blog

レコルブログ

  1. ホーム
  2. レコルブログ

労働基準監督署の調査の概要 社員A この前、部長に有給休暇の申請をしたら、入社したばかりで有給なんて良く言えるなっていわれちゃったよ 社員B 俺だって、残業の事前申請をしたら自分の出来が悪くて残業する癖にちゃんと申請するのか、だってさ… 社員C うちの部署なんて、不夜城って呼ばれてるよ。22:00過ぎてもほとんど帰る人いないから… 全員 俺らの会社ってまさにブラック企業だよな!! これは、たまたま入ったカフェで隣の席から聞こえた実際の会話です。『我が社のブラック企業度自慢』といったところでしょうか!? 彼らの勤めていた会社名までは聞こえませんでしたが、自分の勤めている会社が『ブラック企業』だなんて寂しい話ではありませんか。 労基署調査は「企業を守る」ため! 「労働基準監督官がやって来た!」どの企業にとっても喜ばしい出来事とはいえないでしょう。おそらく好きか嫌いかと問われれば、ほとんどの経営者は、後者を選択するに違いありません。 この労基署の調査は、「労働者の権利」を守るために行われているものでしょうか? 私は、「企業を守る」ために行われていると考えています。 最近は多くの企業で人手不足が言われています。いわゆる「売り手市場」となっており、企業は労働者から選ばれる立場にあります。労働者から選ばれない企業は、経営活動に支障を来たすこととなるのです。実際、人手不足を理由とする新規事業進出の断念、事業縮小をせざるを得ない企業も出て来ています。『人手不足倒産』といった言葉も現実味を帯びて来ているのです。 冒頭のカフェの会話に出てくるような企業にあなたは勤めたいと考えますか? では、企業が労働者から選ばれる為にはどうしたらよいのでしょうか? 真っ先に考えるべきなのは、「わが社は労働者が安心して働ける職場環境にあるのか?」ということです。それには、『労基法の遵守』が必須と言えます。 つまり、貴社の労基法の遵守度を確認する労基署の調査は、企業を守るために重要な場となるのです。 労基法を遵守して「選ばれる企業」に! 例えば、スポーツをするに当たっては、最低限のルールを知らないとプレー出来ません。野球で言えば打ったら一塁に走るし、サッカーでは基本的に手を使えません。これと同様に、人を雇うのであれば知っておかなければならないルールがあります。それが『労基法』といえます。 労務管理にとって重要な労基法を学ぶ場は、大学の法学部など限られた場所しかありません。つまり、重要な法律を学ぶ機会のなかった経営者は多くいらっしゃいます。しかしながら、これからの企業には、労基法を守って会社と労働者を守ることが求められます。 企業における「働き方」が見直される中、労基署調査があることで多くの経営者が労基法を学ぶきっかけとなっています。このことが、今、労基署の調査が注目されている理由と言えます。 労働基準監督署による調査ってどんなもの? 労働基準監督署による調査とは、労働基準監督官が事業場に対して労基法等の違反の有無を調査する立入検査のことです。一定の計画に基づき、業種や規模を任意に選び行われる場合(定期監督)や労働者からの申告に基づいて行われる調査(申告監督)などがあります。 (1) 労働基準監督官の権限 監督官の権限は、労基法で①事業場等の建設物への臨検、②帳簿、書類の提出を求めること、③使用者、労働者に対して尋問できることが保障されています。また、労基法違反について司法警察官の職務を行うことができます。つまり、逮捕することもできるということです。さすがに、調査で労基法違反が見つかり、その場で逮捕といったことは見たことはありませんが、その権限は持っているということです。 (2) 調査の対象は事業所ごと 調査の対象は、事業所ごととなっています。事業所ごととは、その会社で本社のみが対象になるということではなく、営業所や支店、工場や店舖等の全ての事業所が対象となっています。例えば、飲食店であれば店舖も対象となるということです。 (3) どんなことを調べるのか 労働基準監督官が調査に来た場合、以下の書類の提示が求められます。なお、書類の内容を確認するだけでなく、労働者へ直接ヒアリングや業務で使用しているPCなどを確認することもあります。 実際の調査の際に確認する書類はおおよそ以下の通りとなっています。 ① 会社の事業概要がわかるもの ② 組織図 ③ 労働条件通知書あるいは雇用契約書 ④ 労働者名簿 ⑤ 賃金台帳(直近3~6か月分) ⑥ タイムカード,出勤簿,時間外・深夜労働時間を集計したもの(直近3~6月分) ⑦ 就業規則等諸規程 ⑧ 時間外・休日労働に関する協定届(提出控) ⑨ 事業場外労働・裁量労働に関する協定届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届、フレックスタイム制に関する労使協定、その他各種労使協定(提出控) ⑩ 年次有給休暇管理簿 ⑪ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医・安全衛生推進者の選任報告(提出控)及び巡視記録 ⑫ 安全・衛生委員会規程、委員名簿、議事録 ⑬ 健康診断個人票、健康診断結果報告(提出控) ⑭ 長時間労働者に対する面接指導の実施状況が分かるもの 全体の7割近くの事業場に労基法違反を指摘! 『ブラック企業』を解消するため、厚生労働省では、毎年11月に「過重労働解消キャンペーン」として著しい過重労働や悪質な賃金不払残業などの撲滅に向けた取り組みの一環として集中的に監督指導が行われます。東京労働局によると今年も「長時間の過重な労働による過労死等に関して労災請求が行われた事業場や若者の「使い捨て」が疑われる企業などへ重点調査を行うとのことです。 昨年11月におこなわれた「過重労働防止キャンペーン」期間中には、全国で7,014事業場に対して調査が行われ、このうち4,711事業場(全体の67.2%)で労働基準関係法違反が指摘されています。 【主な違反内容】 (1) 違法な時間外・休日労働があったもの:2,773 事業場(39.5%) うち、時間外・休日労働(法定労働時間+法定休日労働)の実績が最も長い労働者の時間数が 1か月当たり80時間を超えるもの:1,756事業場(63.3%) うち、月100時間を超えるもの:1,196事業場(43.1%) うち、月150時間を超えるもの:257事業場(9.3%) うち、月200時間を超えるもの:52事業場(1.9%) (2) 賃金不払残業があったもの:459 事業場(6.5%) (3) 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:728 事業場(10.4%) 【主な健康障害防止に係る指導の状況】 (1) 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:5,269事業場(75.1%) うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:3,299事業場(62.6%) (2) 労働時間の把握方法が不適正なため 指導したもの:889事業場(12.7%) 労働基準監督署調査は突然、やってくる!? 労働基準監督署調査は、必要な書類を持参の上、会社の担当者が監督署に訪問する形で行われるケースもありますが、通常は、会社に監督官が訪問する形で行われます。 事前に電話連絡や文書により調査することを予告したうえで訪問するケース、何の前触れもなく、監督官が突然訪問するケースもあります。もちろん、突然来られて対応できないといったこともあるかもしれません。以前、ある監督官に、「突然来られるとなかなか対応が大変なので事前に予告してもらえると助かるのですが。」といった話をしたことがあります。その時の監督官は、「突然の訪問でないと確認できないこともあるので。」と言っていました。突然調査をすることで、その事業場の裏表のない実態が把握できるのだそうです。 事前に予告がある場合には、文書で調査の日時、準備する書類を指示されます。事前に予告がある場合には、会社側からすると、例えば、届出を忘れていた書類を事前に提出してしまうなどの対策を取ることができます。また、監督官側からすると、書類を準備しておいてもらうことで全体的な労務管理の状況をしっかりと見ることが可能となります。 調査の日程がどうしても合わない場合、たいていは、調整に応じてくれますが、調査は拒否できないものであると考えてください。 「是正勧告書」と「指導票」 労基署調査により、何らかの労基法違反等が確認された場合には、「是正勧告書」や「指導票」の交付を受けます。 (1) 是正勧告書 「是正勧告書」とは、サッカーでいうとレットカードです。明確な法律違反に対して「所定期日までに是正の上、遅滞なく報告するよう勧告します。」といった文書です。「違反事項及び該当法条項」「是正期日」が記載されており、交付の際、調査に立ち会った担当者の署名捺印を求められます。