
こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「社員の打刻忘れを把握する方法」をご紹介します。 締め日後にタイムカードを集めてから打刻忘れに気付き、何日も前の打刻忘れを確認するのが大変な手間になっていませんか? また、数週間も前の打刻忘れを確認しても、覚えていないことも少なくないのではないでしょうか。 クラウドの勤怠管理システム「レコル」なら、アラート機能を活用することで当日や翌日には打刻忘れに気付くことができますので、打刻忘れチェックの運用を大幅に効率化することができます。 レコルを活用した打刻忘れの把握方法 ダッシュボード(打刻ログと勤務チェック) レコルのダッシュボード画面では打刻忘れをアラートで確認することができますので、管理者は毎朝レコルのダッシュボードを確認するだけで、部下や自分の打刻忘れをすぐに把握することができます。 また、アラートをクリックして対象の勤務を修正できますので、ダッシュボード画面で打刻忘れの確認から勤務の修正までをとても簡単に行うことができます。 出退勤アラート 管理者は打刻忘れの発生件数を簡単に確認することができます。 出退勤アラートの画面では、出勤や退勤の打刻忘れの発生件数が通知されていますので、管理者は一目で打刻忘れの発生状況を把握することができます。 また、アラート件数をクリックすると、打刻忘れの詳細情報(いつ・誰が)を確認することができますので、管理者は定期的に出退勤アラートを確認すれば、誰が打刻忘れをしているかを容易に把握することができます。 社員もアラートから打刻忘れに気付けます 社員は自身の打刻忘れをホーム画面のアラートで確認することができます。 また、勤務表で打刻忘れをした箇所は赤色で強調表示されますので、社員自身も打刻忘れに気付くことができます。 これにより月末まで打刻忘れをしてしまったことに気付かないよいうことも防ぐことができます。 タイムカードと比較してこんなメリットが 「月末にタイムカードを集めてから打刻忘れに気付くことが多かったのですが、打刻忘れの把握から確認、修正を日々の作業でできるようになったので、締め作業がとても楽になりました。」 「自分の打刻忘れがアラート通知されるので、打刻を忘れないよう気を付けるようになりました。」 「タイムカードを1枚ずつ確認する必要がなくなったので、とても助かっています。」 最後に レコルでは今後のバージョンアップで「申請機能」のリリースを予定をしていますので、打刻忘れの申請(承認)という運用もできるようになります レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「申請機能」に対応しました!詳しくは「申請承認機能」をご覧ください。 また、申請承認機能はお試しにてご確認いただけますので、是非お試しください。 レコルを無料で試してみる

罰則付き!時間外労働の上限規制 前回、お話ししました36協定。ここでは、時間外労働の上限を原則1か月45時間・1年360時間としています。 この原則を超える時間外労働については、「臨時的なもの」(特別延長時間)に限って認められていますが、現在は上限となる時間数は示されていません。 今回の法律改正により、上限となる時間数が法律上示されることになり、これに違反をすると罰則が科せられることとなります。 労働基準法の改正(労基法第36条) 従来、労基法第36条において、延長できる労働時間の限度は規定されていませんでした。今回の改正で、時間外労働の上限を原則1か月45時間・1年360時間※として上で、『通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴う臨時的』に原則の延長時間を超えて労働させる必要がある場合に延長できる時間外労働働時間(特別延長時間)の上限を『1年720時間(=月平均60時間)』と定めました。 また、その場合においても以下の要件を満たすものとしなければなりません。なお、1か月45時間を上回ることができる月数は、1年について6か月を上限とします。 ①1か月で、休日労働を含んで、100時間未満を満たさなければならない。 ②2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均でいずれにおいても、休日労働を含んで、80時間以内を満たさなければならない。 ※1年単位の変形労働時間制(3か月を超える期間)の対象となっている場合は、1か月42時間・1年320時間 図表1 法改正後の残業規制のイメージ 現状の36協定の見直し 現行の36協定においては、法定労働時間を超えて行わせる時間外労働の時間(延長時間)は ①1日 ②1日を超え3か月以内の期間 ③1年間 について協定しなければならないことになっています。 法改正後は、②の部分が「1か月」に限定されます。 今までは、「2か月」で「81時間」や「3か月」で「120時間」といった形で締結することも可能でした。例えば、年度末が業務繁忙時期の企業において、延長時間を「2か月」で「81時間」と締結しておけば、3月の時間外労働が「50時間」であったとしても、4月の時間外労働を「31時間以内」に抑えることで、36協定の範囲内となっていました。 しかしながら、法改正後はあくまでも「1か月」を基準とすることになりますので、翌月または翌々月で調整することはできなくなるので、要注意となります。 なお、36協定の有効期間については「1年間」と明確に定められることとなりました。 厳格な労働時間管理の必要性 現行の36協定においては、「法定外時間外労働」についての上限時間と「法定休日」に働くことでのできる日数の上限を定めています。 今回の法改正後も原則は同様なのですが、『特別延長時間』を適用した場合には、『法定休日』の労働時間も含めて考えなければなりません。 前述の、①1か月100時間未満、②2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均80時間以内の要件には、いずれも『休日労働』を含むということになります。 つまり、こんな感じです。 原則:1か月の時間外労働≦45時間 例外 ① 1か月の総労働時間(時間外労働時間+法定休日及び所定休日の労働時間)<100時間 ② 複数月平均総労働時間(時間外労働時間+法定休日及び所定休日の労働時間)≦80時間 今までは、『法定休日』の労働については、『出勤日数』が36協定の範囲内となっているかを管理している企業が多かったと考えます。しかしながら、法改正後は、『特別延長時間』を適用した場合には、「法定休日の労働時間」も含めて特別延長時間の上限時間に抵触しないように管理する必要があるのです。これまで以上に厳格な労働時間管理が求められます。 なお、これらの法改正が適用されるのは、大企業においては2019年4月1日、中小企業においては2020年4月1日からの適用とされています。 中小企業は注意!時間外労働1か月60時間超の割増率が50%に 既に大企業においては、1か月『60時間を超える時間外労働』に対する割増賃金率が『50%以上』とされています。これが2023年4月1日からはこれまで猶予されていた中小企業に対しても対象とされます。 ちなみに中小企業の範囲は以下のいずれかの要件を満たす企業です。 ①資本金の額が、3億円(小売業またはサービス業については、5,000万円、卸売業については、1億円)以下である。 ②常時使用する労働者の数が、300人(小売業については、50人、卸売業サービス業については、100人)以下である。 まとめ 昨今、「働き方改革」ということで多くの企業においては、「時間外労働の削減」に取組んでいることでしょう。中小企業においては、1年遅れの適用とは言え残された時間は多いとは言えません。 まずは、時間外労働を前提とする風土を改める必要があります。確かに、仕事を覚えるのに『時間』が必要です。自分自身も長い時間やることでものにしてきた知識・経験は多くあります。しかしながら、時代は変わったのです。 長い時間働くことでカバーしていたことは許されないのです。たとえ、労働者が納得していたとしても、労働者の望みであっても長時間労働は会社が罰せられてしまう時代となったのです。このことを経営者も労働者も肝に銘じる必要があります。 業務を仕分けする必要もあります。 必要な業務と不必要な業務、今やらなければならない業務とそうでない業務など優先度をつけて業務を行うことが必要です。社内でとどめておく必要のない業務はアウトソーシングすることも検討する必要があります。 働き方の見直しも必要となるでしょう。 労働基準法にある制度、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制を駆使して効率的な労働時間の配分を行う必要があります。業務繁忙期には集中して業務を行い、業務が落ち着いている時期には、短く働いてもらうということです。 また、昨今話題のテレワークや勤務間インターバル制度の導入も検討に値するでしょう。 これらの課題は口で言うほど、簡単なことではないのは重々承知しています。しかしながら、これをクリアしない企業には、未来はないこともまた事実ではないでしょうか。もちろん、私の事務所においても悩みながら実践しています。皆さんも一緒に取組んでみませんか! プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

36協定って何だ? 「法定労働時間」を超えて労働させてはならないと労働基準法第32条に規定されています(詳しくは、知ってますか?所定労働時間と法定労働時間の違い)。つまり、時間外労働は『原則禁止』となっているのです。 となると、「この仕事、どんなに遅くなっても今日中に仕上げてね!」と言った業務命令は労働基準法違反となってしまうのでしょうか。 ここで『36協定(サブロク協定)』の出番となります。 「36協定」で時間外労働、休日労働が可能になる! 36協定とは、簡単に言うと、企業が残業や休日労働をさせる場合に、会社と労働者代表(労働者の過半数で組織する労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者)とが取り交わす約束事=労使協定のことをいいます。なお、ここでいう休日労働とは、原則週1日の休日、いわゆる法定休日の労働のことをいいます(詳しくは、知ってますか?所定休日と法定休日の違い)。 この「36協定」は、所轄労働基準監督署に届出た場合に、初めて有効となります。 つまり、「時間外労働」「休日労働」を行わせる場合には、「36協定」の締結及び所轄労働基準監督署への届出が必須となり、このことによって協定の範囲内で「時間外労働」「休日労働」を行っても労働基準法第32条違反とはならなくなるのです。 なお、36 協定は、事業場単位で締結し届け出る必要があります。1つの会社に工場・支店がある場合は、原則、その工場・支店がそれぞれ 1つの事業場になりますので 工場・支店等ごとに 36 協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届出なければなりません。 36協定の内容 「36協定」の協定は、以下の事項について労使間で協定をします。 (1)時間外労働をさせる必要のある具体的な事由 (2)時間外労働をさせる必要のある業務の種類 (3)時間外労働をさせる必要のある労働者の数 (4)1日について延長することができる時間 (5)1日を超える一定の期間について延長することができる時間 (6)有効期間(1年間とするのが望ましい) なお、(5)については、厚生労働省より延長時間の限度が示されております(図表1)。 ここでいう「1日を超える一定の期間」とは、「1日を超え3か月以内の期間」及び「1年間」とすることとされており、企業の実態に応じて労使間で決定することになっています。 例えば、年度末前後が繁忙期であるため、この時期の時間外労働を「1か月」でカウントすると「45時間」の延長時間を超えてしまうおそれがあるため、「3か月」として「120時間」とすればその範囲内に収めることが可能であるような場合には、「1日を超え3か月以内の期間」を「3か月」とし、延長することができる時間を「120時間以内」と設定すればよいのです。 なお、休日労働については、原則1 週間に 1 日の休日(法定休日)に対して「労働させる場合に労働させることのできる休日(法定休日のうち1か月に○回、第2,4日曜日等)」「始業及び終業の時刻(労働時間数でも可)」を協定します。 図表1 延長時間の限度 期間 限度時間 一般の労働者 1年単位の変形労働時間制対象者 1週間 15時間 14時間 2週間 27時間 25時間 4週間 43時間 40時間 1か月 45時間 42時間 2か月 81時間 75時間 3か月 120時間 110時間 1年間 360時間 320時間 労働時間延長の切り札 「想定外のトラブルが発生したので1か月45時間の時間外労働じゃとても足りない」という場合も考えられます。図表1の「延長時間の限度」を超える労働は一切認められていないのでしょうか。実は、超えることができる方法があるのです。 この労働時間延長の切り札を、「特別条項付き36協定」といいます。 なお、ここでいう「特別の事情」とは「臨時的なもの」に限られ、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として年の半分を超えないことが見込まれるものとされています。つまり、常態で「延長時間の限度」を超えることは許されず、36協定において、「1か月の延長時間」を定めている場合は、年6回、「3か月の延長時間」としている場合は、年2回までの範囲で生じる「特別な事情」に限られているのです。したがって、延長時間の限度を超えて時間外労働を行わせなければならない「特別の事情」は、限度時間以内の時間外労働をさせる必要のある具体的事由よりも限定的であることが求められているのです。 「特別条項付き36協定」の協定事項 (1)延長時間を延長する場合に労使の手続 この場合の手続については、特に制約はありません。通常は、労使当事者が合意した協議、通告などの手続が挙げられます。また、この手続は、一定期間ごとに特別な事情が生じたときに、必ず行わなければなりません。所定の手続を経ることなく、延長時間を超えて労働時間を延長した場合は、法違反となります。 なお、労使当事者間において取られた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておくことも求められています。 (2)延長時間を延長する一定の時間(特別延長時間) 特別延長時間については、限度となる時間は示されていませんので、労使当事者の自主的協議にゆだねられますが、過重労働による健康障害を防止する観点から、長時間労働とならないよう求められています。 (3)限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率 限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3箇月以内の期間、1年間)ごとに、割増賃金率を定めます。その際、法定割増賃金率の下限(2割5分)を超えるように努めるよう求められています。(努力義務) 「特別条項付き36協定」の協定事項 特別条項による延長できる時間の見直し -労基法改正- 特別条項により延長できる時間外労働働時間の上限を年720時間(=月平均60時間)とし、一時的に業務量が増加する場合についても「最低限上回ることのできない上限」は以下の条件を満たすものに限ることが検討されています。 ① 2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均でいずれにおいても、休日労働を含んで、80時間以内を満たさなければならない。 ② 単月で、休日労働を含んで、100時間未満を満たさなければならない。 ③ 上記に加えて、時間外労働の限度の原則は、月45時間、かつ、年360時間を上回る特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6回を上限とする 図表2 法改正後の残業規制のイメージ まとめ なんて言っても、労使間の約束ですから、労使ともに守らなければなりません。 会社は、36協定に定めた時間を超えないように業務を行わせる義務があるし、労働者も36協定以内で働くことを意識しなければなりません。なんて言っても、労使間の約束ですから。 もちろん、使用者の指示命令の基、時間外勤務等が行われるものと考えると、使用者に命令されたら、『やらざるを得ないしとても逆らえないよ!』となるのも一理あります。 しかしながら、一人一人の労働者が意識することが重要なのです。それには、36協定の内容をすべての働く人たちが理解していなければなりません。1か月何時間残業ができるのか、今現在何時間の累積時間となっていて、あと何時間できるのか。こういったことが、リアルタイムで把握できるシステムが必要となってきます。 36協定や特別条項があることを前提にした働き方でなく、原則は法定労働時間内に収めることである、と言った感覚を持つことも必要です。図表3の様なイメージとなります。 一度発生した時間外労働は、減ることはありません。例えば、今日3時間の時間外労働を行なったので、翌日の勤務時間を3時間短くしたとしても、今日の時間外労働は無くならないのです。つまり、時間外労働を削減するにはやるときはやってやらない時はやらないと言った発想が必要となります。 図表3 労働時間のイメージ プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

