
いつもレコルをご利用いただき誠にありがとうございます。 2018年2月22日(木)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 勤務設定に時間外設定を追加(日単位、日・週単位、週単位、月単位) 45時間、60時間を超過した時間外の集計に対応 その他小改善 勤務設定に時間外設定を追加(日単位、日・週単位、週単位、月単位) これまでの所定時間(日計算)に加えて「日・週計算」「週計算」「月計算」での時間外の集計が可能になりました。 例えば、以下のような残業時間の集計ができます。 1日8時間、1週間40時間を超える勤務を残業時間として集計する 1ヵ月の総労働時間が基準時間を超えた分を残業時間として集計する(月単位の変形労働時間制) 勤務設定の編集画面に「時間外」のタブが追加されており、時間外の計算方法を「日計算」「日・週計算」「週計算」「月計算」から選択できるようになっています。 日・週計算について 日単位と週単位の所定労働時間を設定することで、例えば1日8時間、1週間40時間超えの残業時間を集計できます。 時間外は「時間外(日)」と「時間外(週)」に分けて集計されます。 同様に法定外残業も「法定外残業(日)」と「法定外残業(週)」に分けて集計されます。 <所定時間の設定項目について> 所定時間(日単位) 1日の実働時間のうち、所定時間を超えた分が時間外となります 所定時間(週単位) 1週間の実働時間の合計のうち、週の所定時間を超えた分が時間外となります※週が締め日をまたぐ場合、前月の最終週を含めて1週間を集計します 週計算について 週の所定時間を設定することで、時間外が「時間外(週)」に、法定外残業が「法定外残業(週)」に集計されます。 <所定時間の設定項目について> 所定時間(週単位) 1週間の実働時間の合計のうち、週の所定時間を超えた分が時間外となります※週が締め日をまたぐ場合、前月の最終週を含めて1週間を集計します 月計算について 暦日数ごとに月の所定時間を設定することで、所定時間を超えた分が「時間外」や「法定外残業」に集計されます。 月単位の変更労働時間制の場合に、基準時間を所定時間として設定してください。 <所定時間の設定項目について> 所定時間(月単位) 月の所定時間を暦日数ごとに設定します。1か月の実働時間の合計のうち、月の所定時間を超えた分が時間外となります。 詳しくはオンラインマニュアル「勤務設定(開始/終了や休憩時間、丸めなど)を設定する」をご覧ください 勤務設定ごとに「時間外の計算方法」を設定可能に これまでは環境設定でしか「時間外の計算方法」を設定することができませんでしたが、勤務設定単位に「時間外の計算方法」を設定できるようになりました。 これにより、例えばフレックスと一般社員で異なる計算方法を設定したい場合でも運用が可能になりました。 週の開始曜日を設定可能に 週単位の残業時間を集計する際の週の開始となる曜日を設定できます。 45時間、60時間を超過した時間外の集計に対応 時間外の閾値に45時間や60時間など任意の時間を設定することで、閾値を超えた分の時間外を集計することができるようになりました。45時間や60時間超以外にも、みなし残業の時間を設定することで、みなし残業超過分の集計も可能です。 閾値の設定 [設定]-[環境設定]の「時間外の計算方法」から設定してください。 ※勤務設定ごとに設定することもできます 項目の表示 [設定]-[表示項目設定]から「時間外超過1」もしくは「時間外超過2」が表示されるようにしてください。 閾値1を超えた時間外は勤務表の「時間外超過1」、閾値2を超えた時間外は「時間外超過2」に集計されます。 詳しくはオンラインマニュアル「45時間や60時間を超過した分の時間外を集計する」をご覧ください その他の小改善と不具合修正 所定休日の「法定内残業」の計算処理の不具合を修正 「所定休日の実働時間を時間外として計算する」オプションがOFFの場合、 所定休日の「法定内残業」の計算方法が平日と同じになってしまう不具合を修正しました。 例)所定休日(土曜日)の勤務が09:00~20:00(休憩1時間)の場合、以下のようになります。 法定内残業:8時間 法定外残業:2時間 実働時間 :10時間 ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 「有休取得時間を時間外に含めて計算する」の不具合を修正(複数回勤務の場合) 複数回勤務の1日集計にて、「有休取得時間を時間外に含めて計算する」オプションがOFFの時に、勤務区分の有休取得時間が時間外に含まれている不具合を修正しました。 自動休憩の設定可能な数を5個から10個に増やしました 勤務設定の休憩時間で設定できる自動休憩の数を5個から10個に増やしました。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

フレックスタイム制の活用 労働者A 今月末のプレミアムフライデー、早帰りして温泉にでも行かない? 労働者B 早帰りって、早退するってこと? それってまずいんじゃない!? 労働者A お前、知らないの?うちの会社フレックスタイムだから、好きな時間に帰っていいんだよ。 労働者B へー、それならフレックスタイム使って温泉に行こう! フレックスタイム制とは この会話を実現させる労働時間制度が『フレックスタイム制』です。 フレックスタイム制とは、「始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」(労基法32条の3)と定められています。簡単にいえば『労働者の好きな時間に出社して、好きな時間に退社できる制度』ということになります。 つまり、1日の労働時間は、『労働者自身が決める』ということです。例えば、今日は6時間、明日は9時間といった感じで日々の労働時間を労働者の意思で変えることが可能となるのです。労働者の意思により、柔軟に日々の労働時間を決めることが出来るのが「フレックスタイム制」となります。 もちろん、他の労働時間制度であっても、日々の労働時間を変えることは可能です。しかしながら、それは労働者の意思ではなく、会社の指示(一般的にはシフト)によって、あらかじめ定められた労働時間に従うということになります。労働者の意思によってその日の労働時間を変更する場合には、遅刻や早退ということになってしまうのです。 フレックスタイム制を採用するには フレックスタイム制を採用するには、『始業・終業時刻の決定を労働者にゆだねる』旨を就業規則で定める必要があります。その上で、使用者は、『事業場に過半数労働者を組織する労働組合があればその組合、そうした組合がない場合は過半数代表者と労使協定を締結』しなければなりません。締結する労使協定の内容は以下の通りです。 1. 対象労働者の範囲 2. 1か月以内の清算期間 3. 清算期間の総労働時間 4. 1日の標準労働時間 5. コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合はその時間帯 清算期間は、1か月以内となっていますが、『1か月』としているケースが多いと思われます。 なお、「清算期間内の総労働時間」とは、その期間を平均して法定労働時間である週40時間を超えてはなりません。その総労働時間の上限は以下の表の通りです。 日々の労働時間を自由に決められるとはいえ、労働者は、この総労働時間を満たすように日々の労働時間を配分するのが原則となります。 1か月の暦日数 時間数 28日 160時間 29日 165時間42分 30日 171時間25分 31日 177時間8分 また、「1日の標準労働時間」とは、フレックスタイム制のもとで労働する労働者が年休を取得した場合に、年休として支払う賃金の算定基礎となる労働時間のことです。 コアタイムとフレキシブルタイム 労働者の意思で日々の労働時間を自由に決められるとなると、会社がいて欲しい時間に社内に誰もいないということになってしまうことも考えられます。 また、夜の方が集中できるといって深夜の時間帯にばかり業務を行う労働者がいても困ってしまいます。そういったことを避けるために、任意にコアタイム、フレキシブルタイムといった制限を加えることができます。 コアタイムとは、「労働者が労働しなければならない時間帯のこと」であり、フレキシブルタイムとは、「労働者がその選択により労働することができる時間帯のこと」をいいます。 コアタイムを『11:00から14:00』フレキシブルタイムを『7:00から20:00』と定めた場合の例です。 この場合、出社時間は『7:00から11:00までの間』としなければなりません。 『11:00から14:00までの間』は必ず出社していなければならない時間帯となり、退社時間は『14:00から20:00までの間』としなければならないということになります。 フレックスタイム制における残業時間 フレックスタイム制においては、労働者が『日々の労働時間を決定すること』もあって日々の労働時間においては『残業時間』といった概念ありません。 つまり、1日8時間超えて働いても『残業時間』とはならないのです。 では、フレックスタイム制においては『残業時間』は生じないのでしょうか。フレックスタイム制のもとでは、1日・1週の労働時間では判断せずに、清算期間における労働時間の合計によって時間外労働の有無を判断します。 その判断の仕方は以下のように考えるとわかりやすいでしょう。 労働時間を入れる大きな箱を用意します。この箱の大きさは、『清算期間における総労働時間』となります。毎日、働いたらその箱に労働時間を入れていくのです。この箱に入りきらない時間が『残業時間』となります。 つまり、日々の労働時間を足していって、清算期間(1か月)が終わった段階で『箱に入りきらない時間』に対して残業代を支払うことになります。逆に、箱一杯になっていない場合には、その分の賃金を控除することができます。 