なお、是正勧告に従わない場合には送検手続きをとられることがあります。 (2) 指導票 「指導票」とは、イエローカードです。明確な法律違反ではないけれども、このままの状態が続くと法律違反となる可能性がある場合や行政通達に関する違反についてについて警告して改善を求めるものです。指導事項についても、期日を指定され改善状況を報告することが求められます。 (3) 是正勧告書・指導票への対応 是正勧告書、指導票いずれにおいても、是正・改善したことを報告します。だいたい1か月程度の日付を是正・改善期日として指定されます。万が一、所定期日までに是正・改善ができない場合は、その理由と経過報告等を行います。監督官が是正・改善したことを認めるまで報告は続けられます。以前、長時間労働の改善を指導されたケースでは、毎月勤怠データの報告が求められ、1年近く報告を続けたこともあります。なお、虚偽の報告は厳禁です。虚偽の是正報告をしたのち、再度調査が行われ、虚偽の報告が発覚して書類送検となったケースがあります。 調査に対する心構え (1) 過去は変えられない 調査は過去の一定期間が対象となっています。通常は、直近3か月から6か月程度の期間に対しての調査となります。過去の出来事ということは、「変えられない」ということになります。事前に違反行為があったことに気付いても、それを無かったことにすることは書類を改ざんすることになります。絶対にやってはならないことです。 (2) 誠意を持った対応を心がける 労働基準監督官が提出を求めた書類が速やかに提示される場合と、なかなか書類が出てこない場合では、前者の方があきらかに印象はよいのではないでしょうか。 36協定や就業規則については労働者に周知義務があります。つまり、監督官が突然来訪して「就業規則を見せてくれ」と言われた場合に「どこに保管されているか分からない」ということが労基法違反の指摘を受ける可能性があるということです。書類を隠すことなく、速やかに提示することを心がけてください。 また、監督官から違反行為を指摘された場合に、あまりにも根拠のない抵抗は慎んでください。指摘された事項については、誠意をもって改善する意思があるのだという姿勢が大切です。 (3) 調査は過去のこと、将来的な視点を持つ 「うちの会社は、ブラック企業なのか…」。自分の勤めている会社で労基法違反があったということに対する労働者のインパクトは想像以上に大きいものです。しかし、調査は、過去のこと。違反行為があったことは、変えられない事実なのです。 過去の清算による影響を考える経営者の方もいらっしゃいます。しかし、『過去のことより将来のこと。』労働者は、過ぎたことよりこれから良い方向に向かっていく会社に期待をしているはずです。「これから」に軸足を置いた労務管理を目指すべきです。 労務管理チェック表 自社の労務管理の実態を把握してみましょう。チェックが3つ以上は要注意です。 就業規則の前回の改定から5年以上経過している。 36協定の中身を把握していない。 先月残業時間が一番長かった労働者を把握していない。 時間外労働の時間数が月の途中で把握できる仕組みがない。 労働時間の把握は、労働者からの申告に基づいている。 賃金の中に「固定残業」が含まれているが、その対象となる残業時間数は不明確である。 過去6か月以内に、1か月の総労働時間(所定労働時間、残業や休日労働も含む)220時間を超えている労働者がいる。 管理監督者の労働時間を把握していない。 事業場における管理監督者の比率が30%以上である。 年次有給休暇の取得率が、50%未満である。 振休、代休が未消化の労働者がいる。 健康診断は行っているが、記録を保管しているだけである。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

割増賃金の話 数多くのトラブルの原因となっているのが「割増賃金」に関する件です。 良くあるご相談はこんな感じです。 社員A 残業や休日出勤をしたのに割増賃金が正しく計算されていないのではないか? 部長B 管理監督者となると割増賃金って一切支払われないの? アルバイトC アルバイトにだって割増賃金が支払われるのでしょ? 割増賃金の割増率 法定労働時間を超える時間外労働や休日労働、深夜の時間帯(22:00~5:00)に労働した場合には、通常の賃金にプラスして割増賃金の支払いが義務付けられています。この場合の割増率は以下の通りとなっています。 労働基準法第15条 労働の内容 割増率 時間外労働 (法定労働時間を超えて労働した場合) 25%以上 50%以下 ただし、大企業(注1)の場合、月60時間を超えて労働した場合は50%以上 休日労働 (法定休日に労働した場合) 35%以上 50%以下 深夜労働 (22:00~5:00に労働した場合) 25%以上 (注1)大企業に当てはまらない中小企業の範囲は、「資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主またはその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である企業については、当分の間適用除外となっています。 深夜労働の際に割増率が合算されることも 時間外労働が長引いて、22:00を超えて労働をした場合には、『時間外労働の割増賃金』と『深夜労働の割増賃金』を合算して支払うこととなります。つまり、50%以上の割増賃金の支払いが必要となるのです。 同様に、法定休日に労働している場合に22:00を超えて労働した場合には、『休日労働(法定休日)の割増賃金』と『深夜労働の割増賃金』を合算して支払うこととなり、割増率は60%以上となります。 なお、休日労働が長引いて8時間を超えた場合においても、『時間外労働の割増率』を合算して支払う必要はありません。つまり、法定休日に労働した場合には、22:00を回らない限り35%以上の割増賃金を支払う必要はないのです。 深夜労働の割増率 労働の内容 合計の割増率 時間外労働 + 深夜労働 50%以上 時間外労働(25%) + 深夜労働(25%) 法定休日労働 + 深夜労働 60%以上 法定休日労働(35%) + 深夜労働(25%) 翌日にまたがって勤務した場合の割増賃金の考え方 始業時刻の属する日から翌日の朝まで勤務するというように,翌日にまたがって継続勤務した場合の割増賃金については、前日の始業時刻から翌日の始業時刻までの労働を前日の勤務とし、それ以降の労働については当日の勤務ということになります。 また、休日については暦日(0時から12時)単位で考えることになっています。これらを踏まえて、X社を例に挙げて考えてみます。 X社の就業規則 第●条(所定労働時間) 当社の所定労働時間は、1日8時間、1週40時間とし、始業・終業の時刻及び休憩時間は次の通りとする。 始業9:00 終業18:00 休憩時間12:00から13:00 第■条(所定休日) 当社の所定休日は、次の通りとする。 (1)日曜日(法定休日) (2)土曜日 (3)国民の祝祭日 (4)年末年始(12月29日から1月3日) 第▲条(割増賃金の率) 割増賃金の割増率は、以下の通りとする。 (1)時間外労働 25% (2)深夜労働 25% (3)所定休日 25% (4)法定休日 35% 例1)月曜日から火曜日にかけて継続勤務した場合 (所定労働日から所定労働日にまたがって勤務した場合) 例2)金曜日から土曜日にかけて継続勤務した場合 (所定労働日から所定休日にまたがって勤務した場合) 例3)土曜日から日曜日にかけて継続勤務した場合 (所定休日から法定休日にまたがって勤務した場合) 例4)日曜日から月曜日にかけて継続勤務した場合 (法定休日から所定労働日にまたがって勤務した場合) 所定休日に出勤した場合に割増賃金が必要となることも 労基法上は、法定休日の労働にのみ、「休日出勤」としての割増賃金の支払いを義務付けています。しかし、「所定休日」の労働であっても割増賃金の支払いが必要となることがあります。 再び、先ほどのX社を例に挙げて説明します。ある週の勤務が、法定休日である日曜日は休み、月曜日から金曜日まで8時間勤務、所定休日の土曜日も8時間勤務をしたとします。この場合、出社したすべての日の勤務は8時間を超えていないので時間外労働の割増賃金は不要です。また、法定休日は確保されていますので休日出勤の割増賃金も不要となります。しかしながら、土曜日の所定休日に勤務したことによりこの週の労働時間は48時間となっています。 このようなケースにおいては、1週40時間を超える労働に対しては法定時間を超える労働となるため、8時間分の「時間外労働の割増賃金」を支払わなければなりません。 実際は、休日出勤に対しての支払うこととなるのですが、労基法上は時間外労働としての取り扱いとなるのです。したがって、割増率は25%以上で良いということになります。 休日を振替えた場合においても週40時間を超えた場合には同様の取扱いとなります。 