『事業場外労働に関するみなし労働時間制』とは 前回の裁量労働制以外にも、実際に働いた時間「実労働時間」を働いた時間とせずに、「みなし労働時間」をもって働いた時間とする制度がもう一つあります。それが『事業場外労働に関するみなし労働時間制』です。 労基法第38条の2に「労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。」と定められています。 直行直帰が多い『営業職』に対して残業代の支給をしないといった対応をしている会社は、おそらくこの条文を根拠としているのではないでしょうか… しかし… 営業職=事業場外みなし労働時間制の適用ではない! この条文が適用される前提は、『労働時間を算定し難いとき』に対象となるということです。必ずしも、『営業職=事業場外みなし労働時間制』の適用とはならないということです。 そもそも、労働時間を把握する義務は会社にあります。また、その把握の方法の原則として、以下の2つの方法が挙げられています(詳細は、『労働時間管理』はなぜ必要?)。 ①使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。 ②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。 もちろん、外出していればこれらの方法によって、労働時間を把握するのは難しいかもしれません。しかし、昨今は外出先であっても労働時間を把握することが可能な勤怠管理システムは多くあります。もちろん、レコルでは外出先からも勤怠管理は可能です。 長時間労働とならないように労働時間を管理することが求められている現状からすれば、『労働時間を算定し難いとき』ではなく、効率的に業務が行えるよう様々なツールを用いて管理することが望ましいのではと考えます。 『労働時間を算定し難いとき』とは… 私見ではありますが、働き方の実態を鑑みると、営業職に従事する方で「労働時間を算定しがたい」働き方をしている方の数は、そう多くはいないのではと考えています。 私が就職した25,6年前の話です。当時私の友人は某自動車販売会社に勤務していました。当時その友人は、「平日のデイタイムにスポーツクラブの会員になった」ことや行ってきますと外出して「パチンコ屋や温泉に行っていた」ことを話していました。さすがに「床屋」に行ったら上司に気付かれて怒られたなんて話をしていましたが… このように当時の営業職は、営業成績、結果だけを求められていたため、労働時間を管理されることなく(これが算定しがたいに該当するかは別として)業務を行っていることが多かったのではないでしょうか。 昨今では、携帯などのモバイル機器や勤怠管理システムで行動を把握し、より効率的に業務を行わせているやり方が増えています。少なくとも労基署の監督官は、これだけモバイル機器が発達している今の時代、「労働時間を算定しがたい」働き方はほとんどないと考えているような気がしています。 いずれにしろ、『営業職=事業場外みなし労働時間制』とはならないことは認識しておく必要があります。 事業場外みなし労働時間制の対象となるのは、「事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務であること」としており、次のような場合は労働時間の算定が可能であり、みなし労働時間制の適用は出来ないとしています(昭63.1.1基発1号)。 ①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合 ②無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合 ③事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合 会社内では業務を行わずに、直行直帰で外回り業務を行い、かつ、訪問先での業務内容などの具体的な業務指示を行わない、こういったケースが『事業場外みなし労働時間制』の対象であるといえます。 みなし労働時間の対象は外勤時間のみ 事業場外みなし労働時間制の対象となった場合の労働時間は、次のとおりとなります。なお、事業場内での労働時間は当然、算定することが可能なため、その時間は把握しなければならず、みなすことはできません。みなすことができる時間は、『事業場外労働時間』のみとなっています。 ①事業場外業務の遂行に必要とされる時間 + 事業場内業務の労働時間 ≦ 所定労働時間 ⇒ 所定労働時間 ②事業場外業務の遂行に必要とされる時間 + 事業場内業務の労働時間 > 所定労働時間 ⇒ 通常必要とされる時間 + 事業場内の労働時間 ③労使協定がある場合には「労使協定で定める時間」 ⇒ 通常必要とされる時間 つまり、内勤時間も含めて『所定労働時間内』で業務が終了するのであれば、所定労働時間労働したとみなされるが、通常は、所定労働時間内で収まりきらないという場合には、そもそも、「労働時間を算定しがたい」状況にあるのですから、いちばん実態を把握している労使で業務遂行に「通常必要とされる時間」を決めてその時間をもって「労働時間」としょうということです。 まとめ そもそも、『労働時間を算定がし難い』か、どうか疑問ではありますが、実際、事業場外のみなし労働時間を適用している会社は数多くあります。また、営業手当を支払うことで残業代を支払っていないといった対応をしている会社も多くあるのではないでしょうか。 この場合、少なくとも、日常の業務が『所定労働時間内』に収まっているのか、収まっていないのであれば『通常必要となる外勤時間』がどの程度なのかを調査する必要があります。 その上で、明らかに所定労働時間では収まらないのであれば、労使協定により「みなし労働時間」を定めるべきでしょう。また、営業手当を残業代の代わりに支払うのであれば、その対象額が何時間分でいくらなのかを給与規程等に定義づけることが必要です。もちろん、内勤業務が長くなるなどその対象となる時間を超えた場合には追加で超過勤務分についての支払いが必要となります。 こういった点も踏まえて、『事業場外のみなし労働時間制』を運用しなければなりません。何度もいいますが、『営業職=事業場外みなし労働時間制』とはなりませんので。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員6名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

裁量労働ってどんな働き方? 『裁量労働』とは、どんな働き方なのでしょうか? 研究開発職やデザイナーの働き方・・・ 出退社が自由な働き方・・・ 何時間働いても残業が発生しない働き方・・・ 休日でも、深夜でも好きなときに仕事ができる働き方・・・ 結局は、長時間労働となってしまう働き方・・・ これらは、裁量労働の一部を表現しているだけに過ぎません。それでは、裁量労働とはどんな働き方なのでしょうか。 裁量労働とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分を大幅にその業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に労働者を就かせたとき、実際に働いた時間を労働時間とするのではなく、あらかじめ労使協定等により定められた労働時間とみなす制度です。 つまり、「仕事のやり方を労働者にゆだねた方が、効率的に仕事が進むであろう業務」である必要があるのです。必ずしも、研究開発職やデザイナーが、出退社を自由にして働けるわけではないのです。 裁量労働には2つの制度がある 裁量労働には研究開発職やデザイナー等のいわゆるスペシャリストを対象とする「専門業務型裁量労働制」(労基法第38条の3)と事業運営の企画、立案、調査、分析に携わる労働者を対象とする「企画業務型裁量労働制」(労基法第38条の4)の2つの制度があります。なお、その対象となる業務は厳格に決められています。 (1)専門業務型裁量労働制 専門業務型裁量労働制は、以下の19の業務が特定されており、その対象の業務に該当しなければ、専門業務型裁量労働制の対象とはなり得ません。 専門業務型裁量労働制対象業務 ① 新商品もしくは新技術の研究開発又は人文科学もしくは自然科学に関する研究の業務 ② 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。7において同じ)の分析又は設計の業務 ③ 新聞もしくは出版の事業における記事の取材もしくは編集の業務または放送番組の制作のための取材もしくは編集の業務 ④ 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務 ⑤ 放送番組、映画等の政策の事業におけるプロデューサーまたはディレクターの業務 ⑥ 広告、宣伝等における商品等の内容、特徴等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務) ⑦ 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握またはそれを活用するための方法に関する考案もしくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務) ⑧ 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現または助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務) ⑨ ゲーム用ソフトウェアの創作の業務 ⑩ 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務) ⑪ 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務 ⑫ 学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事する者に限る) ⑬ 公認会計士の業務 ⑭ 弁護士の業務 ⑮ 建築士(1級建築士、2級建築士および木造建築士)の業務 ⑯ 不動産鑑定士の業務 ⑰ 弁理士の業務 ⑱ 税理士の業務 ⑲ 中小企業診断士の業務 また、単に研究開発職だからと言って、必ず、裁量労働に該当するわけではありません。裁量労働に該当するかどうかは、その業務を実際に遂行するに当たって、遂行の手段・時間配分について使用者から具体的な指示を受けておらず、労働者の裁量にゆだねられている必要があります。 例えば、何人かでプロジェクトチームを組んで研究開発業務を行っている場合に、チームリーダーの管理の下に業務を遂行しているメンバーやそのプロジェクトの付随業務や補佐をしているメンバーは裁量労働制の対象とは言えないのです。 (2)企画業務型裁量労働制 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行う労働者が対象となります。こちらについても、厳格な要件があります。対象となる業務例、ならない業務例を以下に示しておきます。 対象者は、業務を適切に行うだけの知識、経験を有していることが前提となるため、「少なくとも3~5年くらいの業務経験があることが前提となります。 企画業務型裁量労働制の対象となる業務 ① 経営企画を担当する部署における業務のうち、経営状態・経営環境等について調査及び分析を行い、経営に関する計画を策定する業務 ② 経営企画を担当する部署における業務のうち、現行の社内組織の問題点やその在り方等について調査及び分析を行い、新たな社内組織を編成する業務 ③ 人事・労務を担当する部署における業務のうち、現行の人事制度の問題点やその在り方等について調査及び分析を行い、新たな人事制度を策定する業務 ④ 人事労務を担当する部署における業務のうち、業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査及び分析を行い、社員の教育・研修計画を策定する業務 ⑤ 財務・経理を担当する部署における業務のうち、財務状態等について調査及び分析を行い、財務に関する計画を策定する業務 ⑥ 広報を担当する部署における業務のうち、効率的な広報手法等について調査及び分析を行い、広報を企画・立案する業務 ⑦ 営業に関する企画を担当する部署における業務のうち、営業成績や営業活動上の問題点等について調査及び分析を行い、企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務 ⑧ 生産に関する企画を担当する部署における業務のうち、生産効率や原材料等に係る市場の動向等について調査及び分析を行い、原材料等の調達計画も含め全社的な生産計画を策定する業務 企画業務型裁量労働制の対象とならない業務 ① 経営に関する会議の庶務等の業務 ② 人事記録の作成及び保管、給与の計算及び支払、各種保険の加入及び脱退、採用・研修の実施等の業務 ③ 金銭の出納、財務諸表・会計帳簿の作成及び保管、租税の申告及び納付、予算・決算に係る計算等の業務 ④ 広報誌の原稿の校正等の業務 ⑤ 個別の営業活動等の業務 ⑥ 個別の製造等の作業、物品の買い付け等の業務 裁量労働制における労働時間の考え方 労働時間の計り方は、こんな感じです。 「仕事を始めます!」でストップウオッチをスタートさせます。休憩時間中は、一旦止めて、休憩が終わったら再びスタート、で「仕事終わりました!」