フレックスタイム制を活用するには 「フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたことにならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること」(昭和63.1.1基発1号、平11.3.31基発168号)といった行政解釈があります。 フレックスタイム制の良さは、労働時間のフレキシビリティといえます。労働者自身が働く時間を決められる範囲を広く持てて、その裁量性が大きい方が望ましいと考えます。 会社は、常に労働者が会社にいるわけではないことを勘案しておかなければなりません。ミーティングを設定する場合は早めに行うなど、労働者が効率的に業務を行えるように支援する必要があります。例えば、『毎朝朝礼を行う』といったルールを改める必要があるということです。 『自分が働きやすい時間帯で業務を行うこと』≠『効率的な働き方』となってしまうことも考えられます。自分が働きやすい時間であるがゆえに、却って『長時間労働』となってしまうようなケースが挙げられます。 長時間労働とならないように、労働者自身が『フレックスタイム制を利用して効率的な時間配分を行うこと』を意識しなければなりません。また、上長は、業務の進捗状況や長時間労働となっていないかについて、気を配ることが必要となります。 あまり、長時間労働が続く場合は、フレックスタイム制の対象から外すことも考えなければなりません。 フレックスタイム制を活用するには、『労働時間を効率的に配分することで、労働時間を短縮すること』が最大の目的であることの理解が重要なポイントとなります。 我々は、子どもの頃から「時間を厳格に守ること」を叩き込まれています。また、朝はみんなそろってスタートし、終わりもみんなでそろって帰るといった職場の慣行にも慣れ親しんでいるような気がします。こういった慣行が『非効率』を生み出していることも否めません。『付き合い残業』なんてまさにその最たるものといえるでしょう。 そういった観点で見ると、フレックスタイムは、日本の職場慣行の概念を覆すものといえるかもしれません。しかしながら、『効率的に働く』ことは労働者の意識に関わることが大きく作用されると考えます。フレックスタイム制により、労働者自身が効率的な時間配分を意識できれば、『理想的な働き方』の一つとなるのではないかと考えます。それには、労働者自身が労働時間を『効率的に働く』という意識を持って配分できることが重要なポイントとなります。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「スマホやタブレットを使った勤怠管理の方法」をご紹介します。 レコルは専用のタイムレコーダーを購入しなくても、既にお手持ちのスマホやタブレットを使って出退勤打刻を記録することができます。 この後ご紹介する打刻方法は既にお持ちのスマホやタブレットを使うことができますので、レコル導入の初期コストを大幅に抑えることができます。 社員のスマホを使って勤怠管理 無料のスマートフォンアプリをインストールすることで、従業員はスマホから出退勤の打刻や勤務表の編集をすることができるようになります。営業社員の直行・直帰を始め、テレワーク社員の自宅やサテライトオフィスなどからの出退勤を打刻も可能になります。 これまでタイムカードでは記録が難しかった勤務もレコルなら正しく記録することができ、管理者が離れた場所から勤務状況を確認することもできます。 スマホアプリの特長 社員のスマホを使った出退勤管理が可能 スマホアプリからは勤務表の入力も可能 打刻ボタンは出勤、退勤以外にもカスタマイズ可能 GPS機能を利用して、打刻した位置情報を残すことが可能 営業社員の直行/直帰を簡単に記録可能 打刻の動画イメージはこちら 打刻はリアルタイムに勤怠表に反映 スマホからの打刻はリアルタイムに勤怠表に反映されますので、営業社員の直行・直帰やテレワークの勤務状況も離れた事務所などからでも確認可能です。 タブレットを使った勤怠管理(共用打刻) 【レイアウト -パターン1】 【レイアウト -パターン2】 お持ちのタブレットをタイムレコーダーとして使う方法(共用打刻)もございます。 専用ソフトは不要で、ブラウザがあれば運用を始めることができ、従業員はタブレットに表示されている自分の名前をタップするだけで、出退勤を打刻することができます。 また、レイアウトのパターンは2種類あり、パターン1は利用者が大きく表示され選択しやすいのが特長です。 パターン2は、時間によって打刻モードが切り替わるため打刻ボタンを選択する手間がかからないのが特長です。 お客様の運用によってお好きなレイアウトをお選びいただけます。 共用打刻の特長 専用ソフトは不要、Webブラウザがあれば使えます 既にお持ちのタブレットやノートPCも使えます 社員は自分の名前をタップして打刻するシンプルな操作 共用PCから勤務表の確認や申請も可能 打刻ボタンは出勤、退勤以外にもカスタマイズ可能 打刻の動画イメージはこちら 【レイアウト -パターン1】 【レイアウト -パターン2】 スマホや共用打刻をお使いのお客様の声 「初期コストをかけず、社員のスマホで勤怠管理を始めることができました」 「テレワークの出退勤記録もスマホからすることができました」 「店舗数の多い飲食店ですが、手持ちのタブレットで運用を開始することができましたので、初期費用を抑えることができました」 「営業の直行/直帰もスマホから記録することができ、営業社員の勤務状況の確認ができるようになりました」 最後に スマホやタブレットによる出退勤打刻は、既にお手持ちのデバイスを使って勤怠管理を始めることができ、初期コストを大幅に抑えることができるだけでなく、直行・直帰やテレワークの出退勤の記録も簡単に行うことができるようになります。 デモサイトでは実際の出退勤状況画面をご確認いただけますので、是非ご利用ください。 デモサイトを試してみる 初期コストを抑えてシステムを導入したい場合や、営業社員やテレワークの勤務記録でお悩みの場合は、ぜひ勤怠管理システム「レコル」のスマホやタブレットを活用した打刻をご検討ください。

テレワークにおける労務管理上の留意点 労働者A 俺の乗っている○○線、朝の満員電車かなりきついよ!なんとかならないかなぁ~ 労働者B 通勤時間って、かなりのストレスだよな。 労働者C まさに、”痛勤“だよなぁ~ このように通勤にストレスを感じている労働者の方は多いのではないでしょうか。私自身も『通勤』を『痛勤』と感じている者の一人です。通勤をしないで良い!この夢のような制度が「テレワーク」と言えます。 「働き方改革」のテーマの一つである「柔軟な働き方がしやすい職場環境」を実現するために、今多くの企業で「テレワーク」の導入を検討しているところです。 『テレワーク』とは、労働者が「働く場所」と「働く時間」を自由に選択することを可能とする働き方であり、労働者の「仕事」と「生活」の両立が実現できる魅力的な制度の一つとして、今後益々注目されていくでしょう。 「働く場所」と「働く時間」の裁量 テレワークの導入に当たって、まず考えなければならないのは「働く場所」と「働く時間」の自由度(裁量)です。労働者にどこまで裁量を与えるか?ということを考える必要があります。 労働基準法においては、「働く場所」に関する制限はありません。職場内で仕事をしようが、自宅で仕事をしようが、カフェで仕事をしようが、労基法においては何の問題もないということです。 つまり、働く場所を職場内に限定するか?職場外での業務を認めるにしても自宅のみとするのか?労働者の好きな場所での業務を可能とするのか?については、企業が自由に決めればよいということになります。 しかしながら、「働く時間」についてはそうはいきません。当然ですが、労基法に沿った制度としなければなりません。テレワーク対象者であっても労働契約が成立している以上は、労働基準法等、労働関係法令が適用されます。したがって、企業は、テレワーク対象者の「始業、終業の時刻、休憩時間」を定めなければなりません。 テレワークと『事業場外のみなし労働時間制』 職場外での勤務となると、真っ先に思い浮かぶのが『事業場外のみなし労働時間制』となるでしょう。これについては、厚生労働省からガイドラインが示されています(「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」平成20年7月28日 基発第0728001号)。 このガイドラインによると以下のいずれの要件も満たす「在宅勤務」(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態)については、「事業場外のみなし労働時間」の対象となるとしています。 (1)当該業務が起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。 (2)当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。 (3)当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。 つまり、労働者が『好きな場所』を選んで仕事をする場合には、「事業場外のみなし労働時間制」は適用できないのです。この場合は、使用者は「始業・終業の時刻」を把握しなければなりません。 なお、「事業場外のみなし労働時間制」を適用できる場合であっても、労働したものとみなされる時間が、深夜もしくは休日の労働となった場合には法定の割増賃金を支払わなければならないことや健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があるとされています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下、「労働時間ガイドライン」という。平成29年1月20日策定))。 