割増賃金の計算方法 月給で支払われる場合の割増賃金の計算の基となる「時間単価」は、次の計算式により算出します。 時間単価 = 基本賃金 ÷ 1か月当たりの平均所定労働時間数 この時間単価にそれぞれの割増率を掛けて割増賃金は、算出します。 なお、「基本賃金」とは、所定労働時間労働した場合に支払われる全ての賃金のことをいい、基本賃金から除ける賃金は以下のもののみとなっています。 ①家族手当 ②通勤手当 ③別居手当 ④子女教育手当 ⑤住宅手当 ⑥臨時に支払われた賃金 ⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 また、「1か月当たりの平均所定労働時間」は次の通り算出します。 (1年間(365日or366日) - 年間所定休日日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12か月 この「1か月当たりの平均所定労働時間」は、その年の労働日数に応じて変わってきます。 またまた、X社を例に1か月当たりの平均所定労働時間数を考えてみましょう。 2017年は、(365日 - 120日(所定休日数)) × 8時間 ÷ 12か月 ≒ 163.33となります。 2018年は、(365日 - 121日(所定休日数)) × 8時間 ÷ 12か月 ≒ 162.67となります。 この場合の基本賃金30万円のD氏の割増賃金の単価(ともに円未満切り上げ)は以下のようになります。 2017年は、30万 ÷ 163.33 ≒ 1,837円 2018年は、30万 ÷ 162.67 ≒ 1,845円 2017年と2018年を比較すると、2018年の方が休日は「1日」多くなっており、1か月当たりの平均所定労働時間は、少なくなっています。そのため、2018年の方が単価は「8円」高くなっているのです。つまり、カレンダーの関係で休日数が増え、労働日数が減ると割増賃金の単価が上昇します。逆に労働日数が増えると単価は下がります。 毎年休日数が変動する会社においてはこの点に注意しなければなりません。労働日数が増えた場合(つまり、割増賃金の単価が下がっている場合)には、未払賃金は生じませんが、労働日数が減った場合(つまり、割増賃金の単価が上がった場合)に、見直しをしていないと未払い賃金が生じる恐れがあるからです。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年9月26日(火)にレコルをバージョンアップしました。   ■バージョンアップ内容 「時間外アラート」機能の追加 「出退勤アラート」機能の追加 勤務区分の拡張 「所定内労働」項目の追加 共用打刻の打刻モード自動切り替え機能の追加 その他 小改善     「勤務アラート」機能を追加 勤務アラート機能では、予め設定された時間を超える残業時間を通知する「時間外アラート」と、打刻忘れや遅刻早退など日々の勤務をチェックする「出退勤アラート」を設定することができます。   時間外アラート 「時間外アラート」では上限となる残業時間を任意に、かつ複数設定できますので、例えば15時間、30時間、45時間とアラートを段階的に設定して通知することが可能になりました。 また、当月だけでなく過去2ヶ月や過去3ヵ月の合計時間にアラートを設定することができますので、36協定違反を未然に防ぐための警告としてアラートを設定することが可能です。     各アラートをクリックすると該当者が一覧表示されますので、注意すべき従業員をすぐに把握することができます。     チェックする残業時間の上限の変更はもちろん、アラート対象を所属や雇用区分ごと(社員、パート・アルバイトなど)に設定することもできますので、運用に合わせたカスタマイズが可能です。 ※今回のバージョンアップに伴い、既存の所属やグループに設定している時間外アラート機能を廃止しています。お手数ですが新しい「時間外アラート」をご利用いただくようお願いいたします。     出退勤アラート 「出退勤アラート」では、これまでの勤務表の入力漏れのアラートに加えて、出退勤の打刻忘れや遅刻や早退、出退勤打刻と勤務表が1時間以上乖離している勤務などをアラートで通知することができるようになりました。 これにより「まだ出社していない社員はいないか」「打刻した時刻を不正に修正している社員はいないか」などのチェックを簡単に行うことが可能になります。     各アラートをクリックすると該当者が一覧表示されますので、該当する従業員をすぐに把握することができます。     アラートは設定メニューからON/OFFや本人に通知するかを設定することができますので、運用にあわせたカスタマイズが可能になっています。     その他の機能追加 勤務区分に「実働時間として扱う時間帯」の設定を追加 有給休暇や半休、特別休暇に実働時間として扱う時間帯を設定できるようになりました。 例えば、所定時間が"9:00~17:30(昼休憩12:00~13:00)"の場合は以下のように設定することで、勤務区分を変更するだけで実働時間が計上されるようになります。 ・「有給休暇」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 17:30"を設定 ・「午前半休」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 12:00"を設定 ・「午後半休」の実働時間として扱う時間帯に"13:00 - 17:30"を設定 ・「特別休暇」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 17:30"を設定   勤務区分の「出勤日数にカウントする」で0.5日を設定可能に これまでは出勤日数のカウントは1日単位でしたが、例えば半休休暇で出勤日数のカウントを0.5日にしたい場合は、勤務区分の設定を変更することで0.5日単位でカウントすることができるようになりました。   「所定内労働」の項目を追加 表示項目に「所定内労働」を追加しました。所定内の労働時間が計上されますので、給与ソフトとの連携などにご使用いただけます。 初期設定では項目表示がOFFになっていますので、[設定]-[表示項目設定]より変更してください。   共用打刻の打刻モード自動切り替え機能の追加 共用打刻(名前をタップして打刻)でも出勤と退勤ボタンを切り替える時間を設定できるようになりました。 これにより、午前中は出勤ボタンを、午後には退勤ボタンをデフォルト表示するように設定できますので、出勤/退勤の打ち間違えを減らす効果が見込めます。 設定する場合は、画面右上のメニューから「画面設定」を選択して設定してください。   バグ修正 勤務設定の「実働時間の合計を丸める」の仕様を修正 これまでは開始と終了の時間を丸めた後に休憩時間を差し引いていましたが、休憩時間を差し引いた後に合計時間を丸めるように修正しました。   例:休憩時間"12:00~12:45"、実働時間の合計を"30分丸める"の設定で勤務時間が"9:00~18:20"の場合 ■修正前 ①開始~終了の時間を丸める("9:20" → "9:00") ②上記①から休憩時間を差し引く("9:00" - "00:45" = "8:15") 実働時間は"8:15"となります   ■修正後 ①開始~終了の時間から休憩時間を差し引く("9:20" - "0:45" = "8:35") ②上記①の時間を丸める("8:35" → "8:30") 実働時間は"8:30"となります   ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。     「遅刻」「早退」の仕様を修正 これまでは遅刻時間と早退時間に休憩時間が含まれてしまっていましたが、休憩時間を控除するように修正しました。   例:所定時間"9:00"、休憩時間"12:00~13:00"で出社時間が"13:00"の場合 ■修正前 ①所定開始~勤務開始("4:00") 遅刻時間は"4:00"となります(休憩時間の1時間が含まれています)   ■修正後 ①所定開始~勤務開始("4:00") ②上記①に該当する休憩時間を差し引く("4:00" - "1:00" = "3:00") 遅刻時間は"3:00"となります   ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。     最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。  

