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テレワークにおける労務管理について

テレワークにおける労務管理上の留意点

労働者A

俺の乗っている○○線、朝の満員電車かなりきついよ!なんとかならないかなぁ~

労働者B

通勤時間って、かなりのストレスだよな。

労働者C

まさに、”痛勤“だよなぁ~

 

このように通勤にストレスを感じている労働者の方は多いのではないでしょうか。私自身も『通勤』を『痛勤』と感じている者の一人です。通勤をしないで良い!この夢のような制度が「テレワーク」と言えます。

「働き方改革」のテーマの一つである「柔軟な働き方がしやすい職場環境」を実現するために、今多くの企業で「テレワーク」の導入を検討しているところです。

『テレワーク』とは、労働者が「働く場所」と「働く時間」を自由に選択することを可能とする働き方であり、労働者の「仕事」と「生活」の両立が実現できる魅力的な制度の一つとして、今後益々注目されていくでしょう。

「働く場所」と「働く時間」の裁量

テレワークの導入に当たって、まず考えなければならないのは「働く場所」と「働く時間」の自由度(裁量)です。労働者にどこまで裁量を与えるか?ということを考える必要があります。

労働基準法においては、「働く場所」に関する制限はありません。職場内で仕事をしようが、自宅で仕事をしようが、カフェで仕事をしようが、労基法においては何の問題もないということです。

つまり、働く場所を職場内に限定するか?職場外での業務を認めるにしても自宅のみとするのか?労働者の好きな場所での業務を可能とするのか?については、企業が自由に決めればよいということになります。

しかしながら、「働く時間」についてはそうはいきません。当然ですが、労基法に沿った制度としなければなりません。テレワーク対象者であっても労働契約が成立している以上は、労働基準法等、労働関係法令が適用されます。したがって、企業は、テレワーク対象者の「始業、終業の時刻、休憩時間」を定めなければなりません。

 

テレワークと『事業場外のみなし労働時間制』

職場外での勤務となると、真っ先に思い浮かぶのが『事業場外のみなし労働時間制』となるでしょう。これについては、厚生労働省からガイドラインが示されています(「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」平成20年7月28日 基発第0728001号)。

このガイドラインによると以下のいずれの要件も満たす「在宅勤務」(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態)については、「事業場外のみなし労働時間」の対象となるとしています。
(1)当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
(2)当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
(3)当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

つまり、労働者が『好きな場所』を選んで仕事をする場合には、「事業場外のみなし労働時間制」は適用できないのです。この場合は、使用者は「始業・終業の時刻」を把握しなければなりません。

なお、「事業場外のみなし労働時間制」を適用できる場合であっても、労働したものとみなされる時間が、深夜もしくは休日の労働となった場合には法定の割増賃金を支払わなければならないことや健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があるとされています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下、「労働時間ガイドライン」という。平成29年1月20日策定))。

労働時間の適正な把握

テレワーク対象者の「労働時間」を把握する方法としては、メールや電話等により業務開始・終了の時刻を報告させる方法や業務日報により業務時間を把握する方法が挙げられます。

また、最近の勤怠管理システムは、労働者のスマートフォンなどを利用して外出先からも利用できるものもあり、スマホのGPS機能を利用すれば打刻した場所も分かるシステムも普及しています。こういったシステムの活用の検討も必要となるでしょう。

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いずれにしろ、労働者の申告に基づく管理、いわゆる「自己申告制」による労働時間の把握に頼らざるを得ません。

「労働時間ガイドライン」によると、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置として以下の措置を講ずることが求められています。
(1)自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
(2)自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
(3)使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

テレワーク対象者の労働時間については、効率的な働き方を求めるあまり、テレワーク対象者が、正しい労働時間の申告をしづらくなってしまうことも考えられます。管理者は、少なくともメールの送信が深夜や休日に行われていないかどうか定期的に検証するなどの確認を行う必要があります。

労働者であれば、「安全配慮義務」が使用者に当然課せられているのです。その点を踏まえて、テレワークにおける「労務管理上の留意点」について考えてみます。

テレワーク導入の課題

「テレワークの導入=労働時間短縮」であるかのような議論が少なからずあります。テレワークを導入するだけで、労働時間が短縮するわけではありません。逆に却って増加してしまうことも考えられます。

テレワークは、集中して業務が行える半面、労働時間が長くなってしまう恐れがあります。また、まとまった勤務時間を確保しようとすると、働く時間が深夜や休日に亘ってしまうことが懸念されます。せっかくの制度が労働者の健康を害することになってしまっては、本末転倒と言わざるを得ません。企業はテレワーク対象者に対する「働き方」を健康管理の観点からも配慮しなければなりません。

私自身も月に数日テレワークを行うことがあります。特に自宅で行う場合は、家族が寝静まった深夜がやはり集中して業務を行えることから、深夜の時間を利用することが多いのが現状です。また、業務以外のことに気が向いてしまい、効率的に業務を行えず1日中机の前にいることになってしまっていることもあります。

労働者本人の自律も求められます。労働者自身が、勤務する時間帯や自らの健康に十分注意しつつ、業務効率を勘案して業務を遂行しなければなりません。企業がいくら仕組みを整えたとしても、最終的には、労働者自身の「働き方」に委ねることになるからです。

効率的に業務が進められて生産性が上げられることがこのテレワーク導入の目的であることを労使双方と理解した上で、短い時間で効率的に業務が行うための仕組みづくりと同時に意識改革が求められるところです。

テレワークを導入するということは、当然、社外での業務を認めるということです。

今までのように、部下が管理者の目の届くところで業務をしているのではなく、部下が管理者の「目の届かないところ」で業務に従事することになります。そのため、個別に労務管理を行う必要が出てくるのです。業務の進捗状況の把握、評価等々…。そういったルールも整備しなければならないでしょう。

最後に、セキュリティの問題も懸念されます。例えば、カフェで資料を広げて業務を行うとなると、隣の人に見えてしまうといったことが懸念されます。また、出先で資料を忘れてきてしまった…なんてことも起こるかも知れません。

テレワーク+フレックスタイムで「働く場所」と「働く時間」を自由に!

テレワークに「勤務時間」を自由に選択することができる『フレックスタイム制』を適用することで、労働者は「働く場所」と「勤務時間」を自由に選択することが可能となります。このことによって、より効率的な働き方が実現することになるでしょう!

フレックスタイム制とは、労働者が働く時間を選択できる制度です。この場合、残業時間のカウントは、1日8時間・1週40時間の労働時間規制に代えて、清算期間(1か月)における労働時間の合計によって時間外労働の有無が判断されます。

例えば、清算期間における所定労働時間を160時間(1日の標準労働時間8時間・1か月の所定労働日数20日)とする場合、日々の労働時間が8時間を超えても残業時間とはならず、1か月の労働時間の合計が160時間を超えた場合に時間外労働の支払いが発生します。つまり、1日10時間の日があっても、1日3時間の日があっても1か月で160時間勤務すればよいということになります。

労働者の都合に合わせて働く時間を自由に設定することが可能となり、最もテレワークのメリットを生かせる制度といえます。

フレックスタイム制についてはの詳細は次回に…

 

 

プロフィール

飯野正明

特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士

1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。

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