労働時間の適正な把握 テレワーク対象者の「労働時間」を把握する方法としては、メールや電話等により業務開始・終了の時刻を報告させる方法や業務日報により業務時間を把握する方法が挙げられます。 また、最近の勤怠管理システムは、労働者のスマートフォンなどを利用して外出先からも利用できるものもあり、スマホのGPS機能を利用すれば打刻した場所も分かるシステムも普及しています。こういったシステムの活用の検討も必要となるでしょう。 いずれにしろ、労働者の申告に基づく管理、いわゆる「自己申告制」による労働時間の把握に頼らざるを得ません。 「労働時間ガイドライン」によると、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置として以下の措置を講ずることが求められています。 (1)自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。 (2)自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。 (3)使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。 また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。 テレワーク対象者の労働時間については、効率的な働き方を求めるあまり、テレワーク対象者が、正しい労働時間の申告をしづらくなってしまうことも考えられます。管理者は、少なくともメールの送信が深夜や休日に行われていないかどうか定期的に検証するなどの確認を行う必要があります。 労働者であれば、「安全配慮義務」が使用者に当然課せられているのです。その点を踏まえて、テレワークにおける「労務管理上の留意点」について考えてみます。 テレワーク導入の課題 「テレワークの導入=労働時間短縮」であるかのような議論が少なからずあります。テレワークを導入するだけで、労働時間が短縮するわけではありません。逆に却って増加してしまうことも考えられます。 テレワークは、集中して業務が行える半面、労働時間が長くなってしまう恐れがあります。また、まとまった勤務時間を確保しようとすると、働く時間が深夜や休日に亘ってしまうことが懸念されます。せっかくの制度が労働者の健康を害することになってしまっては、本末転倒と言わざるを得ません。企業はテレワーク対象者に対する「働き方」を健康管理の観点からも配慮しなければなりません。 私自身も月に数日テレワークを行うことがあります。特に自宅で行う場合は、家族が寝静まった深夜がやはり集中して業務を行えることから、深夜の時間を利用することが多いのが現状です。また、業務以外のことに気が向いてしまい、効率的に業務を行えず1日中机の前にいることになってしまっていることもあります。 労働者本人の自律も求められます。労働者自身が、勤務する時間帯や自らの健康に十分注意しつつ、業務効率を勘案して業務を遂行しなければなりません。企業がいくら仕組みを整えたとしても、最終的には、労働者自身の「働き方」に委ねることになるからです。 効率的に業務が進められて生産性が上げられることがこのテレワーク導入の目的であることを労使双方と理解した上で、短い時間で効率的に業務が行うための仕組みづくりと同時に意識改革が求められるところです。 テレワークを導入するということは、当然、社外での業務を認めるということです。 今までのように、部下が管理者の目の届くところで業務をしているのではなく、部下が管理者の「目の届かないところ」で業務に従事することになります。そのため、個別に労務管理を行う必要が出てくるのです。業務の進捗状況の把握、評価等々…。そういったルールも整備しなければならないでしょう。 最後に、セキュリティの問題も懸念されます。例えば、カフェで資料を広げて業務を行うとなると、隣の人に見えてしまうといったことが懸念されます。また、出先で資料を忘れてきてしまった…なんてことも起こるかも知れません。 テレワーク+フレックスタイムで「働く場所」と「働く時間」を自由に! テレワークに「勤務時間」を自由に選択することができる『フレックスタイム制』を適用することで、労働者は「働く場所」と「勤務時間」を自由に選択することが可能となります。このことによって、より効率的な働き方が実現することになるでしょう! フレックスタイム制とは、労働者が働く時間を選択できる制度です。この場合、残業時間のカウントは、1日8時間・1週40時間の労働時間規制に代えて、清算期間(1か月)における労働時間の合計によって時間外労働の有無が判断されます。 例えば、清算期間における所定労働時間を160時間(1日の標準労働時間8時間・1か月の所定労働日数20日)とする場合、日々の労働時間が8時間を超えても残業時間とはならず、1か月の労働時間の合計が160時間を超えた場合に時間外労働の支払いが発生します。つまり、1日10時間の日があっても、1日3時間の日があっても1か月で160時間勤務すればよいということになります。 労働者の都合に合わせて働く時間を自由に設定することが可能となり、最もテレワークのメリットを生かせる制度といえます。 フレックスタイム制についてはの詳細は次回に… プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年12月21日(木)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 特定の時間帯や平日/休日ごとの時間集計に対応 権限単位での表示項目設定に対応 その他小改善 特定の時間帯や平日/休日ごとの時間集計 特定の時間帯や平日/休日ごとの集計項目を追加できるようになりました。 例えば、平日と休日、日中と深夜でアルバイトの時給が異なる場合にも時給パターンにあわせて勤務時間を集計できるようになります。 集計項目を追加する [設定]-[集計項目設定]から項目を追加してください。 例)以下4つの時給パターンがある場合は、それぞれの集計項目を追加することで簡単に勤務時間を集計することができます。 ①:平日日中(5時~22時) ②:平日深夜(22時~5時) ③:休日日中(5時~22時) ④:休日深夜(22時~5時) 追加した集計項目は[設定]-[表示項目設定]から項目表示をONにすることで勤務表に表示されるようになります。 詳しくはオンラインマニュアル「勤務表の集計項目を設定する」をご覧ください 権限単位に表示項目を設定 権限単位で表示項目を設定できるようになりました。 これまでは全従業員で表示項目は共通でしたが、例えば一般社員やアルバイト(一般や打刻のみ権限)には必要最低限の項目のみを表示して、管理者や会計事務所(管理者権限)には全項目を表示させるといった運用が可能になります。 権限単位で表示項目を設定する [設定]-[表示項目設定]から権限単位に表示項目を設定してください。 詳しくはオンラインマニュアル「勤務表の表示項目を設定する」をご覧ください その他の機能追加 勤務表の画面から表示する従業員を変更できるようになりました 勤務表の画面から表示している従業員を変更できるようになりました。 氏名横の検索アイコンから従業員を変更することができますので、これまでのように勤務管理画面に戻って別の従業員を選択する必要がなくなりました。 ※管理者権限の場合にのみ表示されます 不具合修正 「所定内労働」の集計における不具合を修正(複数回勤務の場合) 複数回勤務の運用で「複数回の勤務を1日の勤務として集計する」オプションがONの場合に、「所定内労働」が正しく集計されない不具合を改修しました。 例)日の所定労働時間が"07:30"で、以下の2勤務(合計8時間30分の勤務)をした場合 勤務①:09:00~12:00(3時間勤務) 勤務②:14:00~19:30(5時間30分勤務) ■修正前所定内労働が各勤務の合計「08:30」となってしまう ■修正後所定内労働が「07:30」になります ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

年次有給休暇の活用 働き方改革ということで労働者の働き方、休み方が見直しを検討している企業も多くあるのではないでしょうか。企業によっては、新たな休暇制度の導入を検討しているところもあるでしょう。 その前に注目して頂きたいのは『年次有給休暇の活用』です。 昨年1年間に企業が付与した年次有給休暇の日数(繰越分を除く)は、労働者1人平均で「18.1日」、そのうち労働者が実際に取得した日数は「8.8日」となっています。取得率でいうと、「48.7%」となっています。(厚生労働省「平成28年就労条件総合調査の概況」) つまり、半分以上も活用できていない休暇があるにもかかわらず、新たな休暇制度を導入するのはもったいない気がしませんか。ここはまず、年休の効率的な運用を検討するべきではないでしょうか! 政府は、2020年までに年休の取得率を70%に引き上げることを目標に掲げています。また、それに伴い一定の日数の年休消化を義務付ける法改正も検討されています。そういった意味でも「年休の取得率向上」はこれからの労鵜管理にとって重要なことになるでしょう!! まずは、年休のこと、知っておきましょう。 年次有給休暇とは (1)労働基準法第39条に定められている有給の休暇のことで勤続年数に応じて所定の日数が付与されます。 勤続年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年 付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日 (2)パートタイマー等の短い時間や働く日数が少ない労働者に対しても勤続年数および所定労働日数に応じて付与することとなっています。 