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「社員の勤務状況を把握する方法」をご紹介します。 皆さんは普段の業務を行う中で、遅刻している社員がいないか、ノー残業デーに残業している社員がいないかなど、その時々の勤務状況をどのように把握していますか? クラウドの勤怠管理システムならこれらの勤務状況がいつでもリアルタイムに把握できますので、勤務時間をチェックするためにタイムカードを確認する必要はありません。また出退勤だけでなく休憩中や外出中、休暇取得などの勤務状況も簡単に確認することができます。 レコルを活用した勤務状況の把握方法 ダッシュボード(勤務状況) レコルには勤怠管理者向けに便利なダッシュボードがあり、社員の勤務状況が一目で分かるようになっています。 ダッシュボードを使うことで以下の運用が可能になり、日々の勤務状況管理が容易になります。 当日の朝の出社状況を一目で確認(遅刻者はいないか) 他拠点、他店舗の勤務状況を把握 帰宅時にまだ勤務している社員がいるか確認 営業の直行直帰勤務を把握(GPSによる位置情報も確認可能) 打刻・勤務状況(勤務管理) こちらでもダッショボードと同じく勤務状況が確認できます。それ以外にも、1日の打刻状況や勤務表の修正履歴を確認することもできますので、休憩の取得状況や営業の外出状況などを振り返ることができます。 また、雇用区分ごとに絞り込むことができますので、アルバイトだけの勤務状況を確認する使い方も可能です。 タイムカードと比較してこんなメリットが レコル導入前までタイムカードで勤怠管理していたお客様から改善の声をいただいています。   「他店舗の出退勤状況も一目で分かるようになった!」   「直行直帰の勤務状況も分かるようになり、GPS打刻で透明性も担保できるようになった。」   「工場内に残っている人を把握できるようになった。」   「休憩中や外出中も分かるので、行き先案内板としても活用できる。」   「派遣先の社員の出退勤の状況が見えるようになった!」 今後のバージョンアップで残業時間の管理がもっと便利に レコルでは今後のバージョンアップで「法令順守チェック」の予定をしています。具体的には、「年間を通して勤務時間の多い月」や「特定の期間で残業時間の多い社員」など年間や月間など特定の期間の勤務状況をデータ化して、日別とは異なる視点で社員の勤務状況を把握できるようになる予定です。 レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「法令順守チェック」を対応しました!詳しくは「法令順守チェック」をご覧ください。また、法令順守チェックはデモサイトにてご確認いただけますので、是非お試しください。 デモサイトを試してみる

休日と休暇 労働者にとっても会社にとっても「会社が休み」という意味では違いは感じられないかもしれませんが、そもそも「休日」と「休暇」は似て非なるものなのです。 休日とは、労働者にとって働かなくて良い日のことをいいます。つまり、労働契約において労働義務がない日ということになります。 労基法第35条では、「使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。また、業務の都合等によって週1日の休日を与えられない場合には、「4週を通じて4日以上」の休日を与えればよいこととなっています。これらの休日のことを「法定休日」といいます。 ちなみに「4週を通じて4日以上」の休日を与えることを「変形休日制」といい、この場合には4週間の起算日を明らかにすることとされています。 一方、会社には、週1回の休日以外にも休日があります。例えば、土曜日と日曜日の週休2日制の企業の場合に、いずれか一方の休日が「毎週少なくとも1回の休日=法定休日」に該当します。また、もう一方の休日を「法定外休日(所定休日)」といいます。どちらが法定休日となるのかは就業規則等により定めるものとされています。会社によっては、祝祭日や夏季・年末年始等を休日とすることもありますが、これらは就業規則等に定めることとなっています。 なお、休日の単位は暦日とされています。暦日とは「午前零時から午後12時までの24時間」のことをいいます。例えば、「休日である日曜日に1時間だけ出社した後、休日を取った。」としても休日に出勤したこととなるため、休日を取得したことにはなりません。 一方、「休暇」とは労働義務が免除されている日のことをいいます。つまり、本来労働日であったものを労働者からの申出等により働かなくてもよいことする日のことです。 法令上与える義務のある休暇には、年次有給休暇(労基法39条)、産前産後休暇(労基法65条)、育児時間(労基法67条)、生理休暇(労基法68条)、育児・介護休業法に基づく育児・介護休業などがあります。 また、法令上与える義務はないが企業が任意に定める休暇には、慶弔休暇や傷病休暇などがあります。これらの休暇中の賃金は、年次有給休暇を除いて有給とするか無給とするかについては、会社が任意に定めることができます。 法定外休日(所定休日)に出勤した場合も割増賃金は必要! 労基法上は、法定休日に勤務したときにのみ、「休日出勤」としての35%以上の割増賃金の支払いを義務付けています。しかし、実際は所定休日の場合でも割増賃金の支払いが必要となることがあります。 例えば、1日の所定労働時間が8時間、土曜、日曜日(法定休日)を休日とする会社の場合に、ある週の勤務が平日、月曜日から金曜日まで8時間勤務したとします。加えて、所定休日の土曜日にも8時間勤務し、日曜日は休日を取得しました。このケースで考えると、出社した日はどの日についても8時間勤務ですから時間外労働の割増賃金は不要です。また、法定休日は確保されていますので休日出勤の割増賃金は不要となります。しかしながら、土曜日の所定休日に勤務したことによりこの週の労働時間は48時間となっています。割増賃金は「1週40時間」「1日8時間」を超えた労働について支払う義務があります。したがって、1週40時間を超える「8時間」については「時間外労働」としての割増賃金を支払わなければなりません。実際は、休日に出勤したことによる支払いとなるのですが、労基法上は時間外労働としての取り扱いとなるのです。つまり、割増率は25%以上で良いということになります。 振替休日と代休 業務の都合上、休日に出勤した場合、その代わりに休日を与えることが少なからずあります。この場合、「振替休日」であるのか「代休」であるのかを混同して運用しているケースが見受けられます。 「振替休日」とは、休日出勤をする場合に、あらかじめ休日出勤する日と労働日を入れ替えたうえで休日出勤させることです。「休日」と「労働日」を事前にチェンジさせるという考え方です。つまり、本来の休日⇒労働日、本来の労働日⇒休日とした上で、出勤させることとなるため、休日出勤したことにはならないという仕組みです。 「代休」とは、休日に労働させた場合に、事後的な代償措置として特定の労働日の労働義務を免除するものです。 「先日の休日出勤、お疲れさま。代わりに次の水曜日休んで!」というケースが該当します。この場合、休日出勤の事実については帳消しとなりません。 つまり、あらかじめ、休日をチェンジさせる「振替休日」は休日出勤自体をしていないこととなり、「代休」は、休日出勤をした上で代わりに休ませているということになるのです。 振替休日の際の割増賃金 振替休日をした場合には、「休日労働」をしたことにはならないので休日出勤としての割増賃金の支払いは不要となります。しかしながら、休日の振替が同一週以外の場合は、もともとの休日を労働日にチェンジしたとしてもその週は6日勤務したことになります。1日の所定労働時間が8時間であるとすると、この週の労働時間は48時間となります。 この場合は、1週40時間を超える労働となり、時間外労働としての割増賃金(25%以上)のみ支払いが必要となるのです。 つまり、振替休日であっても振替日を同一週以外の日とする場合は、時間外労働としての割増賃金が生じることになるのです。 振替休日が同一週以外の場合 振替休日が同一週の場合 なお、振替休日を行う場合には、次のルールを守る必要があります。 ①就業規則等に休日の振替ができる旨の規定を設けておくこと。 ②振替休日の実施日の少なくとも前日までに、振替日を指定の上、労働者に通知すること。 ③振替日については、振り替えられた日(もともとの休日)以降出来る限り近接している日を選ぶこと。 代休の際の賃金の取り扱い 代休の場合は、休日出勤をした事実は、帳消しにはなりません。つまり、休日出勤に関しては割増賃金の支払いが必要となるのです。 例えば、法定休日に出勤した後、代休を取得した場合は休日出勤に対して「135%」の賃金を支払い、代休を取得した場合には割増賃金を除いた「100%」の賃金を控除することができます。したがって、代休取得をしても割増賃金部分「35%」については支払うことになるのです。 なお、代休を取得した場合に賃金を控除する場合は、就業規則等に代休取得時に賃金を控除する旨の規定を設けておく必要があります。 ご注意ください 「この前の休日出勤の分は、来月振替休日を取得する予定です。」 「代休がだいぶ貯まって、20日も残っている。」 「代休を取得せずに1年経つと消滅する。」 こんな話を聞くと、正しい運用ができているのかな?って心配になります。 振替休日、代休の運用の際には、特に以下の点についてご注意ください。 ①代休と振替休日を混同しているのではないか。 ②代休を取得するのを前提として「休日出勤」の賃金を支払っていないのではないか。 ③週40時間を超えた場合の割増賃金を支払っているのか。 ④就業規則に「振替休日」に関する規定はあるのか。 ⑤就業規則に「代休取得時」の控除についての規定はあるのか。 ⑥休みが取れていない=過重労働となってはいないか。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