でストップ。このときにストップウオッチに表示されている時間が「実労働時間」となります。 しかし、裁量労働制においては、「実労働時間」を働いた時間とはしません。実際に働いた時間ではなく、「みなし労働時間」をもって、働いた時間とします。 「みなし労働時間」は、労使協定又は労使委員会の決議として「1日」の時間を決定することとなっています。労使で良く話し合って適切な労働時間を定める必要があります。 例えば、みなし労働時間を「9時間」と定めた場合には、「実労働時間」が15時間であっても、また5時間であっても、その日の労働時間は「9時間」となります。この場合、8時間を超える1時間分については、25%以上の割増賃金を支払う必要があります。 労働者の裁量にゆだねているからって… 労働者の裁量にゆだねているので、「実労働時間」が長くなっても労働者が悪い!ってわけにはいきません。 例えば、把握した対象労働者の勤務状況およびその健康状態に応じて、代償休暇や特別休暇を与えるたり、健康診断を実施するなど「対象労働者の健康・福祉確保措置」をとることが求められています。インターバル休暇なども有効な措置でしょう。 また、「対象労働者の苦情処理窓口」を設置することも求められています。担当者、取り扱う苦情の範囲、申出の方法等を明確にし、対象労働者が苦情を申し出しやすい仕組みとする必要があります。なお、苦情の申出があった労働者に不利益な取り扱いを行うことは禁じられています。 休日労働・深夜労働の取扱 裁量労働対象者が休日に労働した場合には、みなし労働時間の適用は「所定労働日のみ」となっていることから、みなし労働時間は適用できず、「実労働時間」に対して休日出勤としての割増賃金を支払う必要があります。なお、所定休日(詳しくは『知ってますか? 所定休日と法定休日の違い』から)については、所定休日に労働した場合の「みなし労働時間」を定めればその時間をもって労働時間とすることはできます。 また、裁量労働制といえども深夜労働(22:00から翌5:00)に関する規定は適用除外とはなりません。したがって、深夜労働の時間を把握し、その時間に対する割増賃金を支払わなければなりません。 さいごに 先般、裁量労働の対象とならない労働者を『裁量労働」として扱って労基法違反を問われた企業が新聞等により報道されていました。 このような行為が論外なのは、言うまでもありません。裁量労働は、「残業ゼロ制度」なんて言われている中で、裁量労働が労働者にとっても魅力的な働き方であることを示すべきなのにがっかりです。 いずれの裁量労働の制度も会社で働くすべての労働者を対象とすることは出来ません。となると、時間管理されている労働者と裁量労働の対象者とは、それぞれに異なる労働時間管理を行う必要があります。労働時間が複雑になってしまいます。 しかしながら、それらの課題を解決し、裁量労働を適切に運用できるようにすることが、「働き方改革」の一歩に繋がるのではと考えています。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

変形労働時間制の活用 変形労働時間制とは 法定労働時間は「1週40時間」、「1日8時間」と規定されており、あくまでも「週」、「日」を単位として定められています。そのため、所定労働時間(就業規則や雇用契約書に記載されている始業時間から終業時間までの時間から休憩時間を引いた時間のこと(詳しくは『知ってますか?所定労働時間と法定労働時間の違い』)が『1週40時間』『1日8時間』を超えることは原則として認められていません。 この「法定労働時間の原則」を柔軟な労働時間制度とするのが「変形労働時間制」です。変形労働時間制とは、業務の繁閑に応じて所定労働時間を振り分ける制度です。特定の週や日の所定労働時間を短くする代わりに、業務が忙しい週や日の所定労働時間を長めにすることが可能となるのです。所定労働時間を業務の繁閑に応じて効率的に配分することを可能とする制度です。 変形労働時間制の種類 変形労働時間を採用した場合には、あらかじめ各日の所定労働時間を勤務シフト表などで決定します。この場合、特定の週や日に法定労働時間を超える時間を設定することも可能となるのですが、対象期間を平均して『1週当たり40時間以内』としなければいけません。 変形労働時間制は、対象期間が異なる3つの制度があります。 ①1か月単位の変形労働時間制(労基法第32条の2) 「1か月単位の変形労働時間制」は、例えば、月初は繁忙期であるが、月末は比較的業務が落ち着いている等、1か月の中で業務の繁閑が吸収できる企業や飲食店等、早番、遅番、通し勤務など勤務パターンを複数組み合わせて業務を行っている企業に向いている制度といえます。 ②1年単位の変形労働時間制(労基法第32条の4) 季節的な業務の繁閑がある等、一年を通して業務の繁閑を吸収できる企業やあらかじめ生産計画を立てられる工場などに向いている制度といえます。また、完全週休2日制を採用することは難しいが、夏季・年末年始などにまとめて休みが取りやすい企業においても1年単位の変形労働時間制は向いています。 ③1週間単位の変形労働時間制(労基法第32条の5) 常時使用する労働者が30人未満である小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業においては、「1週間単位の非定型的変形労働時間制」を導入することで、1日10時間までの労働が可能となります。例えば、週末は忙しいけどウィークデイは落ち着いている等日ごとに業務の繁閑の差がある小規模店舗などが導入に向いている制度です。原則として、その週が始まるまでに1週間の各日の労働時間を書面で労働者に通知しなければなりません。 1か月単位の変形労働時間制の例 図表1の場合、24日から31日までの所定労働時間が1日8.5時間となっており、法定労働時間を超えています。このとき、原則の労働時間制度のままですと、4週目1.5時間(0.5H×3日)、5週目1.5時間(0.5H×3日)の割増賃金が発生します。しかしながら、1か月単位の変形労働時間制を採用した場合には、この月の労働時間の合計177時間となります。これは法定の範囲内(31日÷7日×40H)であるため割増賃金は不要となるのです。 なお、あらかじめ図表1のような勤務カレンダーを作っておく必要があります。あらかじめとは、原則として変形労働時間の対象期間が始まる前までをいいます。したがって、1か月単位の変形労働時間制の場合は、前の月の末日までに勤務カレンダーを作らなければなりません。変形労働時間制は、業務の都合により任意に労働時間を変更する制度ではありません。 図表1 変形労働時間制の労働時間 対象期間である1年単位とは、「1か月超1年以内の期間」のことで、1か月単位とは「1週間超1か月以内の期間」をいいます。つまり、対象期間を「3か月」とする変形労働時間制は、1年単位の変形労働時間制の範囲となり、「4週間」を対象期間とする変形労働時間制は、1か月単位の変形労働時間制となります。 対象期間の労働時間を平均して1週間辺り40時間となるように所定労働時間を設定することが求められます(特例対象事業場(10人未満の商業、映画・演劇、保健衛生業、接客娯楽業)の場合は例外有)。 この変形労働時間制における所定労働時間の上限は、以下の式で算出します。 変形期間の暦日数÷7日×40時間 例えば、対象期間を1年とすると、2085時間42分(閏年2091時間24分)となります(図表2)。つまり、図表1の範囲であれば、週の所定労働時間は40時間以内となるということです。 変形期間の暦日数 所定労働時間の上限 14日 80時間 28日 160時間 29日 165時間42分 30日 171時間24分 31日 177時間6分 92日 525時間42分 181日 1034時間12分 365日 2085時間42分 366日 2091時間24分 1か月単位・1年単位の変形労働時間制の場合の時間外労働の対象となる時間 (1)1か月単位の変形労働時間制を採用した場合 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合に時間外労働として割増賃金の対象となる時間は次の通りです。(昭63.1.1基発1号、平6.3.31基発181号) ①1日については、就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間 ②1週間については、就業規則その他これに準ずるものにより40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く) ③変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①又は②で時間外労働となる時間を除く) (2)1年単位の変形労働時間制を採用した場合 1年単位の変形労働時間制を採用した場合に時間外労働として割増賃金の対象となる時間は次の通りです。(平6.1.4基発1号、平9.3.25基発195号) ①1日について、労使協定により8時間を超える労働時間を定めた日はその時間を超えて、それ以外の日は8時間を超えて労働させた時間 ②1週間については、労使協定により40時間を超える時間を定めた週はその時間を超えて、それ以外の週は40時間を超えて労働させた時間(①で時間外労働となる時間を除く) ③変形期間の全期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間(①又は②で時間外労働となる時間を除く) なお、③については、変形期間終了まで確定しないこととなりますが、この場合の割増賃金については、「一般的に変形期間終了時点で初めて確定するものであり、その部分については、変形期間終了直後の賃金支払期日に支払えば足りる。」とされています。(平6.5.31基発330号、平9.3.25基発195号) プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員6名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただき誠にありがとうございます。 2018年2月22日(木)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 勤務設定に時間外設定を追加(日単位、日・週単位、週単位、月単位) 45時間、60時間を超過した時間外の集計に対応 その他小改善 勤務設定に時間外設定を追加(日単位、日・週単位、週単位、月単位) これまでの所定時間(日計算)に加えて「日・週計算」「週計算」「月計算」での時間外の集計が可能になりました。 例えば、以下のような残業時間の集計ができます。 1日8時間、1週間40時間を超える勤務を残業時間として集計する 1ヵ月の総労働時間が基準時間を超えた分を残業時間として集計する(月単位の変形労働時間制) 勤務設定の編集画面に「時間外」のタブが追加されており、時間外の計算方法を「日計算」「日・週計算」「週計算」「月計算」から選択できるようになっています。 日・週計算について 日単位と週単位の所定労働時間を設定することで、例えば1日8時間、1週間40時間超えの残業時間を集計できます。 時間外は「時間外(日)」と「時間外(週)」に分けて集計されます。 同様に法定外残業も「法定外残業(日)」と「法定外残業(週)」に分けて集計されます。 <所定時間の設定項目について> 所定時間(日単位) 1日の実働時間のうち、所定時間を超えた分が時間外となります 所定時間(週単位) 1週間の実働時間の合計のうち、週の所定時間を超えた分が時間外となります※週が締め日をまたぐ場合、前月の最終週を含めて1週間を集計します 週計算について 週の所定時間を設定することで、時間外が「時間外(週)」に、法定外残業が「法定外残業(週)」に集計されます。 <所定時間の設定項目について> 所定時間(週単位) 1週間の実働時間の合計のうち、週の所定時間を超えた分が時間外となります※週が締め日をまたぐ場合、前月の最終週を含めて1週間を集計します 月計算について 暦日数ごとに月の所定時間を設定することで、所定時間を超えた分が「時間外」や「法定外残業」に集計されます。 月単位の変更労働時間制の場合に、基準時間を所定時間として設定してください。 <所定時間の設定項目について> 所定時間(月単位) 月の所定時間を暦日数ごとに設定します。1か月の実働時間の合計のうち、月の所定時間を超えた分が時間外となります。 詳しくはオンラインマニュアル「勤務設定(開始/終了や休憩時間、丸めなど)を設定する」をご覧ください 勤務設定ごとに「時間外の計算方法」を設定可能に これまでは環境設定でしか「時間外の計算方法」を設定することができませんでしたが、勤務設定単位に「時間外の計算方法」を設定できるようになりました。 これにより、例えばフレックスと一般社員で異なる計算方法を設定したい場合でも運用が可能になりました。 週の開始曜日を設定可能に 週単位の残業時間を集計する際の週の開始となる曜日を設定できます。 45時間、60時間を超過した時間外の集計に対応 時間外の閾値に45時間や60時間など任意の時間を設定することで、閾値を超えた分の時間外を集計することができるようになりました。45時間や60時間超以外にも、みなし残業の時間を設定することで、みなし残業超過分の集計も可能です。 閾値の設定 [設定]-[環境設定]の「時間外の計算方法」から設定してください。 ※勤務設定ごとに設定することもできます 項目の表示 [設定]-[表示項目設定]から「時間外超過1」もしくは「時間外超過2」が表示されるようにしてください。 閾値1を超えた時間外は勤務表の「時間外超過1」、閾値2を超えた時間外は「時間外超過2」に集計されます。 詳しくはオンラインマニュアル「45時間や60時間を超過した分の時間外を集計する」をご覧ください その他の小改善と不具合修正 所定休日の「法定内残業」の計算処理の不具合を修正 「所定休日の実働時間を時間外として計算する」オプションがOFFの場合、 所定休日の「法定内残業」の計算方法が平日と同じになってしまう不具合を修正しました。 例)所定休日(土曜日)の勤務が09:00~20:00(休憩1時間)の場合、以下のようになります。 法定内残業:8時間 法定外残業:2時間 実働時間 :10時間 ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 「有休取得時間を時間外に含めて計算する」の不具合を修正(複数回勤務の場合) 複数回勤務の1日集計にて、「有休取得時間を時間外に含めて計算する」オプションがOFFの時に、勤務区分の有休取得時間が時間外に含まれている不具合を修正しました。 自動休憩の設定可能な数を5個から10個に増やしました 勤務設定の休憩時間で設定できる自動休憩の数を5個から10個に増やしました。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