週所定 労働日数 勤続年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年 4日 付 与 日 数 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日 3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日 2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日 1日 1日 2日 2日 3日 3日 3日 3日 なお、年休の発生要件は以下の通りとなっています。 ①6か月以上の継続勤務 ②全労働日の8割以上の出勤 年休の時季変更権 年休は、労働者の好きなタイミングで休むことができるものです。たとえば、「来週の週末、温泉にでも行こう!」ということで、年休の請求があった場合には、会社は、「ダメだ!」と言って年休の取得をさせないことはできません。ただし、どうしてもその労働者が休んでしまうと会社の業務が立ち行かなくなってしまうような場合のみ断ることができます。しかし、この場合においても「来週の週末はダメだけど、週明けの月曜日に変えてくれ!」といったように休みの時季を変更してもらうこととなっています。これを、「年休の時季変更権」といいます。 年休の計画的付与 A社の年休取得率向上会議の一場面 社長 社内で年休を取得する人と取得しない人が偏っているな~ 人事担当者A 創立記念日や本人の誕生日などに記念日を年休扱いにして休むようにしてはいかがですか? 人事担当者B それならGWの谷間や飛び石連休のときも年休で休めるようにしても良さそうですね。 社長 それを可能とする方法はないのか! このときに使えるのが年次有給休暇の計画的付与です。 労働者が年休を好きなタイミングで取得する権利と会社側の時季変更権の双方の権利を行使せずに、年休を特定の時期に計画的に取得させる方法のことです。 ポイントは2つ (1)就業規則による規定と労働者代表との労使協定が必要! 年休の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、労働者の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする。」といった規定が必要となります。 その上で、実際に計画的付与を行う場合に、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。 なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届出る義務はありません。 労使協定で定める項目は次のとおりです。 a. 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者) b. 対象となる年次有給休暇の日数 c. 計画的付与の具体的な方法 d. 対象となる年休を持たない者の扱い e. 計画的付与日の変更 (2)年次有給休暇の付与日数すべてについて認められているわけではない! 年休の計画的付与は、付与日数すべてについて認められているわけではありません。そもそも、年休は労働者が好きなタイミングで取得できるのが原則です。そのため、労働者が病気やその他の個人的事由による取得ができるよう指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があります。その留保しておく日数は、「5日」と決められています。最低「5日間」個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければならないのです。つまり、労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。 たとえば、年次有給休暇の付与日数が10日の労働者に対しては5日、20日の労働者に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。 なお、前年度取得されずに次年度に繰り越された日数がある場合には、繰り越された年次有給休暇を含めて5日を超える部分を計画的付与の対象とすることができます。 年休の計画的付与は、(1)会社もしくは支店や工場など事業場全体の休業による一斉付与方法、(2)班・グループ別の交替制付与方法、(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法などさまざまな方法で活用することができます。 A社の人事担当者の提案以外にも、「閑散期に年休を取得させる」「年末年始休暇や夏季休暇にプラスすることでの長期休暇」なども可能となります。年休の取得が個人ごとに偏っている企業や年休の取得率向上を検討している企業においては、是非ご検討下さい。 年休の時間単位付与 B社の昼休みの会話 労働者C うちの会社、年休の半休制度はあるけど…この前、朝病院に寄るのに1時間しかかからなかったのに半休使うのもったいなくて考えちゃった。 労働者D そうそう。半休って午前と午後に区分されているけど、ちょっと1,2時間のときに使うの考えちゃうよね。 労働E 子どものお迎えのときに1時間くらい早く帰れるといいのに。 労働者F 会社の近くには医者に行けるように中抜けができると便利なんだけどな。 計画付与と同様、労働者代表等との労使協定を締結することによって年に5日を限度として、時間単位で年休を与えることができます。この場合の5日とは、前年度以前の繰越があっても、繰越分も含めて5日以内となります。 労使協定には、以下の事項を定めます。 ①時間単位年休の対象労働者の範囲 ②時間単位年休の日数 ③時間単位年休1日の時間数 ④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数 時間単位年休1日の時間数は、所定労働時間数を基に定めます。時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げてから計算します。たとえば、1日の所定労働時間が7時間45分の場合は、「8時間」となります。 また、1時間以外の時間を単位とすることはできますが、時間単位ですので「1時間30分」等時間未満を単位することはできません。 B社の労働者の会話の中にも出ていたように、半日までは時間はかからないけど、年休を1,2時間利用したいといった要望は、多くの労働者から聞かれるところです。朝1時間ほどで家の用事を済ますことや早帰りが可能となることは労働者にとって効率的な時間の使い方となるでしょう。また、時間単位年休を活用すると、「中抜け」も可能となります。例えば、久々に会った友人とゆっくりランチをすることや会社の近くの美容院にお昼にといった利用方法も考えられます。 このような時間単位年休の管理を容易にするのが、「勤怠管理システム」と言えます。年休の残日数の管理は通常であれば、年休管理簿をつけることで管理は可能です。しかしながら、時間単位で取得するとなると年休の残日数を「9日と7時間」「時間単位年休可能な残日数は4日と7時間」などの管理が必要となり、複雑です。昨今は、適正な労働時間管理が求められています。時間単位年休の管理も可能な勤怠システムの導入をぜひご検討下さい。 まずは、上司から 年休の取得率の向上といった話をすると、そんなに労働者を休ませたら会社が回らないといった声も多く聞かれます。もちろん、何が何でも年休を取得させなさいというつもりはありません。しかしながら、年休を取得することで労働者が心身ともにリフレッシュすることは事実なのです。私も感じたことがありますが、平日に温泉につかってビールを一杯といったことが、自分の新たな仕事のエネルギーとなることを実感できます。 「俺は、今まで年休を取ったことがない!」といった上司の方は多くいらっしゃいます。ぜひ、上司の方が率先して年休取得が自分の新たなエネルギーとなることを実感して頂ければと思います。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年11月21日(火)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 有休管理機能の追加(付与、残日数) 時間有休への対応 スマホアプリに休憩時間の編集機能を追加 その他小改善 有休管理機能を追加 各従業員に有給休暇を付与して、取得日数だけでなく、有休残り日数の管理ができるようになりました。 また時間有休へも対応していますので、時間有休の取得と有休残り時間の管理も可能になりました。 有休管理機能を有効にする 有休管理機能を使用する場合は、[設定]-[環境設定]から設定をONにしてください。 有給休暇の付与と残日数管理をする場合は、「有休管理機能を使用する」を選択してください。 また、時間有休を導入されている場合は、「時間有休を使用する」を選択してください。 詳しくはオンラインマニュアル「有休管理機能を設定する」をご覧ください 有給休暇を付与する 有給休暇の管理画面から各従業員に有休を付与することができます。 「付与日」と「付与日数」を設定して、有休を付与します。残日数の管理と翌年への繰越しも自動で行われます。(有給休暇の有効期限は付与日から2年間) また、有給休暇の付与は1人ずつとファイルインポートによる一括付与の2種類の方法が可能です。 詳しくはオンラインマニュアル「有休休暇を付与する」をご覧ください 有休休暇の残り日数を確認する 有給休暇を取得する(勤務表に登録)すると、自動で「有休残り日数」が減ります。 各従業員は自身の勤務表で有給休暇の残り日数を知ることができます。(スマホアプリも確認可能) 有給休暇を取得すると残り日数が自動で減ります。また、残り日数が足らない場合は、更新時にエラーが表示されますので、残り日数以上の有給休暇を取得することはありません。 詳しくはオンラインマニュアル「有休残り日数を確認する」をご覧ください 時間有休の管理 勤務表から時間有休の時間を入力することができます。 時間有休を使用する場合は、設定を有効にする必要があります。 なお、時間有休の残り取得可能時間は勤務表で「有休残り時間」で確認することができます。 