はじめまして。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 第1回目は、クラウド勤怠管理システムの一番のメリットである「リアルタイムな勤務時間の管理方法」をご紹介します。 昨今、社会問題にもなっている長時間労働は社員の健康管理や離職にも繋がると言われていて、これらを未然を防ぐには日々の残業時間を正確に把握しておくことがとても重要です。 レコルを活用した残業時間の管理方法 ダッシュボード レコルには勤怠管理者向けに便利なダッシュボードがあり、社員の実働時間や残業時間(時間外)をグラフで確認でき、一目で残業時間の多い従業員や偏りを把握することができます。 残業時間に関しては、締め日時点の予測値を「時間外見込み」として表示することもできますので、今のままだと最終的にどれくらいの残業時間になるか把握した上で稼動状況の見直しに取組むことができます。 また、前月と比較することができますので、前月に比べ残業時間が多くなりそうかなどを把握することもできます。 勤務表一覧 集計された勤怠情報を一覧で表示することができ、ダッシュボード同様に実働時間や残業時間(時間外)の管理をリアルタイムに行うことができます。 また、有休休暇の取得状況や遅刻早退勤務の日数も把握することができます。 タイムカードと比較してリアルタイムな勤怠管理にはこんなメリットが レコル導入前までタイムカードで勤怠管理していたお客様からよくこのようなお話をお聞きします。 「タイムカードだと月末月初に計算するまで残業時間が分からないため、残業時間抑制の対応ができていなかった。」 「休日出勤していたことをタイムカード集計するまで気付かなかった。」 こういったお客様からもレコル導入後は以下のような効果を実感いただいています。 「月中でも労働時間を把握できているため、稼働の多い従業員の作業を稼働の少ない従業員に分担させるなど、残業時間の抑制に対応しやすくなった。」 「休日出勤したことを把握できるため、代休取得を促すなど迅速な対応ができるようになった。」 今後のバージョンアップで残業時間の管理がもっと便利に レコルでは今後のバージョンアップで「アラート機能」や「勤怠分析機能」の予定をしています。 具体的には、残業時間が45時間を超えた従業員をアラート表示するなど、管理者の作業をこれまで以上に効率化できる機能を提供する予定です。 レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「アラート機能」「勤怠分析機能」を対応しました。詳しくは「勤務アラート」「勤怠分析機能」をご覧ください。 また、こちらの機能は無料お試しにてご確認いただけますので、是非お試しください。 レコルを無料で試してみる

所定労働時間と法定労働時間 社員A この前、2時間残業したのに、割増賃金が1時間分しか支払われて無いんだけど…間違っていませんか? 担当者B 当社の『所定労働時間』は7時間なので、最初の1時間は割増賃金の支払いはしていません。しかしながら、『法定労働時間』を超えた分については25%の割増賃金を支払っています。 社員A 同じ日に残業しているのに支払われる賃金が違うのはどうしてなんだろうか?? 会話の中に出てきた『所定労働時間』と『法定労働時間』は似て非なるものです。この2つの違いが分からないとAさんの疑問は解決しません。 『所定労働時間』とは、労働者が働くこととなっている時間のことです。就業規則や雇用契約書に記載されている始業時間から終業時間までの時間から休憩時間を引いた時間のことをいいます。例えば、始業時間が9:00、終業時間が18:00、休憩時間が1時間であれば、所定労働時間は「8時間」となります。 『法定労働時間』とは、労働基準法第32条に規定されている労働時間の限度のことです。 労働基準法第32条 第1項 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時を超えて労働させてはならない。 第2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日ついて8時間を超えて、労働させてはならない。 とそれぞれ規定されています。この1週間または1日の労働時間の上限である『1週間40時間』、『1日8時間』のことを法定労働時間と言います。 労働基準法は、最低限度の基準を定めている法律ですから,『法定労働時間』を超える労働時間を『所定労働時間』として定めることは許されません。つまり,「所定労働時間」を1日9時間や1週50時間と定めることは許されないということです。仮に、法定労働時間を超える所定労働時間を定めていたとしても,法定労働時間を超える部分は無効となります。上記の例でいうと、1日「9時間」と定めていたとしても法定労働時間である「8時間」が優先されるということになります。 なお、業種・規模によって1週間の法定労働時間が例外的に「44時間」が適用されるケースや「変形労働時間制」による例外もあります。 「所定労働時間」≠「法定労働時間」の場合は注意が必要 「所定労働時間」と「法定労働時間」が違うものだということは、当然ですが両者が一致するとは限らないということになります。所定労働時間と同じ時間の法定労働時間が定められることもあれば,所定労働時間とは異なる時間の法定労働時間が定められることもあります。 先の会話に出てくるX社では、所定労働時間は「7時間」、法定労働時間は「8時間」ということで「所定労働時間」とは異なる時間の「法定労働時間」が定められています。 この「所定労働時間」≠「法定労働時間」場合に、Aさんの疑問が生じることがあるのです。 一般的に『残業』とは、労働者が働くことを決められている時間=『所定労働時間』を超えて働くことをいいます。 しかしながら、労働基準法において、割増賃金の支払いが義務付けられているのは『法定労働時間』を超えた場合となっています。 この割増賃金の支払いが義務付けられていない残業を「法定内時間外労働」といい、割増賃金の支払いが義務付けられている残業を「法定外時間外労働」といいます。 ちなみに、「法定外時間外労働」の際に支払う割増賃金の割増率は、「25%以上50%以下の範囲」とされています。 これらを踏まえた上で、Aさんの疑問を解消するために、先の会話を解説します。 X社は、1日の『所定労働時間』が「7時間」となっているところ、Aさんは、「2時間残業」したとのことです。つまりその日は「9時間」働いたということになります。 残業を始めて最初の「1時間」は、「法定内時間外労働」となりますので割増賃金を支払う必要がありません。しかしながら、『法定労働時間』である8時間を超えてからは「法定外時間外労働」となりますので、9時間までの「1時間分」については、25%以上50%以下の範囲の割増賃金を支払わなければならないのです。 これを図で示すと以下の通りとなります。 なお、X社は、法律通りの運用をしており、「法定内時間外労働」に対しては割増賃金の支払いをしていません。もちろん、「法定内時間外労働」に対して割増賃金を支払うことは、法律の定めを上回ることになりますので、問題ありません。いずれにしろ、割増賃金を支払うのか、支払わないのかは就業規則等に規定しておかなければなりません。X社の場合はこんな感じに就業規則に定めることとなります。 就業規則記載例)法定外時間外労働に対してのみ割増賃金を支払う場合 時間外勤務手当は、法定労働時間を超えて勤務した時間数に対して、次の算式により計算して支給します。なお、所定労働時間を超えて法定労働時間までの勤務に対しては、「1.25」を「1.00」に読み替えて計算します。 また、所定労働時間を超えた時間に対して割増賃金を支給する場合は次のように就業規則に定めることとなります。 就業規則記載例)所定労働時間を超えた時間に対して割増賃金を支払う場合 時間外勤務手当は、所定労働時間を超えて勤務した時間数に対して、次の算式により計算して支給します。 所定労働時間は明確にしておくこと 所定労働時間の基となる「始業時刻」「終業時刻」「休憩時間」については、採用時に書面などで明示しなければならない『労働条件』となっています。なお、「所定労働時間」≠「法定労働時間」の場合の割増賃金の計算方法についても書面等による明示が義務付けられている事項となっています。 