フレックスタイム制の活用 労働者A 今月末のプレミアムフライデー、早帰りして温泉にでも行かない? 労働者B 早帰りって、早退するってこと? それってまずいんじゃない!? 労働者A お前、知らないの?うちの会社フレックスタイムだから、好きな時間に帰っていいんだよ。 労働者B へー、それならフレックスタイム使って温泉に行こう! フレックスタイム制とは この会話を実現させる労働時間制度が『フレックスタイム制』です。 フレックスタイム制とは、「始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」(労基法32条の3)と定められています。簡単にいえば『労働者の好きな時間に出社して、好きな時間に退社できる制度』ということになります。 つまり、1日の労働時間は、『労働者自身が決める』ということです。例えば、今日は6時間、明日は9時間といった感じで日々の労働時間を労働者の意思で変えることが可能となるのです。労働者の意思により、柔軟に日々の労働時間を決めることが出来るのが「フレックスタイム制」となります。 もちろん、他の労働時間制度であっても、日々の労働時間を変えることは可能です。しかしながら、それは労働者の意思ではなく、会社の指示(一般的にはシフト)によって、あらかじめ定められた労働時間に従うということになります。労働者の意思によってその日の労働時間を変更する場合には、遅刻や早退ということになってしまうのです。 フレックスタイム制を採用するには フレックスタイム制を採用するには、『始業・終業時刻の決定を労働者にゆだねる』旨を就業規則で定める必要があります。その上で、使用者は、『事業場に過半数労働者を組織する労働組合があればその組合、そうした組合がない場合は過半数代表者と労使協定を締結』しなければなりません。締結する労使協定の内容は以下の通りです。 1. 対象労働者の範囲 2. 1か月以内の清算期間 3. 清算期間の総労働時間 4. 1日の標準労働時間 5. コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はその時間帯 清算期間は、1か月以内となっていますが、『1か月』としているケースが多いと思われます。 なお、「清算期間内の総労働時間」とは、その期間を平均して法定労働時間である週40時間を超えてはなりません。その総労働時間の上限は以下の表の通りです。 日々の労働時間を自由に決められるとはいえ、労働者は、この総労働時間を満たすように日々の労働時間を配分するのが原則となります。 1か月の暦日数 時間数 28日 160時間 29日 165時間42分 30日 171時間25分 31日 177時間8分 また、「1日の標準労働時間」とは、フレックスタイム制のもとで労働する労働者が年休を取得した場合に、年休として支払う賃金の算定基礎となる労働時間のことです。 コアタイムとフレキシブルタイム 労働者の意思で日々の労働時間を自由に決められるとなると、会社がいて欲しい時間に社内に誰もいないということになってしまうことも考えられます。 また、夜の方が集中できるといって深夜の時間帯にばかり業務を行う労働者がいても困ってしまいます。そういったことを避けるために、任意にコアタイム、フレキシブルタイムといった制限を加えることができます。 コアタイムとは、「労働者が労働しなければならない時間帯のこと」であり、フレキシブルタイムとは、「労働者がその選択により労働することができる時間帯のこと」をいいます。 コアタイムを『11:00から14:00』フレキシブルタイムを『7:00から20:00』と定めた場合の例です。 この場合、出社時間は『7:00から11:00までの間』としなければなりません。 『11:00から14:00までの間』は必ず出社していなければならない時間帯となり、退社時間は『14:00から20:00までの間』としなければならないということになります。 フレックスタイム制における残業時間 フレックスタイム制においては、労働者が『日々の労働時間を決定すること』もあって日々の労働時間においては『残業時間』といった概念ありません。 つまり、1日8時間超えて働いても『残業時間』とはならないのです。 では、フレックスタイム制においては『残業時間』は生じないのでしょうか。フレックスタイム制のもとでは、1日・1週の労働時間では判断せずに、清算期間における労働時間の合計によって時間外労働の有無を判断します。 その判断の仕方は以下のように考えるとわかりやすいでしょう。 労働時間を入れる大きな箱を用意します。この箱の大きさは、『清算期間における総労働時間』となります。毎日、働いたらその箱に労働時間を入れていくのです。この箱に入りきらない時間が『残業時間』となります。 つまり、日々の労働時間を足していって、清算期間(1か月)が終わった段階で『箱に入りきらない時間』に対して残業代を支払うことになります。逆に、箱一杯になっていない場合には、その分の賃金を控除することができます。 フレックスタイム制を活用するには 「フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたことにならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること」(昭和63.1.1基発1号、平11.3.31基発168号)といった行政解釈があります。 フレックスタイム制の良さは、労働時間のフレキシビリティといえます。労働者自身が働く時間を決められる範囲を広く持てて、その裁量性が大きい方が望ましいと考えます。 会社は、常に労働者が会社にいるわけではないことを勘案しておかなければなりません。ミーティングを設定する場合は早めに行うなど、労働者が効率的に業務を行えるように支援する必要があります。例えば、『毎朝朝礼を行う』といったルールを改める必要があるということです。 『自分が働きやすい時間帯で業務を行うこと』≠『効率的な働き方』となってしまうことも考えられます。自分が働きやすい時間であるがゆえに、却って『長時間労働』となってしまうようなケースが挙げられます。 長時間労働とならないように、労働者自身が『フレックスタイム制を利用して効率的な時間配分を行うこと』を意識しなければなりません。また、上長は、業務の進捗状況や長時間労働となっていないかについて、気を配ることが必要となります。 あまり、長時間労働が続く場合は、フレックスタイム制の対象から外すことも考えなければなりません。 フレックスタイム制を活用するには、『労働時間を効率的に配分することで、労働時間を短縮すること』が最大の目的であることの理解が重要なポイントとなります。 我々は、子どもの頃から「時間を厳格に守ること」を叩き込まれています。また、朝はみんなそろってスタートし、終わりもみんなでそろって帰るといった職場の慣行にも慣れ親しんでいるような気がします。こういった慣行が『非効率』を生み出していることも否めません。『付き合い残業』なんてまさにその最たるものといえるでしょう。 そういった観点で見ると、フレックスタイムは、日本の職場慣行の概念を覆すものといえるかもしれません。しかしながら、『効率的に働く』ことは労働者の意識に関わることが大きく作用されると考えます。フレックスタイム制により、労働者自身が効率的な時間配分を意識できれば、『理想的な働き方』の一つとなるのではないかと考えます。それには、労働者自身が労働時間を『効率的に働く』という意識を持って配分できることが重要なポイントとなります。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「スマホやタブレットを使った勤怠管理の方法」をご紹介します。 レコルは専用のタイムレコーダーを購入しなくても、既にお手持ちのスマホやタブレットを使って出退勤打刻を記録することができます。 この後ご紹介する打刻方法は既にお持ちのスマホやタブレットを使うことができますので、レコル導入の初期コストを大幅に抑えることができます。 社員のスマホを使って勤怠管理 無料のスマートフォンアプリをインストールすることで、従業員はスマホから出退勤の打刻や勤務表の編集をすることができるようになります。営業社員の直行・直帰を始め、テレワーク社員の自宅やサテライトオフィスなどからの出退勤を打刻も可能になります。 これまでタイムカードでは記録が難しかった勤務もレコルなら正しく記録することができ、管理者が離れた場所から勤務状況を確認することもできます。 スマホアプリの特長 社員のスマホを使った出退勤管理が可能 スマホアプリからは勤務表の入力も可能 打刻ボタンは出勤、退勤以外にもカスタマイズ可能 GPS機能を利用して、打刻した位置情報を残すことが可能 営業社員の直行/直帰を簡単に記録可能 打刻の動画イメージはこちら 打刻はリアルタイムに勤怠表に反映 スマホからの打刻はリアルタイムに勤怠表に反映されますので、営業社員の直行・直帰やテレワークの勤務状況も離れた事務所などからでも確認可能です。 タブレットを使った勤怠管理(共用打刻) 【レイアウト -パターン1】 【レイアウト -パターン2】 お持ちのタブレットをタイムレコーダーとして使う方法(共用打刻)もございます。 専用ソフトは不要で、ブラウザがあれば運用を始めることができ、従業員はタブレットに表示されている自分の名前をタップするだけで、出退勤を打刻することができます。 また、レイアウトのパターンは2種類あり、パターン1は利用者が大きく表示され選択しやすいのが特長です。 パターン2は、時間によって打刻モードが切り替わるため打刻ボタンを選択する手間がかからないのが特長です。 お客様の運用によってお好きなレイアウトをお選びいただけます。 共用打刻の特長 専用ソフトは不要、Webブラウザがあれば使えます 既にお持ちのタブレットやノートPCも使えます 社員は自分の名前をタップして打刻するシンプルな操作 共用PCから勤務表の確認や申請も可能 打刻ボタンは出勤、退勤以外にもカスタマイズ可能 打刻の動画イメージはこちら 【レイアウト -パターン1】 【レイアウト -パターン2】 スマホや共用打刻をお使いのお客様の声 「初期コストをかけず、社員のスマホで勤怠管理を始めることができました」 「テレワークの出退勤記録もスマホからすることができました」 「店舗数の多い飲食店ですが、手持ちのタブレットで運用を開始することができましたので、初期費用を抑えることができました」 「営業の直行/直帰もスマホから記録することができ、営業社員の勤務状況の確認ができるようになりました」 最後に スマホやタブレットによる出退勤打刻は、既にお手持ちのデバイスを使って勤怠管理を始めることができ、初期コストを大幅に抑えることができるだけでなく、直行・直帰やテレワークの出退勤の記録も簡単に行うことができるようになります。 初期コストを抑えてシステムを導入したい場合や、営業社員やテレワークの勤務記録でお悩みの場合は、ぜひ勤怠管理システム「レコル」のスマホやタブレットを活用した打刻をご検討ください。 レコルを無料で試してみる また、勤怠管理システムを検討する中で 「どんなサービスが自社に合うかハッキリしない」 「勤怠管理システムの種類がたくさんあって選び方に迷ってしまう」 そんなお悩みをお持ちの勤怠管理担当者へ、導入時のチェックポイントをまとめた資料をご用意しました。 資料は以下よりダウンロードすることができますので是非ご覧ください。

テレワークにおける労務管理上の留意点 労働者A 俺の乗っている○○線、朝の満員電車かなりきついよ!なんとかならないかなぁ~ 労働者B 通勤時間って、かなりのストレスだよな。 労働者C まさに、”痛勤“だよなぁ~ このように通勤にストレスを感じている労働者の方は多いのではないでしょうか。私自身も『通勤』を『痛勤』と感じている者の一人です。通勤をしないで良い!この夢のような制度が「テレワーク」と言えます。 「働き方改革」のテーマの一つである「柔軟な働き方がしやすい職場環境」を実現するために、今多くの企業で「テレワーク」の導入を検討しているところです。 『テレワーク』とは、労働者が「働く場所」と「働く時間」を自由に選択することを可能とする働き方であり、労働者の「仕事」と「生活」の両立が実現できる魅力的な制度の一つとして、今後益々注目されていくでしょう。 「働く場所」と「働く時間」の裁量 テレワークの導入に当たって、まず考えなければならないのは「働く場所」と「働く時間」の自由度(裁量)です。労働者にどこまで裁量を与えるか?ということを考える必要があります。 労働基準法においては、「働く場所」に関する制限はありません。職場内で仕事をしようが、自宅で仕事をしようが、カフェで仕事をしようが、労基法においては何の問題もないということです。 つまり、働く場所を職場内に限定するか?職場外での業務を認めるにしても自宅のみとするのか?労働者の好きな場所での業務を可能とするのか?については、企業が自由に決めればよいということになります。 しかしながら、「働く時間」についてはそうはいきません。当然ですが、労基法に沿った制度としなければなりません。テレワーク対象者であっても労働契約が成立している以上は、労働基準法等、労働関係法令が適用されます。したがって、企業は、テレワーク対象者の「始業、終業の時刻、休憩時間」を定めなければなりません。 テレワークと『事業場外のみなし労働時間制』 職場外での勤務となると、真っ先に思い浮かぶのが『事業場外のみなし労働時間制』となるでしょう。これについては、厚生労働省からガイドラインが示されています(「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」平成20年7月28日 基発第0728001号)。 このガイドラインによると以下のいずれの要件も満たす「在宅勤務」(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態)については、「事業場外のみなし労働時間」の対象となるとしています。 (1)当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。 (2)当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。 (3)当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。 つまり、労働者が『好きな場所』を選んで仕事をする場合には、「事業場外のみなし労働時間制」は適用できないのです。この場合は、使用者は「始業・終業の時刻」を把握しなければなりません。 なお、「事業場外のみなし労働時間制」を適用できる場合であっても、労働したものとみなされる時間が、深夜もしくは休日の労働となった場合には法定の割増賃金を支払わなければならないことや健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があるとされています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下、「労働時間ガイドライン」という。平成29年1月20日策定))。 労働時間の適正な把握 テレワーク対象者の「労働時間」を把握する方法としては、メールや電話等により業務開始・終了の時刻を報告させる方法や業務日報により業務時間を把握する方法が挙げられます。 また、最近の勤怠管理システムは、労働者のスマートフォンなどを利用して外出先からも利用できるものもあり、スマホのGPS機能を利用すれば打刻した場所も分かるシステムも普及しています。こういったシステムの活用の検討も必要となるでしょう。 いずれにしろ、労働者の申告に基づく管理、いわゆる「自己申告制」による労働時間の把握に頼らざるを得ません。 「労働時間ガイドライン」によると、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置として以下の措置を講ずることが求められています。 (1)自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。 (2)自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。 (3)使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。 また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。 テレワーク対象者の労働時間については、効率的な働き方を求めるあまり、テレワーク対象者が、正しい労働時間の申告をしづらくなってしまうことも考えられます。管理者は、少なくともメールの送信が深夜や休日に行われていないかどうか定期的に検証するなどの確認を行う必要があります。 労働者であれば、「安全配慮義務」が使用者に当然課せられているのです。その点を踏まえて、テレワークにおける「労務管理上の留意点」について考えてみます。 テレワーク導入の課題 「テレワークの導入=労働時間短縮」であるかのような議論が少なからずあります。テレワークを導入するだけで、労働時間が短縮するわけではありません。逆に却って増加してしまうことも考えられます。 テレワークは、集中して業務が行える半面、労働時間が長くなってしまう恐れがあります。また、まとまった勤務時間を確保しようとすると、働く時間が深夜や休日に亘ってしまうことが懸念されます。せっかくの制度が労働者の健康を害することになってしまっては、本末転倒と言わざるを得ません。企業はテレワーク対象者に対する「働き方」を健康管理の観点からも配慮しなければなりません。 私自身も月に数日テレワークを行うことがあります。特に自宅で行う場合は、家族が寝静まった深夜がやはり集中して業務を行えることから、深夜の時間を利用することが多いのが現状です。また、業務以外のことに気が向いてしまい、効率的に業務を行えず1日中机の前にいることになってしまっていることもあります。 労働者本人の自律も求められます。労働者自身が、勤務する時間帯や自らの健康に十分注意しつつ、業務効率を勘案して業務を遂行しなければなりません。企業がいくら仕組みを整えたとしても、最終的には、労働者自身の「働き方」に委ねることになるからです。 効率的に業務が進められて生産性が上げられることがこのテレワーク導入の目的であることを労使双方と理解した上で、短い時間で効率的に業務が行うための仕組みづくりと同時に意識改革が求められるところです。 テレワークを導入するということは、当然、社外での業務を認めるということです。 今までのように、部下が管理者の目の届くところで業務をしているのではなく、部下が管理者の「目の届かないところ」で業務に従事することになります。そのため、個別に労務管理を行う必要が出てくるのです。業務の進捗状況の把握、評価等々…。そういったルールも整備しなければならないでしょう。 最後に、セキュリティの問題も懸念されます。例えば、カフェで資料を広げて業務を行うとなると、隣の人に見えてしまうといったことが懸念されます。また、出先で資料を忘れてきてしまった…なんてことも起こるかも知れません。 テレワーク+フレックスタイムで「働く場所」と「働く時間」を自由に! テレワークに「勤務時間」を自由に選択することができる『フレックスタイム制』を適用することで、労働者は「働く場所」と「勤務時間」を自由に選択することが可能となります。このことによって、より効率的な働き方が実現することになるでしょう! フレックスタイム制とは、労働者が働く時間を選択できる制度です。この場合、残業時間のカウントは、1日8時間・1週40時間の労働時間規制に代えて、清算期間(1か月)における労働時間の合計によって時間外労働の有無が判断されます。 例えば、清算期間における所定労働時間を160時間(1日の標準労働時間8時間・1か月の所定労働日数20日)とする場合、日々の労働時間が8時間を超えても残業時間とはならず、1か月の労働時間の合計が160時間を超えた場合に時間外労働の支払いが発生します。つまり、1日10時間の日があっても、1日3時間の日があっても1か月で160時間勤務すればよいということになります。 労働者の都合に合わせて働く時間を自由に設定することが可能となり、最もテレワークのメリットを生かせる制度といえます。 フレックスタイム制についてはの詳細は次回に… プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年12月21日(木)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 特定の時間帯や平日/休日ごとの時間集計に対応 権限単位での表示項目設定に対応 その他小改善 特定の時間帯や平日/休日ごとの時間集計 特定の時間帯や平日/休日ごとの集計項目を追加できるようになりました。 例えば、平日と休日、日中と深夜でアルバイトの時給が異なる場合にも時給パターンにあわせて勤務時間を集計できるようになります。 集計項目を追加する [設定]-[集計項目設定]から項目を追加してください。 例)以下4つの時給パターンがある場合は、それぞれの集計項目を追加することで簡単に勤務時間を集計することができます。 ①:平日日中(5時~22時) ②:平日深夜(22時~5時) ③:休日日中(5時~22時) ④:休日深夜(22時~5時) 追加した集計項目は[設定]-[表示項目設定]から項目表示をONにすることで勤務表に表示されるようになります。 詳しくはオンラインマニュアル「勤務表の集計項目を設定する」をご覧ください 権限単位に表示項目を設定 権限単位で表示項目を設定できるようになりました。 これまでは全従業員で表示項目は共通でしたが、例えば一般社員やアルバイト(一般や打刻のみ権限)には必要最低限の項目のみを表示して、管理者や会計事務所(管理者権限)には全項目を表示させるといった運用が可能になります。 権限単位で表示項目を設定する [設定]-[表示項目設定]から権限単位に表示項目を設定してください。 詳しくはオンラインマニュアル「勤務表の表示項目を設定する」をご覧ください その他の機能追加 勤務表の画面から表示する従業員を変更できるようになりました 勤務表の画面から表示している従業員を変更できるようになりました。 氏名横の検索アイコンから従業員を変更することができますので、これまでのように勤務管理画面に戻って別の従業員を選択する必要がなくなりました。 ※管理者権限の場合にのみ表示されます 不具合修正 「所定内労働」の集計における不具合を修正(複数回勤務の場合) 複数回勤務の運用で「複数回の勤務を1日の勤務として集計する」オプションがONの場合に、「所定内労働」が正しく集計されない不具合を改修しました。 例)日の所定労働時間が"07:30"で、以下の2勤務(合計8時間30分の勤務)をした場合 勤務①:09:00~12:00(3時間勤務) 勤務②:14:00~19:30(5時間30分勤務) ■修正前所定内労働が各勤務の合計「08:30」となってしまう ■修正後所定内労働が「07:30」になります ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

年次有給休暇の活用 働き方改革ということで労働者の働き方、休み方が見直しを検討している企業も多くあるのではないでしょうか。企業によっては、新たな休暇制度の導入を検討しているところもあるでしょう。 その前に注目して頂きたいのは『年次有給休暇の活用』です。 昨年1年間に企業が付与した年次有給休暇の日数(繰越分を除く)は、労働者1人平均で「18.1日」、そのうち労働者が実際に取得した日数は「8.8日」となっています。取得率でいうと、「48.7%」となっています。(厚生労働省「平成28年就労条件総合調査の概況」) つまり、半分以上も活用できていない休暇があるにもかかわらず、新たな休暇制度を導入するのはもったいない気がしませんか。ここはまず、年休の効率的な運用を検討するべきではないでしょうか! 政府は、2020年までに年休の取得率を70%に引き上げることを目標に掲げています。また、それに伴い一定の日数の年休消化を義務付ける法改正も検討されています。そういった意味でも「年休の取得率向上」はこれからの労鵜管理にとって重要なことになるでしょう!! まずは、年休のこと、知っておきましょう。 年次有給休暇とは (1)労働基準法第39条に定められている有給の休暇のことで勤続年数に応じて所定の日数が付与されます。 勤続年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年 付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日 (2)パートタイマー等の短い時間や働く日数が少ない労働者に対しても勤続年数および所定労働日数に応じて付与することとなっています。 週所定 労働日数 勤続年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年 4日 付 与 日 数 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日 3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日 2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日 1日 1日 2日 2日 3日 3日 3日 3日 なお、年休の発生要件は以下の通りとなっています。 ①6か月以上の継続勤務 ②全労働日の8割以上の出勤 年休の時季変更権 年休は、労働者の好きなタイミングで休むことができるものです。たとえば、「来週の週末、温泉にでも行こう!」ということで、年休の請求があった場合には、会社は、「ダメだ!」と言って年休の取得をさせないことはできません。ただし、どうしてもその労働者が休んでしまうと会社の業務が立ち行かなくなってしまうような場合のみ断ることができます。しかし、この場合においても「来週の週末はダメだけど、週明けの月曜日に変えてくれ!」といったように休みの時季を変更してもらうこととなっています。これを、「年休の時季変更権」といいます。 年休の計画的付与 A社の年休取得率向上会議の一場面 社長 社内で年休を取得する人と取得しない人が偏っているな~ 人事担当者A 創立記念日や本人の誕生日などに記念日を年休扱いにして休むようにしてはいかがですか? 人事担当者B それならGWの谷間や飛び石連休のときも年休で休めるようにしても良さそうですね。 社長 それを可能とする方法はないのか! このときに使えるのが年次有給休暇の計画的付与です。 労働者が年休を好きなタイミングで取得する権利と会社側の時季変更権の双方の権利を行使せずに、年休を特定の時期に計画的に取得させる方法のことです。 ポイントは2つ (1)就業規則による規定と労働者代表との労使協定が必要! 年休の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、労働者の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする。」といった規定が必要となります。 その上で、実際に計画的付与を行う場合に、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。 なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届出る義務はありません。 労使協定で定める項目は次のとおりです。 a. 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者) b. 対象となる年次有給休暇の日数 c. 計画的付与の具体的な方法 d. 対象となる年休を持たない者の扱い e. 計画的付与日の変更 (2)年次有給休暇の付与日数すべてについて認められているわけではない! 年休の計画的付与は、付与日数すべてについて認められているわけではありません。そもそも、年休は労働者が好きなタイミングで取得できるのが原則です。そのため、労働者が病気やその他の個人的事由による取得ができるよう指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があります。その留保しておく日数は、「5日」と決められています。最低「5日間」個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければならないのです。つまり、労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。 たとえば、年次有給休暇の付与日数が10日の労働者に対しては5日、20日の労働者に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。 なお、前年度取得されずに次年度に繰り越された日数がある場合には、繰り越された年次有給休暇を含めて5日を超える部分を計画的付与の対象とすることができます。 年休の計画的付与は、(1)会社もしくは支店や工場など事業場全体の休業による一斉付与方法、(2)班・グループ別の交替制付与方法、(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法などさまざまな方法で活用することができます。 A社の人事担当者の提案以外にも、「閑散期に年休を取得させる」「年末年始休暇や夏季休暇にプラスすることでの長期休暇」なども可能となります。年休の取得が個人ごとに偏っている企業や年休の取得率向上を検討している企業においては、是非ご検討下さい。 年休の時間単位付与 B社の昼休みの会話 労働者C うちの会社、年休の半休制度はあるけど…この前、朝病院に寄るのに1時間しかかからなかったのに半休使うのもったいなくて考えちゃった。 労働者D そうそう。半休って午前と午後に区分されているけど、ちょっと1,2時間のときに使うの考えちゃうよね。 労働E 子どものお迎えのときに1時間くらい早く帰れるといいのに。 労働者F 会社の近くには医者に行けるように中抜けができると便利なんだけどな。 計画付与と同様、労働者代表等との労使協定を締結することによって年に5日を限度として、時間単位で年休を与えることができます。この場合の5日とは、前年度以前の繰越があっても、繰越分も含めて5日以内となります。 労使協定には、以下の事項を定めます。 ①時間単位年休の対象労働者の範囲 ②時間単位年休の日数 ③時間単位年休1日の時間数 ④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数 時間単位年休1日の時間数は、所定労働時間数を基に定めます。時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げてから計算します。たとえば、1日の所定労働時間が7時間45分の場合は、「8時間」となります。 また、1時間以外の時間を単位とすることはできますが、時間単位ですので「1時間30分」等時間未満を単位することはできません。 B社の労働者の会話の中にも出ていたように、半日までは時間はかからないけど、年休を1,2時間利用したいといった要望は、多くの労働者から聞かれるところです。朝1時間ほどで家の用事を済ますことや早帰りが可能となることは労働者にとって効率的な時間の使い方となるでしょう。また、時間単位年休を活用すると、「中抜け」も可能となります。