詳しくはオンラインマニュアル「時間有休を取得する」をご覧ください その他の機能追加 スマホアプリから休憩時間が入力可能に スマホアプリの勤務表から休憩時間が入力できるようになりました。 これまではWebアプリの勤務表からしか入力できませんでしたが、スマホアプリからも休憩時間を入力できるようになりました。 勤務表の合計項目に「休憩時間合計」を追加 勤務表の印刷画面で「所定出勤日」「出勤日数」「有休取得日数」「有休残り日数」などが出力されるようになりました 「所定内労働」の項目を追加 勤務表の合計値項目に「休憩時間」が追加されました。 これにより、1か月の合計休憩時間を把握しやすくなります。 バグ修正 22時をまたぐ休憩時間があった場合に深夜(22時~翌5時)が正しく計算されない不具合 休憩時間が22時をまたぐ場合に、22時以降の休憩時間が深夜から差し引かれない不具合を修正しました。 例)"20:00" - "24:00"の勤務で、"21:30" - "22:30"の固定休憩を取得する設定の場合 ■修正前深夜:"2:00" ■修正後深夜:"1:30" ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 [勤務設定]の自動休憩[休憩打刻と自動休憩の計算方法]で"合算する"場合の仕様を修正 これまでは開始~終了に対する固定休憩と自動休憩をそれぞれ計算後に合算していたのを、自動休憩は固定休憩を控除した実働時間から判定するように修正しました。 ■修正前 ①実働時間が"9:00" - "17:00"("8:00") ②固定休憩が"12:00" - "13:00"("1:00") ③自動休憩で"実働時間が8:00以上で1:00の休憩"("1:00") 休憩時間を合算(②+③) → 休憩時間:"2:00" ■修正後 ①実働時間が"9:00" - "17:00"("8:00") ②固定休憩が"12:00" - "13:00"("1:00") →先に固定休憩が控除され、実働時間は"7:00" ③自動休憩の"実働時間が6:00以上で0:45の休憩"が適用される("00:45") 休憩時間を合算(②+③) → 休憩時間:"1:45" ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「指紋・静脈認証で不正打刻を防止する方法」をご紹介します。 「遅刻しそう」などを理由に同僚にタイムカードを代わりに打刻してもらう。 このような、なりすましによる不正なタイムカード打刻でお悩みではありませんか? レコルには指紋・静脈認証で出退勤を打刻する専用のタイムレコーダー(BT-2301)がございます。 BT-2301は「指紋」と「指静脈」を非接触で同時に読み取ることができる「指ハイブリッド認証」が可能で、高精度・高セキュリティな本人認証を実現し、なりすましによる不正打刻を防止します。 BT-2301(指紋・静脈認証のタイムレコーダー)について BT-2301の特長 本人を間違いなく特定できるため、なりすましによる不正打刻を防ぐ 指を1本置く(かざす)だけの簡単操作で誰でも使える ICカード忘失・紛失時によるセキュリティリスクを軽減 ICカード管理(購入・登録・配布など)の業務負担を軽減 従業員の追加、再発行などによるICカード購入費(1枚約300円)が不要 PCへの接続が不要なので、設置スペースを取らない 詳しくは機能ページの「生体認証打刻(指紋・静脈)」をご覧ください 打刻の動画イメージはこちら 打刻はリアルタイムに勤怠表に反映 BT-2301からの打刻はもちろんリアルタイムに勤怠表に反映されますので、従業員やアルバイトの出退勤状況が一目で分かります。 BT-2301を購入されたお客様の声 「不正打刻がなくなり、助かっています。」 「年配の社員でも簡単に打刻できました。」 「アルバイトが入れ替わった場合も指を登録するだけなので、管理がとても楽になりました。」 「PCへの接続も不要なので、設置場所を取らなくて良かったです。」 最後に BT-2301はパソコン不要で省スペースで設置することができ、ICカード管理(購入・登録・配布など)も不要ですので、とても手軽に運用を始めることができます。 アルバイトの不正打刻(なりすまし)などでお悩みの場合は、ぜひ勤怠管理システム「レコル」で生体認証打刻をご検討ください。 また、今回紹介した指紋・静脈認証での打刻のご不明点やご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ

労働基準監督署の調査の概要 社員A この前、部長に有給休暇の申請をしたら、入社したばかりで有給なんて良く言えるなっていわれちゃったよ 社員B 俺だって、残業の事前申請をしたら自分の出来が悪くて残業する癖にちゃんと申請するのか、だってさ… 社員C うちの部署なんて、不夜城って呼ばれてるよ。22:00過ぎてもほとんど帰る人いないから… 全員 俺らの会社ってまさにブラック企業だよな!! これは、たまたま入ったカフェで隣の席から聞こえた実際の会話です。『我が社のブラック企業度自慢』といったところでしょうか!? 彼らの勤めていた会社名までは聞こえませんでしたが、自分の勤めている会社が『ブラック企業』だなんて寂しい話ではありませんか。 労基署調査は「企業を守る」ため! 「労働基準監督官がやって来た!」どの企業にとっても喜ばしい出来事とはいえないでしょう。おそらく好きか嫌いかと問われれば、ほとんどの経営者は、後者を選択するに違いありません。 この労基署の調査は、「労働者の権利」を守るために行われているものでしょうか? 私は、「企業を守る」ために行われていると考えています。 最近は多くの企業で人手不足が言われています。いわゆる「売り手市場」となっており、企業は労働者から選ばれる立場にあります。労働者から選ばれない企業は、経営活動に支障を来たすこととなるのです。実際、人手不足を理由とする新規事業進出の断念、事業縮小をせざるを得ない企業も出て来ています。『人手不足倒産』といった言葉も現実味を帯びて来ているのです。 冒頭のカフェの会話に出てくるような企業にあなたは勤めたいと考えますか? では、企業が労働者から選ばれる為にはどうしたらよいのでしょうか? 真っ先に考えるべきなのは、「わが社は労働者が安心して働ける職場環境にあるのか?」ということです。それには、『労基法の遵守』が必須と言えます。 つまり、貴社の労基法の遵守度を確認する労基署の調査は、企業を守るために重要な場となるのです。 労基法を遵守して「選ばれる企業」に! 例えば、スポーツをするに当たっては、最低限のルールを知らないとプレー出来ません。野球で言えば打ったら一塁に走るし、サッカーでは基本的に手を使えません。これと同様に、人を雇うのであれば知っておかなければならないルールがあります。それが『労基法』といえます。 労務管理にとって重要な労基法を学ぶ場は、大学の法学部など限られた場所しかありません。つまり、重要な法律を学ぶ機会のなかった経営者は多くいらっしゃいます。しかしながら、これからの企業には、労基法を守って会社と労働者を守ることが求められます。 企業における「働き方」が見直される中、労基署調査があることで多くの経営者が労基法を学ぶきっかけとなっています。このことが、今、労基署の調査が注目されている理由と言えます。 労働基準監督署による調査ってどんなもの? 労働基準監督署による調査とは、労働基準監督官が事業場に対して労基法等の違反の有無を調査する立入検査のことです。一定の計画に基づき、業種や規模を任意に選び行われる場合(定期監督)や労働者からの申告に基づいて行われる調査(申告監督)などがあります。 (1) 労働基準監督官の権限 監督官の権限は、労基法で①事業場等の建設物への臨検、②帳簿、書類の提出を求めること、③使用者、労働者に対して尋問できることが保障されています。また、労基法違反について司法警察官の職務を行うことができます。つまり、逮捕することもできるということです。さすがに、調査で労基法違反が見つかり、その場で逮捕といったことは見たことはありませんが、その権限は持っているということです。 (2) 調査の対象は事業所ごと 調査の対象は、事業所ごととなっています。事業所ごととは、その会社で本社のみが対象になるということではなく、営業所や支店、工場や店舖等の全ての事業所が対象となっています。例えば、飲食店であれば店舖も対象となるということです。 (3) どんなことを調べるのか 労働基準監督官が調査に来た場合、以下の書類の提示が求められます。なお、書類の内容を確認するだけでなく、労働者へ直接ヒアリングや業務で使用しているPCなどを確認することもあります。 実際の調査の際に確認する書類はおおよそ以下の通りとなっています。 ① 会社の事業概要がわかるもの ② 組織図 ③ 労働条件通知書あるいは雇用契約書 ④ 労働者名簿 ⑤ 賃金台帳(直近3~6か月分) ⑥ タイムカード,出勤簿,時間外・深夜労働時間を集計したもの(直近3~6月分) ⑦ 就業規則等諸規程 ⑧ 時間外・休日労働に関する協定届(提出控) ⑨ 事業場外労働・裁量労働に関する協定届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届、フレックスタイム制に関する労使協定、その他各種労使協定(提出控) ⑩ 年次有給休暇管理簿 ⑪ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医・安全衛生推進者の選任報告(提出控)及び巡視記録 ⑫ 安全・衛生委員会規程、委員名簿、議事録 ⑬ 健康診断個人票、健康診断結果報告(提出控) ⑭ 長時間労働者に対する面接指導の実施状況が分かるもの 全体の7割近くの事業場に労基法違反を指摘! 『ブラック企業』を解消するため、厚生労働省では、毎年11月に「過重労働解消キャンペーン」として著しい過重労働や悪質な賃金不払残業などの撲滅に向けた取り組みの一環として集中的に監督指導が行われます。