明示の方法としては、「労働条件通知書」として労働者に書面を交付する方法があります。しかしながら、後のトラブルを避けるために労働者、使用者双方が内容を確認した上で、捺印をして締結する「雇用契約書」による方法をお勧めします。 労働基準法第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。 ※明示しなければならない労働条件 (1) 労働契約の期間 (2) 就業の場所・従事する業務の内容 (3) 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項 (4) 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項 (5) 退職に関する事項(解雇の事由を含む) 所定労働時間が日によって異なる働き方をしているケースもあるでしょう。この場合の記載方法をいくつか挙げておきます。 例1)曜日ごとに決められているケース 月、水、金曜日は9:00から18:00 休憩時間1時間 火、木曜日は10:00から18:00 休憩時間1時間 例2)シフト表で定めるケース 1日の所定労働時間は8時間以内とし、各日の始業、終業の時刻は前月末日までにシフト表によって定め、労働者に通知する。 なお、休憩時間は各日とも1時間とする。 昨今、働き方改革ということで所定労働時間を短縮する等の多様な働き方があります。この場合に、採用時の所定労働時間を変更することも考えられます。所定労働時間を変更する場合には、双方で明確にできるよう「書面」によって労働者に通知しておくべきです。もちろん、所定労働時間と法定労働時間が異なる場合には、割増賃金の対象となる時間も明確にしておきます。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

遅刻や早退時間、法定内残業、法定外残業の集計に対応しました。 いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年7月13日(木)にレコルをバージョンアップしました。   今回のバージョンアップでは、遅刻時間や早退時間、法定内残業、法定外残業の集計項目追加に加えて、 ファイル出力項目をカスタマイズできるようになりました。 これにより、給与ソフトへのcsv連携がさらに容易になっています。     遅刻時間や早退時間、法定内残業、法定外残業の集計に対応 遅刻早退の時間集計と法定内残業、法定外残業は自動で集計され、勤務表や勤務集計画面で確認することができます。     勤務設定の開始/終了時刻(あるいはコアタイム)を過ぎた出勤や退勤から自動で「遅刻時間」「早退時間」として集計されます。 例)開始-終了(09:00 - 17:30)の場合 ①10:00出社 → 01:00が遅刻時間として計上されます ②16:30退社 → 01:00が早退時間として計上されます ※遅刻早退時に勤務区分を自動で「遅刻」や「早退」に設定することができます   勤務設定の所定時間を元に法定内残業と法定外残業が自動で集計されます。 例)所定時間が7時間30分で、09:00 - 18:30(休憩1時間)と8時間30分勤務した場合、 ①00:30が法定内残業として計上されます ②00:30が法定外残業として計上されます   遅刻時間や早退時間、法定内残業、法定外残業を集計する場合は、[設定]-[表示項目設定]から各項目をONにしてください。     出力項目のカスタマイズ 出力項目をカスタマイズして、給与ソフトとの連携用に項目名を変更したり、項目を追加したりできるようになりました。       出力項目の名称を給与ソフトなどにあわせて自由に変更することができます。 例)ログインID → 従業員コード   レコルにはない項目を追加して、給与ソフトの勤怠データ取り込み形式にあわせることができ、 追加項目の出力する値も設定できます。 例)性別を追加(出力する値は空)     勤務表の印刷プレビュー機能 [設定]-[環境設定]の「勤務表の印刷画面表示ボタンを表示する」にチェックしておくと、勤務表の印刷プレビューを表示することができるようになりました。     このまま印刷することはもちろんのこと、ブラウザの印刷機能からpdfとして保存することも可能です。     最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。  

『労働時間管理』きちんとできていますか? 過去に対応したご相談の中で『労働時間の把握』をしていなかったことが原因である相談・トラブルが数多くありました。 例えば… (1)A社に最近入社した労働者に遅刻が多いので注意したところ・・・ 「遅刻をした証拠があるのか! それより残業代も支払ってないくせに!!」 と返されてしまった… (2)B社を退職したXから届いた郵便の内容は… 「毎日20時過ぎ迄残業をしていたのに、今まで一度も残業代を支払って貰ったことがない!」 「在職中の残業代1日2時間×労働日数240日×2年分=480時間分を支払え!」 といったものでした。実際のところを確認しようにも会社にあるのは、出社した記録だけ… (3)C社からは 日曜日の休日出勤中に労働者が負傷したとのこと。労災の申請を行うために「勤務表」を確認すると名前以外は何も記載が無い。 担当者に確認すると… 「残業や休日出勤があれば労働者自身が記載することとなっています。」 負傷したのは休日出勤中だったのにその日には「休日出勤」の記載無。 これってホントに労災? 労働時間を把握できていないと 遅刻を注意したら労働者に逆ギレ! 残業代払おうにもいくら払ったら良いか分からず… 労災って言われてもその日に出勤記録が無ければ、労災かどうかも確かめられず… 会社としての義務を果たそうと思っても果たせません! 労働時間の把握は、会社に義務付けられています 労働時間の把握の方法については、労基法には、明確に規定されてはいません。 でも、労働時間を把握していなければ、残業代や深夜労働に対する割増賃金を支払うことは出来ないし、労働時間数が分からなければ、労働時間数等を賃金台帳に記載することも出来ません。 つまり、労働者が働いている時間を正確に把握出来なければ労基法の義務が果たせないのです。 しかしながら、上記のような相談・トラブルが数多くあることから、厚生労働省は『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』(労働時間ガイドライン)を策定しました。(平成29年1月20日策定) 「労働時間ガイドライン」によると、「使用者が労働日ごとに始業・終業の時刻を確認し記録すること」としており、その記録の方法として、原則2つの方法を挙げています。 (1)使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。 (2)タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。 この原則の方法で行わずに、『自己申告制』により始業・終業の時刻の確認、記録を行わざるを得ない場合には、使用者は次の措置を講じなければなりません。 ① 自己申告制の対象となる労働者に対して、「労働時間ガイドライン」を踏まえて、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。 ② 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、労働時間ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。 ③ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間を補正すること。 特に、入退場記録やPCの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。 ④ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。 その際。休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。 ⑤ 自己申告は労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。 また、時間外労働の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。さらに、36協定により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが慣習的に行われていないかについても確認すること。 「自己申告制」による労働時間の把握 「労働時間ガイドライン」を見ると、厚生労働省は「自己申告」による労働時間の把握については信頼性に乏しいと考えているようです。 