例えば、久々に会った友人とゆっくりランチをすることや会社の近くの美容院にお昼にといった利用方法も考えられます。 このような時間単位年休の管理を容易にするのが、「勤怠管理システム」と言えます。年休の残日数の管理は通常であれば、年休管理簿をつけることで管理は可能です。しかしながら、時間単位で取得するとなると年休の残日数を「9日と7時間」「時間単位年休可能な残日数は4日と7時間」などの管理が必要となり、複雑です。昨今は、適正な労働時間管理が求められています。時間単位年休の管理も可能な勤怠システムの導入をぜひご検討下さい。 まずは、上司から 年休の取得率の向上といった話をすると、そんなに労働者を休ませたら会社が回らないといった声も多く聞かれます。もちろん、何が何でも年休を取得させなさいというつもりはありません。しかしながら、年休を取得することで労働者が心身ともにリフレッシュすることは事実なのです。私も感じたことがありますが、平日に温泉につかってビールを一杯といったことが、自分の新たな仕事のエネルギーとなることを実感できます。 「俺は、今まで年休を取ったことがない!」といった上司の方は多くいらっしゃいます。ぜひ、上司の方が率先して年休取得が自分の新たなエネルギーとなることを実感して頂ければと思います。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年11月21日(火)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 有休管理機能の追加(付与、残日数) 時間有休への対応 スマホアプリに休憩時間の編集機能を追加 その他小改善 有休管理機能を追加 各従業員に有給休暇を付与して、取得日数だけでなく、有休残り日数の管理ができるようになりました。 また時間有休へも対応していますので、時間有休の取得と有休残り時間の管理も可能になりました。 有休管理機能を有効にする 有休管理機能を使用する場合は、[設定]-[環境設定]から設定をONにしてください。 有給休暇の付与と残日数管理をする場合は、「有休管理機能を使用する」を選択してください。 また、時間有休を導入されている場合は、「時間有休を使用する」を選択してください。 詳しくはオンラインマニュアル「有休管理機能を設定する」をご覧ください 有給休暇を付与する 有給休暇の管理画面から各従業員に有休を付与することができます。 「付与日」と「付与日数」を設定して、有休を付与します。残日数の管理と翌年への繰越しも自動で行われます。(有給休暇の有効期限は付与日から2年間) また、有給休暇の付与は1人ずつとファイルインポートによる一括付与の2種類の方法が可能です。 詳しくはオンラインマニュアル「有休休暇を付与する」をご覧ください 有休休暇の残り日数を確認する 有給休暇を取得する(勤務表に登録)すると、自動で「有休残り日数」が減ります。 各従業員は自身の勤務表で有給休暇の残り日数を知ることができます。(スマホアプリも確認可能) 有給休暇を取得すると残り日数が自動で減ります。また、残り日数が足らない場合は、更新時にエラーが表示されますので、残り日数以上の有給休暇を取得することはありません。 詳しくはオンラインマニュアル「有休残り日数を確認する」をご覧ください 時間有休の管理 勤務表から時間有休の時間を入力することができます。 時間有休を使用する場合は、設定を有効にする必要があります。 なお、時間有休の残り取得可能時間は勤務表で「有休残り時間」で確認することができます。 詳しくはオンラインマニュアル「時間有休を取得する」をご覧ください その他の機能追加 スマホアプリから休憩時間が入力可能に スマホアプリの勤務表から休憩時間が入力できるようになりました。 これまではWebアプリの勤務表からしか入力できませんでしたが、スマホアプリからも休憩時間を入力できるようになりました。 勤務表の合計項目に「休憩時間合計」を追加 勤務表の印刷画面で「所定出勤日」「出勤日数」「有休取得日数」「有休残り日数」などが出力されるようになりました 「所定内労働」の項目を追加 勤務表の合計値項目に「休憩時間」が追加されました。 これにより、1か月の合計休憩時間を把握しやすくなります。 バグ修正 22時をまたぐ休憩時間があった場合に深夜(22時~翌5時)が正しく計算されない不具合 休憩時間が22時をまたぐ場合に、22時以降の休憩時間が深夜から差し引かれない不具合を修正しました。 例)"20:00" - "24:00"の勤務で、"21:30" - "22:30"の固定休憩を取得する設定の場合 ■修正前深夜:"2:00" ■修正後深夜:"1:30" ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 [勤務設定]の自動休憩[休憩打刻と自動休憩の計算方法]で"合算する"場合の仕様を修正 これまでは開始~終了に対する固定休憩と自動休憩をそれぞれ計算後に合算していたのを、自動休憩は固定休憩を控除した実働時間から判定するように修正しました。 ■修正前 ①実働時間が"9:00" - "17:00"("8:00") ②固定休憩が"12:00" - "13:00"("1:00") ③自動休憩で"実働時間が8:00以上で1:00の休憩"("1:00") 休憩時間を合算(②+③) → 休憩時間:"2:00" ■修正後 ①実働時間が"9:00" - "17:00"("8:00") ②固定休憩が"12:00" - "13:00"("1:00") →先に固定休憩が控除され、実働時間は"7:00" ③自動休憩の"実働時間が6:00以上で0:45の休憩"が適用される("00:45") 休憩時間を合算(②+③) → 休憩時間:"1:45" ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「指紋・静脈認証で不正打刻を防止する方法」をご紹介します。 「遅刻しそう」などを理由に同僚にタイムカードを代わりに打刻してもらう。 このような、なりすましによる不正なタイムカード打刻でお悩みではありませんか? レコルには指紋・静脈認証で出退勤を打刻する専用のタイムレコーダー(BT-2301)がございます。 BT-2301は「指紋」と「指静脈」を非接触で同時に読み取ることができる「指ハイブリッド認証」が可能で、高精度・高セキュリティな本人認証を実現し、なりすましによる不正打刻を防止します。 BT-2301(指紋・静脈認証のタイムレコーダー)について BT-2301の特長 本人を間違いなく特定できるため、なりすましによる不正打刻を防ぐ 指を1本置く(かざす)だけの簡単操作で誰でも使える ICカード忘失・紛失時によるセキュリティリスクを軽減 ICカード管理(購入・登録・配布など)の業務負担を軽減 従業員の追加、再発行などによるICカード購入費(1枚約300円)が不要 PCへの接続が不要なので、設置スペースを取らない 詳しくは機能ページの「生体認証打刻(指紋・静脈)」をご覧ください 打刻の動画イメージはこちら 打刻はリアルタイムに勤怠表に反映 BT-2301からの打刻はもちろんリアルタイムに勤怠表に反映されますので、従業員やアルバイトの出退勤状況が一目で分かります。 BT-2301を購入されたお客様の声 「不正打刻がなくなり、助かっています。」 「年配の社員でも簡単に打刻できました。」 「アルバイトが入れ替わった場合も指を登録するだけなので、管理がとても楽になりました。」 「PCへの接続も不要なので、設置場所を取らなくて良かったです。」 最後に BT-2301はパソコン不要で省スペースで設置することができ、ICカード管理(購入・登録・配布など)も不要ですので、とても手軽に運用を始めることができます。 アルバイトの不正打刻(なりすまし)などでお悩みの場合は、ぜひ勤怠管理システム「レコル」で生体認証打刻をご検討ください。 また、今回紹介した指紋・静脈認証での打刻のご不明点やご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

労働基準監督署の調査の概要 社員A この前、部長に有給休暇の申請をしたら、入社したばかりで有給なんて良く言えるなっていわれちゃったよ 社員B 俺だって、残業の事前申請をしたら自分の出来が悪くて残業する癖にちゃんと申請するのか、だってさ… 社員C うちの部署なんて、不夜城って呼ばれてるよ。22:00過ぎてもほとんど帰る人いないから… 全員 俺らの会社ってまさにブラック企業だよな!! これは、たまたま入ったカフェで隣の席から聞こえた実際の会話です。『我が社のブラック企業度自慢』といったところでしょうか!? 彼らの勤めていた会社名までは聞こえませんでしたが、自分の勤めている会社が『ブラック企業』だなんて寂しい話ではありませんか。 労基署調査は「企業を守る」ため! 「労働基準監督官がやって来た!」どの企業にとっても喜ばしい出来事とはいえないでしょう。おそらく好きか嫌いかと問われれば、ほとんどの経営者は、後者を選択するに違いありません。 この労基署の調査は、「労働者の権利」を守るために行われているものでしょうか? 私は、「企業を守る」ために行われていると考えています。 最近は多くの企業で人手不足が言われています。いわゆる「売り手市場」となっており、企業は労働者から選ばれる立場にあります。労働者から選ばれない企業は、経営活動に支障を来たすこととなるのです。実際、人手不足を理由とする新規事業進出の断念、事業縮小をせざるを得ない企業も出て来ています。『人手不足倒産』といった言葉も現実味を帯びて来ているのです。 冒頭のカフェの会話に出てくるような企業にあなたは勤めたいと考えますか? では、企業が労働者から選ばれる為にはどうしたらよいのでしょうか? 真っ先に考えるべきなのは、「わが社は労働者が安心して働ける職場環境にあるのか?」ということです。それには、『労基法の遵守』が必須と言えます。 つまり、貴社の労基法の遵守度を確認する労基署の調査は、企業を守るために重要な場となるのです。 労基法を遵守して「選ばれる企業」に! 例えば、スポーツをするに当たっては、最低限のルールを知らないとプレー出来ません。野球で言えば打ったら一塁に走るし、サッカーでは基本的に手を使えません。これと同様に、人を雇うのであれば知っておかなければならないルールがあります。それが『労基法』といえます。 労務管理にとって重要な労基法を学ぶ場は、大学の法学部など限られた場所しかありません。つまり、重要な法律を学ぶ機会のなかった経営者は多くいらっしゃいます。しかしながら、これからの企業には、労基法を守って会社と労働者を守ることが求められます。 企業における「働き方」が見直される中、労基署調査があることで多くの経営者が労基法を学ぶきっかけとなっています。このことが、今、労基署の調査が注目されている理由と言えます。 労働基準監督署による調査ってどんなもの? 労働基準監督署による調査とは、労働基準監督官が事業場に対して労基法等の違反の有無を調査する立入検査のことです。一定の計画に基づき、業種や規模を任意に選び行われる場合(定期監督)や労働者からの申告に基づいて行われる調査(申告監督)などがあります。 (1) 労働基準監督官の権限 監督官の権限は、労基法で①事業場等の建設物への臨検、②帳簿、書類の提出を求めること、③使用者、労働者に対して尋問できることが保障されています。また、労基法違反について司法警察官の職務を行うことができます。つまり、逮捕することもできるということです。さすがに、調査で労基法違反が見つかり、その場で逮捕といったことは見たことはありませんが、その権限は持っているということです。 (2) 調査の対象は事業所ごと 調査の対象は、事業所ごととなっています。事業所ごととは、その会社で本社のみが対象になるということではなく、営業所や支店、工場や店舖等の全ての事業所が対象となっています。例えば、飲食店であれば店舖も対象となるということです。 (3) どんなことを調べるのか 労働基準監督官が調査に来た場合、以下の書類の提示が求められます。なお、書類の内容を確認するだけでなく、労働者へ直接ヒアリングや業務で使用しているPCなどを確認することもあります。 実際の調査の際に確認する書類はおおよそ以下の通りとなっています。 ① 会社の事業概要がわかるもの ② 組織図 ③ 労働条件通知書あるいは雇用契約書 ④ 労働者名簿 ⑤ 賃金台帳(直近3~6か月分) ⑥ タイムカード,出勤簿,時間外・深夜労働時間を集計したもの(直近3~6月分) ⑦ 就業規則等諸規程 ⑧ 時間外・休日労働に関する協定届(提出控) ⑨ 事業場外労働・裁量労働に関する協定届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届、フレックスタイム制に関する労使協定、その他各種労使協定(提出控) ⑩ 年次有給休暇管理簿 ⑪ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医・安全衛生推進者の選任報告(提出控)及び巡視記録 ⑫ 安全・衛生委員会規程、委員名簿、議事録 ⑬ 健康診断個人票、健康診断結果報告(提出控) ⑭ 長時間労働者に対する面接指導の実施状況が分かるもの 全体の7割近くの事業場に労基法違反を指摘! 『ブラック企業』を解消するため、厚生労働省では、毎年11月に「過重労働解消キャンペーン」として著しい過重労働や悪質な賃金不払残業などの撲滅に向けた取り組みの一環として集中的に監督指導が行われます。東京労働局によると今年も「長時間の過重な労働による過労死等に関して労災請求が行われた事業場や若者の「使い捨て」が疑われる企業などへ重点調査を行うとのことです。 昨年11月におこなわれた「過重労働防止キャンペーン」期間中には、全国で7,014事業場に対して調査が行われ、このうち4,711事業場(全体の67.2%)で労働基準関係法違反が指摘されています。 【主な違反内容】 (1) 違法な時間外・休日労働があったもの:2,773 事業場(39.5%) うち、時間外・休日労働(法定労働時間+法定休日労働)の実績が最も長い労働者の時間数が 1か月当たり80時間を超えるもの:1,756事業場(63.3%) うち、月100時間を超えるもの:1,196事業場(43.1%) うち、月150時間を超えるもの:257事業場(9.3%) うち、月200時間を超えるもの:52事業場(1.9%) (2) 賃金不払残業があったもの:459 事業場(6.5%) (3) 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:728 事業場(10.4%) 【主な健康障害防止に係る指導の状況】 (1) 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:5,269事業場(75.1%) うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:3,299事業場(62.6%) (2) 労働時間の把握方法が不適正なため 指導したもの:889事業場(12.7%) 労働基準監督署調査は突然、やってくる!? 労働基準監督署調査は、必要な書類を持参の上、会社の担当者が監督署に訪問する形で行われるケースもありますが、通常は、会社に監督官が訪問する形で行われます。 事前に電話連絡や文書により調査することを予告したうえで訪問するケース、何の前触れもなく、監督官が突然訪問するケースもあります。もちろん、突然来られて対応できないといったこともあるかもしれません。