東京労働局によると今年も「長時間の過重な労働による過労死等に関して労災請求が行われた事業場や若者の「使い捨て」が疑われる企業などへ重点調査を行うとのことです。 昨年11月におこなわれた「過重労働防止キャンペーン」期間中には、全国で7,014事業場に対して調査が行われ、このうち4,711事業場(全体の67.2%)で労働基準関係法違反が指摘されています。 【主な違反内容】 (1) 違法な時間外・休日労働があったもの:2,773 事業場(39.5%) うち、時間外・休日労働(法定労働時間+法定休日労働)の実績が最も長い労働者の時間数が 1か月当たり80時間を超えるもの:1,756事業場(63.3%) うち、月100時間を超えるもの:1,196事業場(43.1%) うち、月150時間を超えるもの:257事業場(9.3%) うち、月200時間を超えるもの:52事業場(1.9%) (2) 賃金不払残業があったもの:459 事業場(6.5%) (3) 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:728 事業場(10.4%) 【主な健康障害防止に係る指導の状況】 (1) 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:5,269事業場(75.1%) うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:3,299事業場(62.6%) (2) 労働時間の把握方法が不適正なため 指導したもの:889事業場(12.7%) 労働基準監督署調査は突然、やってくる!? 労働基準監督署調査は、必要な書類を持参の上、会社の担当者が監督署に訪問する形で行われるケースもありますが、通常は、会社に監督官が訪問する形で行われます。 事前に電話連絡や文書により調査することを予告したうえで訪問するケース、何の前触れもなく、監督官が突然訪問するケースもあります。もちろん、突然来られて対応できないといったこともあるかもしれません。以前、ある監督官に、「突然来られるとなかなか対応が大変なので事前に予告してもらえると助かるのですが。」といった話をしたことがあります。その時の監督官は、「突然の訪問でないと確認できないこともあるので。」と言っていました。突然調査をすることで、その事業場の裏表のない実態が把握できるのだそうです。 事前に予告がある場合には、文書で調査の日時、準備する書類を指示されます。事前に予告がある場合には、会社側からすると、例えば、届出を忘れていた書類を事前に提出してしまうなどの対策を取ることができます。また、監督官側からすると、書類を準備しておいてもらうことで全体的な労務管理の状況をしっかりと見ることが可能となります。 調査の日程がどうしても合わない場合、たいていは、調整に応じてくれますが、調査は拒否できないものであると考えてください。 「是正勧告書」と「指導票」 労基署調査により、何らかの労基法違反等が確認された場合には、「是正勧告書」や「指導票」の交付を受けます。 (1) 是正勧告書 「是正勧告書」とは、サッカーでいうとレットカードです。明確な法律違反に対して「所定期日までに是正の上、遅滞なく報告するよう勧告します。」といった文書です。「違反事項及び該当法条項」「是正期日」が記載されており、交付の際、調査に立ち会った担当者の署名捺印を求められます。なお、是正勧告に従わない場合には送検手続きをとられることがあります。 (2) 指導票 「指導票」とは、イエローカードです。明確な法律違反ではないけれども、このままの状態が続くと法律違反となる可能性がある場合や行政通達に関する違反についてについて警告して改善を求めるものです。指導事項についても、期日を指定され改善状況を報告することが求められます。 (3) 是正勧告書・指導票への対応 是正勧告書、指導票いずれにおいても、是正・改善したことを報告します。だいたい1か月程度の日付を是正・改善期日として指定されます。万が一、所定期日までに是正・改善ができない場合は、その理由と経過報告等を行います。監督官が是正・改善したことを認めるまで報告は続けられます。以前、長時間労働の改善を指導されたケースでは、毎月勤怠データの報告が求められ、1年近く報告を続けたこともあります。なお、虚偽の報告は厳禁です。虚偽の是正報告をしたのち、再度調査が行われ、虚偽の報告が発覚して書類送検となったケースがあります。 調査に対する心構え (1) 過去は変えられない 調査は過去の一定期間が対象となっています。通常は、直近3か月から6か月程度の期間に対しての調査となります。過去の出来事ということは、「変えられない」ということになります。事前に違反行為があったことに気付いても、それを無かったことにすることは書類を改ざんすることになります。絶対にやってはならないことです。 (2) 誠意を持った対応を心がける 労働基準監督官が提出を求めた書類が速やかに提示される場合と、なかなか書類が出てこない場合では、前者の方があきらかに印象はよいのではないでしょうか。 36協定や就業規則については労働者に周知義務があります。つまり、監督官が突然来訪して「就業規則を見せてくれ」と言われた場合に「どこに保管されているか分からない」ということが労基法違反の指摘を受ける可能性があるということです。書類を隠すことなく、速やかに提示することを心がけてください。 また、監督官から違反行為を指摘された場合に、あまりにも根拠のない抵抗は慎んでください。指摘された事項については、誠意をもって改善する意思があるのだという姿勢が大切です。 (3) 調査は過去のこと、将来的な視点を持つ 「うちの会社は、ブラック企業なのか…」。自分の勤めている会社で労基法違反があったということに対する労働者のインパクトは想像以上に大きいものです。しかし、調査は、過去のこと。違反行為があったことは、変えられない事実なのです。 過去の清算による影響を考える経営者の方もいらっしゃいます。しかし、『過去のことより将来のこと。』労働者は、過ぎたことよりこれから良い方向に向かっていく会社に期待をしているはずです。「これから」に軸足を置いた労務管理を目指すべきです。 労務管理チェック表 自社の労務管理の実態を把握してみましょう。チェックが3つ以上は要注意です。 就業規則の前回の改定から5年以上経過している。 36協定の中身を把握していない。 先月残業時間が一番長かった労働者を把握していない。 時間外労働の時間数が月の途中で把握できる仕組みがない。 労働時間の把握は、労働者からの申告に基づいている。 賃金の中に「固定残業」が含まれているが、その対象となる残業時間数は不明確である。 過去6か月以内に、1か月の総労働時間(所定労働時間、残業や休日労働も含む)220時間を超えている労働者がいる。 管理監督者の労働時間を把握していない。 事業場における管理監督者の比率が30%以上である。 年次有給休暇の取得率が、50%未満である。 振休、代休が未消化の労働者がいる。 健康診断は行っているが、記録を保管しているだけである。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

割増賃金の話 数多くのトラブルの原因となっているのが「割増賃金」に関する件です。 良くあるご相談はこんな感じです。 社員A 残業や休日出勤をしたのに割増賃金が正しく計算されていないのではないか? 部長B 管理監督者となると割増賃金って一切支払われないの? アルバイトC アルバイトにだって割増賃金が支払われるのでしょ? 割増賃金の割増率 法定労働時間を超える時間外労働や休日労働、深夜の時間帯(22:00~5:00)に労働した場合には、通常の賃金にプラスして割増賃金の支払いが義務付けられています。この場合の割増率は以下の通りとなっています。 労働基準法第15条 労働の内容 割増率 時間外労働 (法定労働時間を超えて労働した場合) 25%以上 50%以下 ただし、大企業(注1)の場合、月60時間を超えて労働した場合は50%以上 休日労働 (法定休日に労働した場合) 35%以上 50%以下 深夜労働 (22:00~5:00に労働した場合) 25%以上 (注1)大企業に当てはまらない中小企業の範囲は、「資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主またはその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である企業については、当分の間適用除外となっています。 深夜労働の際に割増率が合算されることも 時間外労働が長引いて、22:00を超えて労働をした場合には、『時間外労働の割増賃金』と『深夜労働の割増賃金』を合算して支払うこととなります。つまり、50%以上の割増賃金の支払いが必要となるのです。 同様に、法定休日に労働している場合に22:00を超えて労働した場合には、『休日労働(法定休日)の割増賃金』と『深夜労働の割増賃金』を合算して支払うこととなり、割増率は60%以上となります。 なお、休日労働が長引いて8時間を超えた場合においても、『時間外労働の割増率』を合算して支払う必要はありません。つまり、法定休日に労働した場合には、22:00を回らない限り35%以上の割増賃金を支払う必要はないのです。 深夜労働の割増率 労働の内容 合計の割増率 時間外労働 + 深夜労働 50%以上 時間外労働(25%) + 深夜労働(25%) 法定休日労働 + 深夜労働 60%以上 法定休日労働(35%) + 深夜労働(25%) 翌日にまたがって勤務した場合の割増賃金の考え方 始業時刻の属する日から翌日の朝まで勤務するというように,翌日にまたがって継続勤務した場合の割増賃金については、前日の始業時刻から翌日の始業時刻までの労働を前日の勤務とし、それ以降の労働については当日の勤務ということになります。 また、休日については暦日(0時から12時)単位で考えることになっています。