そのため、労働者が病気やその他の個人的事由による取得ができるよう指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があります。その留保しておく日数は、「5日」と決められています。最低「5日間」個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければならないのです。つまり、労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。

たとえば、年次有給休暇の付与日数が10日の労働者に対しては5日、20日の労働者に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。
なお、前年度取得されずに次年度に繰り越された日数がある場合には、繰り越された年次有給休暇を含めて5日を超える部分を計画的付与の対象とすることができます。

年休の計画的付与は、(1)会社もしくは支店や工場など事業場全体の休業による一斉付与方法、(2)班・グループ別の交替制付与方法、(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法などさまざまな方法で活用することができます。
A社の人事担当者の提案以外にも、「閑散期に年休を取得させる」「年末年始休暇や夏季休暇にプラスすることでの長期休暇」なども可能となります。年休の取得が個人ごとに偏っている企業や年休の取得率向上を検討している企業においては、是非ご検討下さい。

 

年休の時間単位付与

B社の昼休みの会話

労働者C

うちの会社、年休の半休制度はあるけど…この前、朝病院に寄るのに1時間しかかからなかったのに半休使うのもったいなくて考えちゃった。

労働者D

そうそう。半休って午前と午後に区分されているけど、ちょっと1,2時間のときに使うの考えちゃうよね。

労働E

子どものお迎えのときに1時間くらい早く帰れるといいのに。

労働者F

会社の近くには医者に行けるように中抜けができると便利なんだけどな。

 

計画付与と同様、労働者代表等との労使協定を締結することによって年に5日を限度として、時間単位で年休を与えることができます。この場合の5日とは、前年度以前の繰越があっても、繰越分も含めて5日以内となります。

労使協定には、以下の事項を定めます。
①時間単位年休の対象労働者の範囲
②時間単位年休の日数
③時間単位年休1日の時間数
④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

時間単位年休1日の時間数は、所定労働時間数を基に定めます。時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げてから計算します。たとえば、1日の所定労働時間が7時間45分の場合は、「8時間」となります。
また、1時間以外の時間を単位とすることはできますが、時間単位ですので「1時間30分」等時間未満を単位することはできません。

B社の労働者の会話の中にも出ていたように、半日までは時間はかからないけど、年休を1,2時間利用したいといった要望は、多くの労働者から聞かれるところです。朝1時間ほどで家の用事を済ますことや早帰りが可能となることは労働者にとって効率的な時間の使い方となるでしょう。また、時間単位年休を活用すると、「中抜け」も可能となります。例えば、久々に会った友人とゆっくりランチをすることや会社の近くの美容院にお昼にといった利用方法も考えられます。

このような時間単位年休の管理を容易にするのが、「勤怠管理システム」と言えます。年休の残日数の管理は通常であれば、年休管理簿をつけることで管理は可能です。しかしながら、時間単位で取得するとなると年休の残日数を「9日と7時間」「時間単位年休可能な残日数は4日と7時間」などの管理が必要となり、複雑です。昨今は、適正な労働時間管理が求められています。時間単位年休の管理も可能な勤怠システムの導入をぜひご検討下さい。

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まずは、上司から

年休の取得率の向上といった話をすると、そんなに労働者を休ませたら会社が回らないといった声も多く聞かれます。もちろん、何が何でも年休を取得させなさいというつもりはありません。しかしながら、年休を取得することで労働者が心身ともにリフレッシュすることは事実なのです。私も感じたことがありますが、平日に温泉につかってビールを一杯といったことが、自分の新たな仕事のエネルギーとなることを実感できます。
「俺は、今まで年休を取ったことがない!」といった上司の方は多くいらっしゃいます。ぜひ、上司の方が率先して年休取得が自分の新たなエネルギーとなることを実感して頂ければと思います。

 

 

プロフィール

飯野正明

特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士

1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。

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