特に、以下の点については注意が必要です。 「入退場記録」「PCの使用時間の記録」と「自己申告により把握した労働時間」とのかい離 労働時間終了後に社内にいる「休憩」「自主的な研修」「教育訓練」「学習」の時間の実態 「時間外労働削減のための社内通達」「時間外労働手当の定額払」の措置の適正な運用 36協定について「記録上、守っているようにすることが慣習的に行われていないか」 おそらく、労働基準監督署の臨検等で調査の中でも、このような違反が多くあったのでしょう。いずれにしても、「自己申告制」という労働者に「労働時間の申告」をゆだねている場合においても、その正確性の担保は使用者にあるといったところを理解しておかなければなりません。 つまり、「会社は、早く帰れっていっているのに労働者が勝手にやっていることだ!」とか「会社が命令した時間じゃないから、労働時間としては認められない!」といった社長の言い訳は通用しないということになるのです。 労働時間を管理する必要性 単純に、使用者の指揮命令下にある「労働時間」について、会社が把握していないって「無責任」って思いませんか。 「労働時間の管理ができていない」 ⇒ 「長時間労働」 ⇒ 「ブラック企業」 こういった図式は定着しているといえます。 労基署の臨検の際にもタイムカード上は、残業時間が少なく表示されているにもかかわらず実際に調べてみると、「把握できていない労働時間」「隠れた(隠された)労働時間」が発覚して多額の未払賃金の支払いとなった例は数多く経験しました。 今や「労働時間管理」は、労働時間を適正に把握するだけにとどまらず、「労働時間を抑制 (コントロール)」することが目的と考えなければなりません。本当に働いた時間が把握できなければ、労働時間をコントロールすることはできません。 適正に労働時間を把握して、メリハリのある働き方ができるように労働時間をコントロールすること、これが「働きやすい職場」づくりの第一歩ではないでしょうか。 もちろん、必要な残業はやってもらわなければなりません。ときには、徹夜で業務を行ってもらわなければならないこともあるかも知れません。 その場合に、遅くまで仕事をしていたことを「正しく申告できない」のであれば、会社に働いていたことさえも認識してもらえず、当然、その分の賃金も支払われず、労働者にとって”泣きっ面に蜂″です。『こんな会社に辞めてやる!』ってなってもおかしくないですよね。 この人手不足の折、不本意な理由で労働者が辞めてしまうことは良いことではありません。 少なくとも、上司は、 ①残業をしなければならない状況にあること ②残業をする必要性があること ③他の者に手伝わせることができるか については確認しながら残業をさせることが必要です。 こんな効果も 労働時間を正確に把握することで、「残業時間」や「欠勤日数」「遅刻、早退」などの労働者の勤怠の実態が分かります。こういった労働者の勤怠の実態を見て、必要に応じて労働者に声掛けをすることも重要です。 社内におけるトラブルの多くは「社内のコミュニケーション不足」を原因となっています。 「昨日、だいぶ遅くまで残っていたけど何かあったのか。」とか「先週、休んでいたけど体調は大丈夫か」、こういった声掛けが『社内のトラブル』を未然に防ぐことにもつながるのです。 もちろん、私も使用者として、職員の労働時間を管理しています。「勤怠管理システム」で出社の処理を行うと、「勤怠管理システム」から「おはようございます。」のメッセージ、終業時には、「お疲れさまでした。」とメッセージが聞こえてくるのです。その音声が聞こえるとみんな「ニコッ」としています。中には、「勤怠管理システム」に返事をしちゃったりすることも… 当事務所の社内の雰囲気づくりの一端を勤怠管理システムが担ってくれています。 「労働時間の適正な把握」 ⇒ 「適切な労務管理」 ⇒ 「働きやすい職場環境」 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

初めて勤怠管理システムを導入しようとすると、勤務時間の自動集計、リアルタイムな勤務状況の把握、給与ソフトへの連携など、一見メリットしかないように思えます。しかしシステムということはエクセルや紙のタイムカードとは違って、導入後に「やっぱりこうだった」「これも必要かも」となった場合に自由に変更することができないというリスクを抱えています。 そこで今回は、勤怠管理システムの導入で後悔しないためにはどんなことに注意すればいいかを6つのポイントでご紹介します。 ポイント1:自社の勤務体系にシステムが合うか ポイント2:打刻方法について ポイント3:社員が使いやすいシステムか ポイント4:クラウド型かパッケージ型か ポイント5:サポート体制について ポイント6:無料お試しの有無 ポイント1:自社の勤務体系にシステムが合うか 勤怠管理システム導入前にまず確認したいのが、自社の勤務体系に検討中のシステムが合うかどうかです。業者や会社規模ごとに就業規則や勤務体系は大きく異なります。 例えば、様々な自社独自の就業ルールに対応できるか 導入してから自社の就業ルールに合わなかったといったことがないように、導入前に無理なく対応できるか確認することをオススメします。 また、勤怠管理システムの導入を機に無駄な運用がないか見直してみるのもいいかもしれません。 ポイント2:打刻方法について 勤怠管理システムには様々な打刻方法が用意されています。 例えば、ICカードをかざすだけで出退勤を記録できるタイムレコーダーや、パソコンのブラウザから各自がログインして打刻、あるいはスマホに専用アプリケーションをインストールして打刻する方法などが用意されています。 スマホやパソコン操作に慣れている人であれば、どんな打刻方法でも簡単につかいこなせるでしょうが、不慣れな人の場合はそうもいきません。その他にも指紋や静脈による打刻など不正打刻を防止できる打刻方法やスマホアプリのGPS機能を使って位置情報を打刻時に記録する方法などもあります。 どんな打刻方法が用意されていて、自社の社員が使いこなせる打刻方法を選択することがポイントです。 ポイント3:社員が使いやすいシステムか 多くの社員が毎日使うシステムですので、使いやすく手軽に導入できることも勤怠管理システムを選ぶ上で大切になります。 勤怠管理システムを導入する際には、使い始めるまでに自社向けの設定や従業員の登録が必要になります。 また、導入後は全社員に使い方や運用を説明(教育)しなければいけません。誰でも使いやすい勤怠管理システムだと社員への教育コストもかからずにスムーズに導入することができるなどのメリットがあります。 誰でも使いやすい勤怠管理システムを導入することが大切 各担当者目線で使いやすさを確認したり、必要のない機能が多く、オーバースペック故に複雑になっていないかを確認することをオススメします。 ポイント4:クラウド型かパッケージ型か 勤怠管理システムには大きく2つの種類があります。 1つはパッケージ型でパソコンに専用のソフトをインストールして使う勤怠管理ソフト。もう1つはネット環境さえあれば利用できるクラウド型の勤怠管理システムで、年々クラウド型を選択される方が増えてきています。 パッケージ型に比べてクラウド型のメリットは多くあります。   クラウド版 パッケージ版 ソフト管理 不要 必要 利用シーン ネットとPC、スマホがあればどこでも使える 特定のデバイスに限られる バージョンアップ 無償でバージョンアップ 新たに買い直す必要がある スマホとの相性 非常に良い 対応されてない場合が多い 自社に運用体制がしっかり整っている場合は、パッケージ型もオススメですが、コストや利便性を考えるとクラウド型が有利で、すでにクラウドが時代の潮流となっています。 ポイント5:サポート体制について サポートの体制についても事前に確認しておくことが大切です。 サポート対応が有料の勤怠管理システムもあり、導入後に思わぬコストがかかる場合もあります。導入後はもちろんのこと、導入前から無料で丁寧にサポートしてくれるサービスもあり特に初めて勤怠管理システムを導入する際は心強いサポートになります。 運用や就業ルールにあわせた設定方法の相談にのってくれるか。 あるいは操作方法のサポートはしてもらえるのか。 導入前にサポート体制がどうなっているか確認することをオススメします。 ポイント6:無料お試しの有無 これまでにご紹介したように勤怠管理システム導入時には確認すべきポイントが幾つかあります。 事前にホームページや資料で確認しておいても、いざ導入して使ってみると「自社の就業ルールにあわない」や「設定が複雑な上に使いにくい」などの問題が発生する場合があります。 導入後に自社に合わず失敗するケース 事前に自社と合っているかしっかり確認して、導入が成功するケース 多くの勤怠管理システムは導入前に「無料お試し」を用意していますので、実際に使ってみて、自社にあったシステムか確認することをオススメします。 まとめ:初めて勤怠管理システムを始めて導入する際の6つのポイント ポイント1:自社の勤務体系にシステムが合うか ポイント2:打刻方法について ポイント3:社員が使いやすいシステムか ポイント4:クラウド型かパッケージ型か ポイント5:サポート体制について ポイント6:無料お試しの有無 勤怠管理システムは導入後に大きなメリットをもたらしてくれますが、一度導入すると全社員が使うシステムのため、運用を変えることは非常に難しいようです。ですので、導入した後に後悔することがないよう事前にこれらのポイントをしっかりと確認して、ぜひ自社に最適な勤怠管理システムを選んでください。 勤怠管理システムの選び方やおすすめのシステムについては、労務代行サービス「まるごと労務」の下記の記事も参考にしてみてください。 https://marugotoinc.jp/blog/attendance_system/ 最後に:クラウド勤怠管理システム「レコル」のご紹介 「レコル」は豊富な機能を一人100円で利用できるクラウド勤怠管理システムです。これまでご紹介したポイントを押さえながら、無料お試しで自社の運用に合うか是非ご確認ください。