これらを踏まえて、X社を例に挙げて考えてみます。 X社の就業規則 第●条(所定労働時間) 当社の所定労働時間は、1日8時間、1週40時間とし、始業・終業の時刻及び休憩時間は次の通りとする。 始業9:00 終業18:00 休憩時間12:00から13:00 第■条(所定休日) 当社の所定休日は、次の通りとする。 (1)日曜日(法定休日) (2)土曜日 (3)国民の祝祭日 (4)年末年始(12月29日から1月3日) 第▲条(割増賃金の率) 割増賃金の割増率は、以下の通りとする。 (1)時間外労働 25% (2)深夜労働 25% (3)所定休日 25% (4)法定休日 35% 例1)月曜日から火曜日にかけて継続勤務した場合 (所定労働日から所定労働日にまたがって勤務した場合) 例2)金曜日から土曜日にかけて継続勤務した場合 (所定労働日から所定休日にまたがって勤務した場合) 例3)土曜日から日曜日にかけて継続勤務した場合 (所定休日から法定休日にまたがって勤務した場合) 例4)日曜日から月曜日にかけて継続勤務した場合 (法定休日から所定労働日にまたがって勤務した場合) 所定休日に出勤した場合に割増賃金が必要となることも 労基法上は、法定休日の労働にのみ、「休日出勤」としての割増賃金の支払いを義務付けています。しかし、「所定休日」の労働であっても割増賃金の支払いが必要となることがあります。 再び、先ほどのX社を例に挙げて説明します。ある週の勤務が、法定休日である日曜日は休み、月曜日から金曜日まで8時間勤務、所定休日の土曜日も8時間勤務をしたとします。この場合、出社したすべての日の勤務は8時間を超えていないので時間外労働の割増賃金は不要です。また、法定休日は確保されていますので休日出勤の割増賃金も不要となります。しかしながら、土曜日の所定休日に勤務したことによりこの週の労働時間は48時間となっています。 このようなケースにおいては、1週40時間を超える労働に対しては法定時間を超える労働となるため、8時間分の「時間外労働の割増賃金」を支払わなければなりません。 実際は、休日出勤に対しての支払うこととなるのですが、労基法上は時間外労働としての取り扱いとなるのです。したがって、割増率は25%以上で良いということになります。 休日を振替えた場合においても週40時間を超えた場合には同様の取扱いとなります。 割増賃金の計算方法 月給で支払われる場合の割増賃金の計算の基となる「時間単価」は、次の計算式により算出します。 時間単価 = 基本賃金 ÷ 1か月当たりの平均所定労働時間数 この時間単価にそれぞれの割増率を掛けて割増賃金は、算出します。 なお、「基本賃金」とは、所定労働時間労働した場合に支払われる全ての賃金のことをいい、基本賃金から除ける賃金は以下のもののみとなっています。 ①家族手当 ②通勤手当 ③別居手当 ④子女教育手当 ⑤住宅手当 ⑥臨時に支払われた賃金 ⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 また、「1か月当たりの平均所定労働時間」は次の通り算出します。 (1年間(365日or366日) - 年間所定休日日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12か月 この「1か月当たりの平均所定労働時間」は、その年の労働日数に応じて変わってきます。 またまた、X社を例に1か月当たりの平均所定労働時間数を考えてみましょう。 2017年は、(365日 - 120日(所定休日数)) × 8時間 ÷ 12か月 ≒ 163.33となります。 2018年は、(365日 - 121日(所定休日数)) × 8時間 ÷ 12か月 ≒ 162.67となります。 この場合の基本賃金30万円のD氏の割増賃金の単価(ともに円未満切り上げ)は以下のようになります。 2017年は、30万 ÷ 163.33 ≒ 1,837円 2018年は、30万 ÷ 162.67 ≒ 1,845円 2017年と2018年を比較すると、2018年の方が休日は「1日」多くなっており、1か月当たりの平均所定労働時間は、少なくなっています。そのため、2018年の方が単価は「8円」高くなっているのです。つまり、カレンダーの関係で休日数が増え、労働日数が減ると割増賃金の単価が上昇します。逆に労働日数が増えると単価は下がります。 毎年休日数が変動する会社においてはこの点に注意しなければなりません。労働日数が増えた場合(つまり、割増賃金の単価が下がっている場合)には、未払賃金は生じませんが、労働日数が減った場合(つまり、割増賃金の単価が上がった場合)に、見直しをしていないと未払い賃金が生じる恐れがあるからです。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年9月26日(火)にレコルをバージョンアップしました。 ■バージョンアップ内容 「時間外アラート」機能の追加 「出退勤アラート」機能の追加 勤務区分の拡張 「所定内労働」項目の追加 共用打刻の打刻モード自動切り替え機能の追加 その他 小改善 「勤務アラート」機能を追加 勤務アラート機能では、予め設定された時間を超える残業時間を通知する「時間外アラート」と、打刻忘れや遅刻早退など日々の勤務をチェックする「出退勤アラート」を設定することができます。 時間外アラート 「時間外アラート」では上限となる残業時間を任意に、かつ複数設定できますので、例えば15時間、30時間、45時間とアラートを段階的に設定して通知することが可能になりました。 また、当月だけでなく過去2ヶ月や過去3ヵ月の合計時間にアラートを設定することができますので、36協定違反を未然に防ぐための警告としてアラートを設定することが可能です。 各アラートをクリックすると該当者が一覧表示されますので、注意すべき従業員をすぐに把握することができます。 チェックする残業時間の上限の変更はもちろん、アラート対象を所属や雇用区分ごと(社員、パート・アルバイトなど)に設定することもできますので、運用に合わせたカスタマイズが可能です。 ※今回のバージョンアップに伴い、既存の所属やグループに設定している時間外アラート機能を廃止しています。お手数ですが新しい「時間外アラート」をご利用いただくようお願いいたします。 出退勤アラート 「出退勤アラート」では、これまでの勤務表の入力漏れのアラートに加えて、出退勤の打刻忘れや遅刻や早退、出退勤打刻と勤務表が1時間以上乖離している勤務などをアラートで通知することができるようになりました。 これにより「まだ出社していない社員はいないか」「打刻した時刻を不正に修正している社員はいないか」などのチェックを簡単に行うことが可能になります。 各アラートをクリックすると該当者が一覧表示されますので、該当する従業員をすぐに把握することができます。 アラートは設定メニューからON/OFFや本人に通知するかを設定することができますので、運用にあわせたカスタマイズが可能になっています。 その他の機能追加 勤務区分に「実働時間として扱う時間帯」の設定を追加 有給休暇や半休、特別休暇に実働時間として扱う時間帯を設定できるようになりました。 例えば、所定時間が"9:00~17:30(昼休憩12:00~13:00)"の場合は以下のように設定することで、勤務区分を変更するだけで実働時間が計上されるようになります。 ・「有給休暇」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 17:30"を設定 ・「午前半休」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 12:00"を設定 ・「午後半休」の実働時間として扱う時間帯に"13:00 - 17:30"を設定 ・「特別休暇」の実働時間として扱う時間帯に"09:00 - 17:30"を設定 勤務区分の「出勤日数にカウントする」で0.5日を設定可能に これまでは出勤日数のカウントは1日単位でしたが、例えば半休休暇で出勤日数のカウントを0.5日にしたい場合は、勤務区分の設定を変更することで0.5日単位でカウントすることができるようになりました。 「所定内労働」の項目を追加 表示項目に「所定内労働」を追加しました。所定内の労働時間が計上されますので、給与ソフトとの連携などにご使用いただけます。 初期設定では項目表示がOFFになっていますので、[設定]-[表示項目設定]より変更してください。 共用打刻の打刻モード自動切り替え機能の追加 共用打刻(名前をタップして打刻)でも出勤と退勤ボタンを切り替える時間を設定できるようになりました。 これにより、午前中は出勤ボタンを、午後には退勤ボタンをデフォルト表示するように設定できますので、出勤/退勤の打ち間違えを減らす効果が見込めます。 設定する場合は、画面右上のメニューから「画面設定」を選択して設定してください。 バグ修正 勤務設定の「実働時間の合計を丸める」の仕様を修正 これまでは開始と終了の時間を丸めた後に休憩時間を差し引いていましたが、休憩時間を差し引いた後に合計時間を丸めるように修正しました。 例:休憩時間"12:00~12:45"、実働時間の合計を"30分丸める"の設定で勤務時間が"9:00~18:20"の場合 ■修正前 ①開始~終了の時間を丸める("9:20" → "9:00") ②上記①から休憩時間を差し引く("9:00" - "00:45" = "8:15") 実働時間は"8:15"となります ■修正後 ①開始~終了の時間から休憩時間を差し引く("9:20" - "0:45" = "8:35") ②上記①の時間を丸める("8:35" → "8:30") 実働時間は"8:30"となります ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 「遅刻」「早退」の仕様を修正 これまでは遅刻時間と早退時間に休憩時間が含まれてしまっていましたが、休憩時間を控除するように修正しました。 例:所定時間"9:00"、休憩時間"12:00~13:00"で出社時間が"13:00"の場合 ■修正前 ①所定開始~勤務開始("4:00") 遅刻時間は"4:00"となります(休憩時間の1時間が含まれています) ■修正後 ①所定開始~勤務開始("4:00") ②上記①に該当する休憩時間を差し引く("4:00" - "1:00" = "3:00") 遅刻時間は"3:00"となります ※今回の修正により、これまでと計算結果が異なる場合がございます。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