以前、ある監督官に、「突然来られるとなかなか対応が大変なので事前に予告してもらえると助かるのですが。」といった話をしたことがあります。その時の監督官は、「突然の訪問でないと確認できないこともあるので。」と言っていました。突然調査をすることで、その事業場の裏表のない実態が把握できるのだそうです。 事前に予告がある場合には、文書で調査の日時、準備する書類を指示されます。事前に予告がある場合には、会社側からすると、例えば、届出を忘れていた書類を事前に提出してしまうなどの対策を取ることができます。また、監督官側からすると、書類を準備しておいてもらうことで全体的な労務管理の状況をしっかりと見ることが可能となります。 調査の日程がどうしても合わない場合、たいていは、調整に応じてくれますが、調査は拒否できないものであると考えてください。 「是正勧告書」と「指導票」 労基署調査により、何らかの労基法違反等が確認された場合には、「是正勧告書」や「指導票」の交付を受けます。 (1) 是正勧告書 「是正勧告書」とは、サッカーでいうとレットカードです。明確な法律違反に対して「所定期日までに是正の上、遅滞なく報告するよう勧告します。」といった文書です。「違反事項及び該当法条項」「是正期日」が記載されており、交付の際、調査に立ち会った担当者の署名捺印を求められます。なお、是正勧告に従わない場合には送検手続きをとられることがあります。 (2) 指導票 「指導票」とは、イエローカードです。明確な法律違反ではないけれども、このままの状態が続くと法律違反となる可能性がある場合や行政通達に関する違反についてについて警告して改善を求めるものです。指導事項についても、期日を指定され改善状況を報告することが求められます。 (3) 是正勧告書・指導票への対応 是正勧告書、指導票いずれにおいても、是正・改善したことを報告します。だいたい1か月程度の日付を是正・改善期日として指定されます。万が一、所定期日までに是正・改善ができない場合は、その理由と経過報告等を行います。監督官が是正・改善したことを認めるまで報告は続けられます。以前、長時間労働の改善を指導されたケースでは、毎月勤怠データの報告が求められ、1年近く報告を続けたこともあります。なお、虚偽の報告は厳禁です。虚偽の是正報告をしたのち、再度調査が行われ、虚偽の報告が発覚して書類送検となったケースがあります。 調査に対する心構え (1) 過去は変えられない 調査は過去の一定期間が対象となっています。通常は、直近3か月から6か月程度の期間に対しての調査となります。過去の出来事ということは、「変えられない」ということになります。事前に違反行為があったことに気付いても、それを無かったことにすることは書類を改ざんすることになります。絶対にやってはならないことです。 (2) 誠意を持った対応を心がける 労働基準監督官が提出を求めた書類が速やかに提示される場合と、なかなか書類が出てこない場合では、前者の方があきらかに印象はよいのではないでしょうか。 36協定や就業規則については労働者に周知義務があります。つまり、監督官が突然来訪して「就業規則を見せてくれ」と言われた場合に「どこに保管されているか分からない」ということが労基法違反の指摘を受ける可能性があるということです。書類を隠すことなく、速やかに提示することを心がけてください。 また、監督官から違反行為を指摘された場合に、あまりにも根拠のない抵抗は慎んでください。指摘された事項については、誠意をもって改善する意思があるのだという姿勢が大切です。 (3) 調査は過去のこと、将来的な視点を持つ 「うちの会社は、ブラック企業なのか…」。自分の勤めている会社で労基法違反があったということに対する労働者のインパクトは想像以上に大きいものです。しかし、調査は、過去のこと。違反行為があったことは、変えられない事実なのです。 過去の清算による影響を考える経営者の方もいらっしゃいます。しかし、『過去のことより将来のこと。』労働者は、過ぎたことよりこれから良い方向に向かっていく会社に期待をしているはずです。「これから」に軸足を置いた労務管理を目指すべきです。 労務管理チェック表 自社の労務管理の実態を把握してみましょう。チェックが3つ以上は要注意です。 就業規則の前回の改定から5年以上経過している。 36協定の中身を把握していない。 先月残業時間が一番長かった労働者を把握していない。 時間外労働の時間数が月の途中で把握できる仕組みがない。 労働時間の把握は、労働者からの申告に基づいている。 賃金の中に「固定残業」が含まれているが、その対象となる残業時間数は不明確である。 過去6か月以内に、1か月の総労働時間(所定労働時間、残業や休日労働も含む)220時間を超えている労働者がいる。 管理監督者の労働時間を把握していない。 事業場における管理監督者の比率が30%以上である。 年次有給休暇の取得率が、50%未満である。 振休、代休が未消化の労働者がいる。 健康診断は行っているが、記録を保管しているだけである。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

割増賃金の話 数多くのトラブルの原因となっているのが「割増賃金」に関する件です。 良くあるご相談はこんな感じです。 社員A 残業や休日出勤をしたのに割増賃金が正しく計算されていないのではないか? 部長B 管理監督者となると割増賃金って一切支払われないの? アルバイトC アルバイトにだって割増賃金が支払われるのでしょ? 割増賃金の割増率 法定労働時間を超える時間外労働や休日労働、深夜の時間帯(22:00~5:00)に労働した場合には、通常の賃金にプラスして割増賃金の支払いが義務付けられています。この場合の割増率は以下の通りとなっています。 労働基準法第15条 労働の内容 割増率 時間外労働 (法定労働時間を超えて労働した場合) 25%以上 50%以下 ただし、大企業(注1)の場合、月60時間を超えて労働した場合は50%以上 休日労働 (法定休日に労働した場合) 35%以上 50%以下 深夜労働 (22:00~5:00に労働した場合) 25%以上 (注1)大企業に当てはまらない中小企業の範囲は、「資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主またはその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である企業については、当分の間適用除外となっています。 深夜労働の際に割増率が合算されることも 時間外労働が長引いて、22:00を超えて労働をした場合には、『時間外労働の割増賃金』と『深夜労働の割増賃金』を合算して支払うこととなります。つまり、50%以上の割増賃金の支払いが必要となるのです。 同様に、法定休日に労働している場合に22:00を超えて労働した場合には、『休日労働(法定休日)の割増賃金』と『深夜労働の割増賃金』を合算して支払うこととなり、割増率は60%以上となります。 なお、休日労働が長引いて8時間を超えた場合においても、『時間外労働の割増率』を合算して支払う必要はありません。つまり、法定休日に労働した場合には、22:00を回らない限り35%以上の割増賃金を支払う必要はないのです。 深夜労働の割増率 労働の内容 合計の割増率 時間外労働 + 深夜労働 50%以上 時間外労働(25%) + 深夜労働(25%) 法定休日労働 + 深夜労働 60%以上 法定休日労働(35%) + 深夜労働(25%) 翌日にまたがって勤務した場合の割増賃金の考え方 始業時刻の属する日から翌日の朝まで勤務するというように,翌日にまたがって継続勤務した場合の割増賃金については、前日の始業時刻から翌日の始業時刻までの労働を前日の勤務とし、それ以降の労働については当日の勤務ということになります。 また、休日については暦日(0時から12時)単位で考えることになっています。これらを踏まえて、X社を例に挙げて考えてみます。 X社の就業規則 第●条(所定労働時間) 当社の所定労働時間は、1日8時間、1週40時間とし、始業・終業の時刻及び休憩時間は次の通りとする。 始業9:00 終業18:00 休憩時間12:00から13:00 第■条(所定休日) 当社の所定休日は、次の通りとする。 (1)日曜日(法定休日) (2)土曜日 (3)国民の祝祭日 (4)年末年始(12月29日から1月3日) 第▲条(割増賃金の率) 割増賃金の割増率は、以下の通りとする。 (1)時間外労働 25% (2)深夜労働 25% (3)所定休日 25% (4)法定休日 35% 例1)月曜日から火曜日にかけて継続勤務した場合 (所定労働日から所定労働日にまたがって勤務した場合) 例2)金曜日から土曜日にかけて継続勤務した場合 (所定労働日から所定休日にまたがって勤務した場合) 例3)土曜日から日曜日にかけて継続勤務した場合 (所定休日から法定休日にまたがって勤務した場合) 例4)日曜日から月曜日にかけて継続勤務した場合 (法定休日から所定労働日にまたがって勤務した場合) 所定休日に出勤した場合に割増賃金が必要となることも 労基法上は、法定休日の労働にのみ、「休日出勤」としての割増賃金の支払いを義務付けています。しかし、「所定休日」の労働であっても割増賃金の支払いが必要となることがあります。 再び、先ほどのX社を例に挙げて説明します。ある週の勤務が、法定休日である日曜日は休み、月曜日から金曜日まで8時間勤務、所定休日の土曜日も8時間勤務をしたとします。この場合、出社したすべての日の勤務は8時間を超えていないので時間外労働の割増賃金は不要です。また、法定休日は確保されていますので休日出勤の割増賃金も不要となります。しかしながら、土曜日の所定休日に勤務したことによりこの週の労働時間は48時間となっています。 このようなケースにおいては、1週40時間を超える労働に対しては法定時間を超える労働となるため、8時間分の「時間外労働の割増賃金」を支払わなければなりません。 実際は、休日出勤に対しての支払うこととなるのですが、労基法上は時間外労働としての取り扱いとなるのです。したがって、割増率は25%以上で良いということになります。 休日を振替えた場合においても週40時間を超えた場合には同様の取扱いとなります。 割増賃金の計算方法 月給で支払われる場合の割増賃金の計算の基となる「時間単価」は、次の計算式により算出します。 時間単価 = 基本賃金 ÷ 1か月当たりの平均所定労働時間数 この時間単価にそれぞれの割増率を掛けて割増賃金は、算出します。 なお、「基本賃金」とは、所定労働時間労働した場合に支払われる全ての賃金のことをいい、基本賃金から除ける賃金は以下のもののみとなっています。 ①家族手当 ②通勤手当 ③別居手当 ④子女教育手当 ⑤住宅手当 ⑥臨時に支払われた賃金 ⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 また、「1か月当たりの平均所定労働時間」は次の通り算出します。 (1年間(365日or366日) - 年間所定休日日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12か月 この「1か月当たりの平均所定労働時間」は、その年の労働日数に応じて変わってきます。 またまた、X社を例に1か月当たりの平均所定労働時間数を考えてみましょう。 2017年は、(365日 - 120日(所定休日数)) × 8時間 ÷ 12か月 ≒ 163.33となります。 2018年は、(365日 - 121日(所定休日数)) × 8時間 ÷ 12か月 ≒ 162.67となります。 この場合の基本賃金30万円のD氏の割増賃金の単価(ともに円未満切り上げ)は以下のようになります。 2017年は、30万 ÷ 163.33 ≒ 1,837円 2018年は、30万 ÷ 162.67 ≒ 1,845円 2017年と2018年を比較すると、2018年の方が休日は「1日」多くなっており、1か月当たりの平均所定労働時間は、少なくなっています。そのため、2018年の方が単価は「8円」高くなっているのです。つまり、カレンダーの関係で休日数が増え、労働日数が減ると割増賃金の単価が上昇します。逆に労働日数が増えると単価は下がります。 毎年休日数が変動する会社においてはこの点に注意しなければなりません。労働日数が増えた場合(つまり、割増賃金の単価が下がっている場合)には、未払賃金は生じませんが、労働日数が減った場合(つまり、割増賃金の単価が上がった場合)に、見直しをしていないと未払い賃金が生じる恐れがあるからです。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年9月26日(火)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 「時間外アラート」機能の追加 「出退勤アラート」機能の追加 勤務区分の拡張 「所定内労働」項目の追加 共用打刻の打刻モード自動切り替え機能の追加 その他 小改善 「勤務アラート」機能を追加 勤務アラート機能では、予め設定された時間を超える残業時間を通知する「時間外アラート」と、打刻忘れや遅刻早退など日々の勤務をチェックする「出退勤アラート」を設定することができます。 時間外アラート 「時間外アラート」では上限となる残業時間を任意に、かつ複数設定できますので、例えば15時間、30時間、45時間とアラートを段階的に設定して通知することが可能になりました。 また、当月だけでなく過去2ヶ月や過去3ヵ月の合計時間にアラートを設定することができますので、36協定違反を未然に防ぐための警告としてアラートを設定することが可能です。 各アラートをクリックすると該当者が一覧表示されますので、注意すべき従業員をすぐに把握することができます。 チェックする残業時間の上限の変更はもちろん、アラート対象を所属や雇用区分ごと(社員、パート・アルバイトなど)に設定することもできますので、運用に合わせたカスタマイズが可能です。 ※今回のバージョンアップに伴い、既存の所属やグループに設定している時間外アラート機能を廃止しています。お手数ですが新しい「時間外アラート」をご利用いただくようお願いいたします。 出退勤アラート 「出退勤アラート」では、これまでの勤務表の入力漏れのアラートに加えて、出退勤の打刻忘れや遅刻や早退、出退勤打刻と勤務表が1時間以上乖離している勤務などをアラートで通知することができるようになりました。 これにより「まだ出社していない社員はいないか」「打刻した時刻を不正に修正している社員はいないか」などのチェックを簡単に行うことが可能になります。 各アラートをクリックすると該当者が一覧表示されますので、該当する従業員をすぐに把握することができます。 アラートは設定メニューからON/OFFや本人に通知するかを設定することができますので、運用にあわせたカスタマイズが可能になっています。 その他の機能追加 勤務区分に「実働時間として扱う時間帯」の設定を追加 有給休暇や半休、特別休暇に実働時間として扱う時間帯を設定できるようになりました。 例えば、所定時間が"9:00~17:30(昼休憩12:00~13:00)"の場合は以下のように設定することで、勤務区分を変更するだけで実働時間が計上されるようになります。 ・「有給休暇」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 17:30"を設定 ・「午前半休」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 12:00"を設定 ・「午後半休」の実働時間として扱う時間帯に"13:00 - 17:30"を設定 ・「特別休暇」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 17:30"を設定 勤務区分の「出勤日数にカウントする」で0.5日を設定可能に これまでは出勤日数のカウントは1日単位でしたが、例えば半休休暇で出勤日数のカウントを0.5日にしたい場合は、勤務区分の設定を変更することで0.5日単位でカウントすることができるようになりました。 「所定内労働」の項目を追加 表示項目に「所定内労働」を追加しました。所定内の労働時間が計上されますので、給与ソフトとの連携などにご使用いただけます。 初期設定では項目表示がOFFになっていますので、[設定]-[表示項目設定]より変更してください。 共用打刻の打刻モード自動切り替え機能の追加 共用打刻(名前をタップして打刻)でも出勤と退勤ボタンを切り替える時間を設定できるようになりました。 これにより、午前中は出勤ボタンを、午後には退勤ボタンをデフォルト表示するように設定できますので、出勤/退勤の打ち間違えを減らす効果が見込めます。 設定する場合は、画面右上のメニューから「画面設定」を選択して設定してください。 バグ修正 勤務設定の「実働時間の合計を丸める」の仕様を修正 これまでは開始と終了の時間を丸めた後に休憩時間を差し引いていましたが、休憩時間を差し引いた後に合計時間を丸めるように修正しました。 例:休憩時間"12:00~12:45"、実働時間の合計を"30分丸める"の設定で勤務時間が"9:00~18:20"の場合 ■修正前 ①開始~終了の時間を丸める("9:20" → "9:00") ②上記①から休憩時間を差し引く("9:00" - "00:45" = "8:15") 実働時間は"8:15"となります ■修正後 ①開始~終了の時間から休憩時間を差し引く("9:20" - "0:45" = "8:35") ②上記①の時間を丸める("8:35" → "8:30") 実働時間は"8:30"となります ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 「遅刻」「早退」の仕様を修正 これまでは遅刻時間と早退時間に休憩時間が含まれてしまっていましたが、休憩時間を控除するように修正しました。 例:所定時間"9:00"、休憩時間"12:00~13:00"で出社時間が"13:00"の場合 ■修正前 ①所定開始~勤務開始("4:00") 遅刻時間は"4:00"となります(休憩時間の1時間が含まれています) ■修正後 ①所定開始~勤務開始("4:00") ②上記①に該当する休憩時間を差し引く("4:00" - "1:00" = "3:00") 遅刻時間は"3:00"となります ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「社員の勤務状況を把握する方法」をご紹介します。 皆さんは普段の業務を行う中で、遅刻している社員がいないか、ノー残業デーに残業している社員がいないかなど、その時々の勤務状況をどのように把握していますか? クラウドの勤怠管理システムならこれらの勤務状況がいつでもリアルタイムに把握できますので、勤務時間をチェックするためにタイムカードを確認する必要はありません。また出退勤だけでなく休憩中や外出中、休暇取得などの勤務状況も簡単に確認することができます。 レコルを活用した勤務状況の把握方法 ダッシュボード(勤務状況) レコルには勤怠管理者向けに便利なダッシュボードがあり、社員の勤務状況が一目で分かるようになっています。 ダッシュボードを使うことで以下の運用が可能になり、日々の勤務状況管理が容易になります。 当日の朝の出社状況を一目で確認(遅刻者はいないか) 他拠点、他店舗の勤務状況を把握 帰宅時にまだ勤務している社員がいるか確認 営業の直行直帰勤務を把握(GPSによる位置情報も確認可能) 打刻・勤務状況(勤務管理) こちらでもダッショボードと同じく勤務状況が確認できます。それ以外にも、1日の打刻状況や勤務表の修正履歴を確認することもできますので、休憩の取得状況や営業の外出状況などを振り返ることができます。 また、雇用区分ごとに絞り込むことができますので、アルバイトだけの勤務状況を確認する使い方も可能です。 タイムカードと比較してこんなメリットが レコル導入前までタイムカードで勤怠管理していたお客様から改善の声をいただいています。 「他店舗の出退勤状況も一目で分かるようになった!」 「直行直帰の勤務状況も分かるようになり、GPS打刻で透明性も担保できるようになった。」 「工場内に残っている人を把握できるようになった。」 「休憩中や外出中も分かるので、行き先案内板としても活用できる。」 「派遣先の社員の出退勤の状況が見えるようになった!」 今後のバージョンアップで残業時間の管理がもっと便利に レコルでは今後のバージョンアップで「法令順守チェック」の予定をしています。具体的には、「年間を通して勤務時間の多い月」や「特定の期間で残業時間の多い社員」など年間や月間など特定の期間の勤務状況をデータ化して、日別とは異なる視点で社員の勤務状況を把握できるようになる予定です。 レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「法令順守チェック」を対応しました!詳しくは「法令順守チェック」をご覧ください。また、法令順守チェックはデモサイトにてご確認いただけますので、是非お試しください。 デモサイトを試してみる

休日と休暇 労働者にとっても会社にとっても「会社が休み」という意味では違いは感じられないかもしれませんが、そもそも「休日」と「休暇」は似て非なるものなのです。 休日とは、労働者にとって働かなくて良い日のことをいいます。つまり、労働契約において労働義務がない日ということになります。 労基法第35条では、「使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。また、業務の都合等によって週1日の休日を与えられない場合には、「4週を通じて4日以上」の休日を与えればよいこととなっています。これらの休日のことを「法定休日」といいます。 ちなみに「4週を通じて4日以上」の休日を与えることを「変形休日制」といい、この場合には4週間の起算日を明らかにすることとされています。 一方、会社には、週1回の休日以外にも休日があります。例えば、土曜日と日曜日の週休2日制の企業の場合に、いずれか一方の休日が「毎週少なくとも1回の休日=法定休日」に該当します。また、もう一方の休日を「法定外休日(所定休日)」といいます。どちらが法定休日となるのかは就業規則等により定めるものとされています。会社によっては、祝祭日や夏季・年末年始等を休日とすることもありますが、これらは就業規則等に定めることとなっています。 なお、休日の単位は暦日とされています。暦日とは「午前零時から午後12時までの24時間」のことをいいます。例えば、「休日である日曜日に1時間だけ出社した後、休日を取った。」としても休日に出勤したこととなるため、休日を取得したことにはなりません。 一方、「休暇」とは労働義務が免除されている日のことをいいます。つまり、本来労働日であったものを労働者からの申出等により働かなくてもよいことする日のことです。 法令上与える義務のある休暇には、年次有給休暇(労基法39条)、産前産後休暇(労基法65条)、育児時間(労基法67条)、生理休暇(労基法68条)、育児・介護休業法に基づく育児・介護休業などがあります。 また、法令上与える義務はないが企業が任意に定める休暇には、慶弔休暇や傷病休暇などがあります。これらの休暇中の賃金は、年次有給休暇を除いて有給とするか無給とするかについては、会社が任意に定めることができます。 法定外休日(所定休日)に出勤した場合も割増賃金は必要! 労基法上は、法定休日に勤務したときにのみ、「休日出勤」としての35%以上の割増賃金の支払いを義務付けています。しかし、実際は所定休日の場合でも割増賃金の支払いが必要となることがあります。 例えば、1日の所定労働時間が8時間、土曜、日曜日(法定休日)を休日とする会社の場合に、ある週の勤務が平日、月曜日から金曜日まで8時間勤務したとします。加えて、所定休日の土曜日にも8時間勤務し、日曜日は休日を取得しました。このケースで考えると、出社した日はどの日についても8時間勤務ですから時間外労働の割増賃金は不要です。また、法定休日は確保されていますので休日出勤の割増賃金は不要となります。しかしながら、土曜日の所定休日に勤務したことによりこの週の労働時間は48時間となっています。割増賃金は「1週40時間」「1日8時間」を超えた労働について支払う義務があります。したがって、1週40時間を超える「8時間」については「時間外労働」としての割増賃金を支払わなければなりません。実際は、休日に出勤したことによる支払いとなるのですが、労基法上は時間外労働としての取り扱いとなるのです。つまり、割増率は25%以上で良いということになります。 振替休日と代休 業務の都合上、休日に出勤した場合、その代わりに休日を与えることが少なからずあります。この場合、「振替休日」であるのか「代休」であるのかを混同して運用しているケースが見受けられます。 「振替休日」とは、休日出勤をする場合に、あらかじめ休日出勤する日と労働日を入れ替えたうえで休日出勤させることです。「休日」と「労働日」を事前にチェンジさせるという考え方です。つまり、本来の休日⇒労働日、本来の労働日⇒休日とした上で、出勤させることとなるため、休日出勤したことにはならないという仕組みです。 「代休」とは、休日に労働させた場合に、事後的な代償措置として特定の労働日の労働義務を免除するものです。 「先日の休日出勤、お疲れさま。代わりに次の水曜日休んで!」というケースが該当します。この場合、休日出勤の事実については帳消しとなりません。 つまり、あらかじめ、休日をチェンジさせる「振替休日」は休日出勤自体をしていないこととなり、「代休」は、休日出勤をした上で代わりに休ませているということになるのです。 振替休日の際の割増賃金 振替休日をした場合には、「休日労働」をしたことにはならないので休日出勤としての割増賃金の支払いは不要となります。しかしながら、休日の振替が同一週以外の場合は、もともとの休日を労働日にチェンジしたとしてもその週は6日勤務したことになります。1日の所定労働時間が8時間であるとすると、この週の労働時間は48時間となります。 この場合は、1週40時間を超える労働となり、時間外労働としての割増賃金(25%以上)のみ支払いが必要となるのです。 つまり、振替休日であっても振替日を同一週以外の日とする場合は、時間外労働としての割増賃金が生じることになるのです。 振替休日が同一週以外の場合 振替休日が同一週の場合 なお、振替休日を行う場合には、次のルールを守る必要があります。 ①就業規則等に休日の振替ができる旨の規定を設けておくこと。 ②振替休日の実施日の少なくとも前日までに、振替日を指定の上、労働者に通知すること。 ③振替日については、振り替えられた日(もともとの休日)以降出来る限り近接している日を選ぶこと。 代休の際の賃金の取り扱い 代休の場合は、休日出勤をした事実は、帳消しにはなりません。つまり、休日出勤に関しては割増賃金の支払いが必要となるのです。 例えば、法定休日に出勤した後、代休を取得した場合は休日出勤に対して「135%」の賃金を支払い、代休を取得した場合には割増賃金を除いた「100%」の賃金を控除することができます。したがって、代休取得をしても割増賃金部分「35%」については支払うことになるのです。 なお、代休を取得した場合に賃金を控除する場合は、就業規則等に代休取得時に賃金を控除する旨の規定を設けておく必要があります。 ご注意ください 「この前の休日出勤の分は、来月振替休日を取得する予定です。」 「代休がだいぶ貯まって、20日も残っている。」 「代休を取得せずに1年経つと消滅する。」 こんな話を聞くと、正しい運用ができているのかな?って心配になります。 振替休日、代休の運用の際には、特に以下の点についてご注意ください。 ①代休と振替休日を混同しているのではないか。 ②代休を取得するのを前提として「休日出勤」の賃金を支払っていないのではないか。 ③週40時間を超えた場合の割増賃金を支払っているのか。 ④就業規則に「振替休日」に関する規定はあるのか。 ⑤就業規則に「代休取得時」の控除についての規定はあるのか。 ⑥休みが取れていない=過重労働となってはいないか。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

はじめまして。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 第1回目は、クラウド勤怠管理システムの一番のメリットである「リアルタイムな勤務時間の管理方法」をご紹介します。 昨今、社会問題にもなっている長時間労働は社員の健康管理や離職にも繋がると言われていて、これらを未然を防ぐには日々の残業時間を正確に把握しておくことがとても重要です。 レコルを活用した残業時間の管理方法 ダッシュボード レコルには勤怠管理者向けに便利なダッシュボードがあり、社員の実働時間や残業時間(時間外)をグラフで確認でき、一目で残業時間の多い従業員や偏りを把握することができます。 残業時間に関しては、締め日時点の予測値を「時間外見込み」として表示することもできますので、今のままだと最終的にどれくらいの残業時間になるか把握した上で稼動状況の見直しに取組むことができます。 また、前月と比較することができますので、前月に比べ残業時間が多くなりそうかなどを把握することもできます。 勤務表一覧 集計された勤怠情報を一覧で表示することができ、ダッシュボード同様に実働時間や残業時間(時間外)の管理をリアルタイムに行うことができます。 また、有休休暇の取得状況や遅刻早退勤務の日数も把握することができます。 タイムカードと比較してリアルタイムな勤怠管理にはこんなメリットが レコル導入前までタイムカードで勤怠管理していたお客様からよくこのようなお話をお聞きします。 「タイムカードだと月末月初に計算するまで残業時間が分からないため、残業時間抑制の対応ができていなかった。」 「休日出勤していたことをタイムカード集計するまで気付かなかった。」 こういったお客様からもレコル導入後は以下のような効果を実感いただいています。 「月中でも労働時間を把握できているため、稼働の多い従業員の作業を稼働の少ない従業員に分担させるなど、残業時間の抑制に対応しやすくなった。」 「休日出勤したことを把握できるため、代休取得を促すなど迅速な対応ができるようになった。」 今後のバージョンアップで残業時間の管理がもっと便利に レコルでは今後のバージョンアップで「アラート機能」や「勤怠分析機能」の予定をしています。 具体的には、残業時間が45時間を超えた従業員をアラート表示するなど、管理者の作業をこれまで以上に効率化できる機能を提供する予定です。 レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「アラート機能」「勤怠分析機能」を対応しました。詳しくは「勤務アラート」「勤怠分析機能」をご覧ください。 また、こちらの機能は無料お試しにてご確認いただけますので、是非お試しください。 レコルを無料で試してみる