労働基準法は労働条件の最低基準のルール 労働基準法(以下「労基法」という。)は、職場における様々なルールを定めたもので、労働条件に関する『最低基準』を規定している法律です。この『最低基準』の意味合いは、労基法に違反する労働条件は、たとえ会社と労働者の同意があったとしても、無効でありその部分については、労基法の基準に置き換えられるということになります。 X社に入社するAのお話し… 社員A 僕は、働くのが大好きなので年次有給休暇はいりません。権利を放棄したいと思っています。 社長B それはありがたい。そうは言っても全く無しって訳にもいかないでしょうから、 労基法の基準の半分を付与するということでどうだろうか。つまり、入社後6か月で5日付与することにしよう。 それでよければ、その内容で労働契約書を締結しよう。 社員A ご配慮ありがとうございます。もちろん、その内容で契約させて下さい。 といったやり取りの上、AはX社に入社することになりました。 その数日後、〇〇労働基準監督署の監督官がX社を訪れました。 監督官 〇〇監督署から参りました。 今日は、御社で締結している労働契約書の内容を確認しに来ました。直近のご入社の方の契約書を見せていただけますか。 社長B もちろんです。当社は労働者に労働契約の内容を説明し、 納得してもらった上で契約を締結していますので何も問題無いはずですよ。 監督官 わかりました。では、契約書を確認させて下さい。 あれっ?Aさんの労働契約書に「年次有給休暇は労基法の基準の半分を付与する」となっていますが、これはどういうことですか。 社長B あー、それはAが年休はいらないと言ってきたのですが、 そうもいかないだろうということで基準の半分を付与することで双方合意した事項ですので契約書にもその通り記載しました。 いらないって言ったのに半分くれるなんてと言ってAは喜んでましたよ。 監督官 それはダメですよ。Aさんからの申出があったとしても労基法のルールは最低基準となっていますのでそれを下回るルールは労基法の基準となります。 ですから、入社後6か月経過した場合に付与しなければならない年休は10日となります。 といった形でX社は指導されてしまいました。 いくら労働者との間で合意した労働条件であっても労基法の基準を下回ることは許されず、 万が一、下回る労働条件で労働契約を締結したとしても、下回る部分は、無効となり労基法の基準が適用されことになっています。 労基法にはどんなことが定められているのか? 全文で13章、138条から成る法律となっています。その概要は、次の通りです。 第1章 総則 労基法の目的やその適用範囲、「労働者」「使用者」の用語の定義などについて 第2章 労働契約 労働契約の期間の制限や労働条件の明示、解雇や退職後の証明などについて 第3章 賃金 賃金の支払いに関する原則や休業手当などについて 第4章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 法定労働時間・変形労働時間等の労働時間制度、休憩・休日・年次有給休暇や割増賃金の支払いなどについて 第5章 安全及び衛生 労働者の安全および衛生について(詳細は労働安全衛生法の定めによる) 第6章 年少者 働くことができる最低年齢の定めや18歳未満の年少者が働くに当たっての深夜業その他の保護規定などについて 第6章の2 妊産婦等 妊産婦(妊娠中または産後1年を経過していない女性)の就業制限や労働時間の制限など女性が働くための保護規定などについて 第7章 技能者の養成 技能習得者の保護、職業訓練などに関する規定について 第8章 災害補償 業務上の負傷・疾病に対する療養補償、障害補償などの補償について 第9章 就業規則 就業規則の作成、変更、届け出義務などについて 第10章 寄宿舎 寄宿労働者に対する私生活の自由の保障や寄宿舎の設備、安全衛生などについて 第11章 監督機関 労働基準監督官の権限や監督機関の組織や権限などについて 第12章 雑則 就業規則などの周知義務や労働者名簿・賃金台帳の法定帳簿の作成・保存などについて 第13章 罰則 労基法に違反した場合の罰則規定や両罰規定などについて 付則 法律改正に伴う経過措置などについて 労基法に違反すると、罰則が… 労基法は、違反すると懲役や罰金刑が科せられる強行法規となっています。 罰則については、第13章第117条から121条までに規定されており、1番重い処罰は、「強制労働を行わせていた場合(労基法第5条違反)」で、「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」が科せられます。 例えば、解雇予告手当を支払わずに即時解雇した場合には、労基法第20条の違反となりますが、この場合は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」に科せられます。 なお、この場合に処罰される対象は、労基法10条でいう『使用者』となっています。この『使用者』の範囲は結構広く、取締役・工場長等は言うまでもなく、支店長・課長・現場監督も含まれる可能性が有ります。通達(昭22.9.13発基17号)によると「部長、課長等の形式にとらわれることなく、各事業場において、本法(労基法)各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによるが、かかる権限が与えられておらず、単に上司の命令の伝達者にすぎぬ場合は使用者とみなされないこと」となっています。 つまり、必ずしも「使用者=事業主」とはなっておらず、この場合に「使用者」のみを処罰し、事業主が全く処罰されないとなると妥当とはいえないでしょう。 こういった場合に事業主も処罰の対象とするために、労基法121条1項が規定されています。このような規定を両罰規定といいます。この規定により行為者である「使用者」と最高責任者である「事業主」ともに罰せられることがあるのです。 労基法を守って、会社を守る 総務省統計局が行っている労働力調査(平成29年(2017年)3月分)によると日本の就業者は、6,433万人となっています。日本の総人口が1億2,693万人ですからおよそ半分以上の人が就業していることとなります。労基法とは、前述の通り「働くルール」が規定されているわけですから、日本の人口の半分以上は何らかの形で労基法に関わっていると言えます。それだけ重要な法律であるにも関わらず労基法の内容をご存知ない方が多いのではないでしょうか?オフサイドを知らないサッカー選手はいませんよね。 しかし、労基法はこれだけ多くの人が関わっている重要な法律なのに、認知度が低い…そして毎日のように、労基法違反が報道されており、知らなかったからでは、取り返しのつかない事件も発生しています。厚生労働省によると、平成27年度業務上災害として認定された脳・心臓疾患を原因(主に過重労働が原因)とするものの死亡件数は96件、精神障害によるものによる自殺(未遂も含む)件数は93件となっています。生活の糧を得るための職場であってはならない事故がこれだけの数発生しているのです。 「こういった事故をなくすために」「決まり事だから」「最低限の基準だから」守らなくてはしょうがない、といった考えのもと、労基法を守ることももちろん大切なことです。しかし、企業として、積極的に労基法を守り、労働者が継続して勤務出来るための「安心感」を提供していくことが、結果として会社を守ることにつながるということを理解して頂きたい。これからの労務管理は「攻めの労務管理」を目指していかなければ、企業の継続的な発展はないといえます! 今後、このコラムでは、職場のルールである労基法とその関連する法律を「攻めの労務管理」といった視点に立ってお話ししていきます。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/