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働き方改革に取り組もう!

人材確保の鍵は、労務管理の改善

企業経営の3要素である「ヒト、モノ、カネ」のうち、「ヒト」が最も大切です。「ヒトを大切にする経営」の実践は、労働者がいきいきと働ける職場環境をつくり、生産性の高い職場、ひいては好業績の企業をつくることにつながると考えます。特に、中小企業においては、これからはこの点を重視した経営に取り組む必要があります。

働き方改革は、この「ヒトを大切にする経営」を実現するためのものといえます。

しかし、「働き方改革」と言えば、時間外労働の削減、年次有給休暇の時季指定義務など、『労働者にとっては良いことなのだろうが、中小企業にとっては、負担となることばかりで、実現するメリットは、感じられない!』と考えている経営者は多く、実際中小企業の経営者からは「うちは、中小企業だからとても実現できない」といった声も聞くことがあります。

確かに中小企業にとっては、「働き方改革」を実現させることは負担となることも多いのは事実でしょう。しかし、今、一度考えてみてください。中小企業における喫緊の課題は「人材不足」の問題です。大企業と比較して、賃金等の処遇に差がある中小企業にとって自社の働き方を見直し、『魅力的な職場』にすることが、これからの企業経営においては、重要な要素となるのではないでしょうか。

大企業は、法令順守の観点からも『働き方改革』を推進していくでしょう。そうなると益々、中小企業との格差が広がっていくことが考えられます。今、このタイミングで中小企業が魅力的な企業づくりのために「働き方改革」を実現し、「魅力的な企業」とならなければ、「人材不足」の解消どころか『人手不足倒産』となりかねません。

実際、人材確保が出来ないために新規店舗の出店の見直し、営業時間日数の短縮等、企業運営に支障が出ているケースは数多く報道されています。「人手不足倒産」と言ったことが現実味を帯びてきているのです。

以前は、「労働者にとって良い環境を整えることばかりで、企業がつぶれてしまったら一番困るのは労働者だ。」と話す事業主もいました。しかし、今では、自分の働いている会社が良い環境でなければ、別の環境の良いところに喜んで転職してすることでしょう。会社があるから労働者が存在するのではなく、労働者に選ばれるから会社が存続することが可能となるのです。

 

働き方改革の実現に向けて取り組むべきこと

2019年4月から「働き方改革関連法案」が順次施行されます。働き方改革のスケジュールは次の通りとなっています。

働き方改革のスケジュール

大企業 中小企業
年次有給休暇の時季指定義務 2019年4月施行
労働時間の把握の実効性確保
フレックスタイム制の拡充
勤務間インターバルの努力義務
高度プロフェショナル制度新設
産業医・産業保健機能の強化
時間外労働の上限規制 2019年4月施行 2020年4月施行
正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の禁止 2020年4月施行 2020年4月施行
(一部)
月60時間超の時間外労働の割増賃金率引き上げ 適用済 2023年4月施行

 

これらを実施することは、中小企業にとって相当にハードルが高いと考えられます。したがって、一部の法律の施行が中小企業において、時間的に猶予されているものもあります。ここでいう、中小企業の範囲は以下の通りとなっています。

中小企業の範囲

業種 資本金の額または出資の総額 または 常時雇用する労働者数
小売業 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
上記以外 3億円以下 300人以下

 

 

働き方改革に取り組み中小企業の事例

働き方改革を実現するに当たって、法令順守の観点からだけでなく、「働きやすい環境づくり」といった視点で実施し、好業績につながったA社の事例を紹介します。

 

1.課題・背景

地方都市にあるオフィス家具製造業 (従業員規模60名) A社は、新卒者や業務繁忙期における臨時従業員の採用が難航したため、これまでの男性をターゲットとしていた採用を見直し、女性を積極的に採用することとしました。人事担当者が、近隣の高校を回って話をしに行ったところ、ある高校から女性を1名採用することが決まったのです。

しかし、それまで製造業ということで女性の採用を躊躇していたため、製造部門に女性社員はほぼいない状況にあったため、男性主体の職場である現状が、女性にとって働きやすい環境となり得るのかについて疑問を抱いていました。

 

2.取組み内容

工場を見学すると、力仕事はほぼなく、女性が働くことは充分可能であると考えられました。しかし、「女性専用トイレ」は事務所内にあるものの、工場内のトイレは男女共用となっている点、また「女性用の更衣室」が設置されていない点が、女性が働くうえでの課題となることが考えられました。まずはこれらを整備することとしました。なお、こちらの整備については、厚生労働省が実施している助成金を活用することができました。

このような取組みと並行して、県が実施している「男女共同参画推進宣言企業」の認定を受けることにもチャレンジしました。

主な宣言内容は、以下の内容です。
①残業時間の削減に向けた取組み(勤務間インターバル制度の導入)
②就業時間中に外出(中抜け)できるよう時間単位有給休暇の設定
③女性社員の管理職への積極登用
④社員がコミュニケーションを図りやすくするためのレクリエーション等の実施

 

3.成果

新規高卒女性を1名ずつではあるが、2年連続で採用することができました。送り出し先の高校で「男女共同参画推進宣言企業」の認定を受けたことを伝えると、「安心して生徒を送り出せます。」とのコメントをもらうことができ、その後、同校からは男性の採用も決まり、学校との信頼関係が高まったことが実感できました。

また、業務繁忙期において、近年採用が困難となっている女性派遣労働者の採用にもつなげることができて、製造部門で勤務する女性労働者は、4年前は0名であったのだが、現在は7名となっています。

現在、そのうちの1名は、溶接の業務にもチャレンジしており、職場の活性化につながっています。その結果として、社員間のコミュニケーションが円滑になり、活気あふれる職場となり、社員旅行の参加率まで向上しました。もちろん、業績も増益が続いています。

 

まとめ

A社の事例を見ると、職場改善の必要性があることに事業主が懸念していたことが改善の一歩につながったと考えます。事業主が職場改善の意思を持ち、女性の働きやすい職場づくりを実現した結果、労働者満足度が高まり、好業績につながったのです。

確かに職場環境を整えることが、直接業績の向上につながるわけではないが、結果として、企業の好業績につながっているのは事実です。

「働き方・休み方改善ポータルサイト」には、数多くの事例が挙げられています。

働き方改革の実現が企業にとって負担であると感じている事業主は、自社の職場環境が、「働きやすい環境」であるのかといった視点に立って、今一度見つめ直し、「出来ることから手を付けてみる」ことで中小企業の働き方改革は実現するのではないでしょうか。

 

 

プロフィール

飯野正明

特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士

1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。

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