こんにちは。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 今回は、「社員の勤務状況を把握する方法」をご紹介します。 皆さんは普段の業務を行う中で、遅刻している社員がいないか、ノー残業デーに残業している社員がいないかなど、その時々の勤務状況をどのように把握していますか? クラウドの勤怠管理システムならこれらの勤務状況がいつでもリアルタイムに把握できますので、勤務時間をチェックするためにタイムカードを確認する必要はありません。また出退勤だけでなく休憩中や外出中、休暇取得などの勤務状況も簡単に確認することができます。 レコルを活用した勤務状況の把握方法 ダッシュボード(勤務状況) レコルには勤怠管理者向けに便利なダッシュボードがあり、社員の勤務状況が一目で分かるようになっています。 ダッシュボードを使うことで以下の運用が可能になり、日々の勤務状況管理が容易になります。 当日の朝の出社状況を一目で確認(遅刻者はいないか) 他拠点、他店舗の勤務状況を把握 帰宅時にまだ勤務している社員がいるか確認 営業の直行直帰勤務を把握(GPSによる位置情報も確認可能) 打刻・勤務状況(勤務管理) こちらでもダッショボードと同じく勤務状況が確認できます。それ以外にも、1日の打刻状況や勤務表の修正履歴を確認することもできますので、休憩の取得状況や営業の外出状況などを振り返ることができます。 また、雇用区分ごとに絞り込むことができますので、アルバイトだけの勤務状況を確認する使い方も可能です。 タイムカードと比較してこんなメリットが レコル導入前までタイムカードで勤怠管理していたお客様から改善の声をいただいています。 「他店舗の出退勤状況も一目で分かるようになった!」 「直行直帰の勤務状況も分かるようになり、GPS打刻で透明性も担保できるようになった。」 「工場内に残っている人を把握できるようになった。」 「休憩中や外出中も分かるので、行き先案内板としても活用できる。」 「派遣先の社員の出退勤の状況が見えるようになった!」 今後のバージョンアップで残業時間の管理がもっと便利に レコルでは今後のバージョンアップで「法令順守チェック」の予定をしています。具体的には、「年間を通して勤務時間の多い月」や「特定の期間で残業時間の多い社員」など年間や月間など特定の期間の勤務状況をデータ化して、日別とは異なる視点で社員の勤務状況を把握できるようになる予定です。 レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「法令順守チェック」を対応しました!詳しくは「法令順守チェック」をご覧ください。また、法令順守チェックはデモサイトにてご確認いただけますので、是非お試しください。 デモサイトを試してみる

休日と休暇 労働者にとっても会社にとっても「会社が休み」という意味では違いは感じられないかもしれませんが、そもそも「休日」と「休暇」は似て非なるものなのです。 休日とは、労働者にとって働かなくて良い日のことをいいます。つまり、労働契約において労働義務がない日ということになります。 労基法第35条では、「使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。また、業務の都合等によって週1日の休日を与えられない場合には、「4週を通じて4日以上」の休日を与えればよいこととなっています。これらの休日のことを「法定休日」といいます。 ちなみに「4週を通じて4日以上」の休日を与えることを「変形休日制」といい、この場合には4週間の起算日を明らかにすることとされています。 一方、会社には、週1回の休日以外にも休日があります。例えば、土曜日と日曜日の週休2日制の企業の場合に、いずれか一方の休日が「毎週少なくとも1回の休日=法定休日」に該当します。また、もう一方の休日を「法定外休日(所定休日)」といいます。どちらが法定休日となるのかは就業規則等により定めるものとされています。会社によっては、祝祭日や夏季・年末年始等を休日とすることもありますが、これらは就業規則等に定めることとなっています。 なお、休日の単位は暦日とされています。暦日とは「午前零時から午後12時までの24時間」のことをいいます。例えば、「休日である日曜日に1時間だけ出社した後、休日を取った。」としても休日に出勤したこととなるため、休日を取得したことにはなりません。 一方、「休暇」とは労働義務が免除されている日のことをいいます。つまり、本来労働日であったものを労働者からの申出等により働かなくてもよいことする日のことです。 法令上与える義務のある休暇には、年次有給休暇(労基法39条)、産前産後休暇(労基法65条)、育児時間(労基法67条)、生理休暇(労基法68条)、育児・介護休業法に基づく育児・介護休業などがあります。 また、法令上与える義務はないが企業が任意に定める休暇には、慶弔休暇や傷病休暇などがあります。これらの休暇中の賃金は、年次有給休暇を除いて有給とするか無給とするかについては、会社が任意に定めることができます。 法定外休日(所定休日)に出勤した場合も割増賃金は必要! 労基法上は、法定休日に勤務したときにのみ、「休日出勤」としての35%以上の割増賃金の支払いを義務付けています。しかし、実際は所定休日の場合でも割増賃金の支払いが必要となることがあります。 例えば、1日の所定労働時間が8時間、土曜、日曜日(法定休日)を休日とする会社の場合に、ある週の勤務が平日、月曜日から金曜日まで8時間勤務したとします。加えて、所定休日の土曜日にも8時間勤務し、日曜日は休日を取得しました。このケースで考えると、出社した日はどの日についても8時間勤務ですから時間外労働の割増賃金は不要です。また、法定休日は確保されていますので休日出勤の割増賃金は不要となります。しかしながら、土曜日の所定休日に勤務したことによりこの週の労働時間は48時間となっています。割増賃金は「1週40時間」「1日8時間」を超えた労働について支払う義務があります。したがって、1週40時間を超える「8時間」については「時間外労働」としての割増賃金を支払わなければなりません。実際は、休日に出勤したことによる支払いとなるのですが、労基法上は時間外労働としての取り扱いとなるのです。つまり、割増率は25%以上で良いということになります。 振替休日と代休 業務の都合上、休日に出勤した場合、その代わりに休日を与えることが少なからずあります。この場合、「振替休日」であるのか「代休」であるのかを混同して運用しているケースが見受けられます。 「振替休日」とは、休日出勤をする場合に、あらかじめ休日出勤する日と労働日を入れ替えたうえで休日出勤させることです。「休日」と「労働日」を事前にチェンジさせるという考え方です。つまり、本来の休日⇒労働日、本来の労働日⇒休日とした上で、出勤させることとなるため、休日出勤したことにはならないという仕組みです。 「代休」とは、休日に労働させた場合に、事後的な代償措置として特定の労働日の労働義務を免除するものです。 「先日の休日出勤、お疲れさま。代わりに次の水曜日休んで!」というケースが該当します。この場合、休日出勤の事実については帳消しとなりません。 つまり、あらかじめ、休日をチェンジさせる「振替休日」は休日出勤自体をしていないこととなり、「代休」は、休日出勤をした上で代わりに休ませているということになるのです。 振替休日の際の割増賃金 振替休日をした場合には、「休日労働」をしたことにはならないので休日出勤としての割増賃金の支払いは不要となります。しかしながら、休日の振替が同一週以外の場合は、もともとの休日を労働日にチェンジしたとしてもその週は6日勤務したことになります。1日の所定労働時間が8時間であるとすると、この週の労働時間は48時間となります。 この場合は、1週40時間を超える労働となり、時間外労働としての割増賃金(25%以上)のみ支払いが必要となるのです。 つまり、振替休日であっても振替日を同一週以外の日とする場合は、時間外労働としての割増賃金が生じることになるのです。 振替休日が同一週以外の場合 振替休日が同一週の場合 なお、振替休日を行う場合には、次のルールを守る必要があります。 ①就業規則等に休日の振替ができる旨の規定を設けておくこと。 ②振替休日の実施日の少なくとも前日までに、振替日を指定の上、労働者に通知すること。 ③振替日については、振り替えられた日(もともとの休日)以降出来る限り近接している日を選ぶこと。 代休の際の賃金の取り扱い 代休の場合は、休日出勤をした事実は、帳消しにはなりません。つまり、休日出勤に関しては割増賃金の支払いが必要となるのです。 例えば、法定休日に出勤した後、代休を取得した場合は休日出勤に対して「135%」の賃金を支払い、代休を取得した場合には割増賃金を除いた「100%」の賃金を控除することができます。したがって、代休取得をしても割増賃金部分「35%」については支払うことになるのです。 なお、代休を取得した場合に賃金を控除する場合は、就業規則等に代休取得時に賃金を控除する旨の規定を設けておく必要があります。 ご注意ください 「この前の休日出勤の分は、来月振替休日を取得する予定です。」 「代休がだいぶ貯まって、20日も残っている。」 「代休を取得せずに1年経つと消滅する。」 こんな話を聞くと、正しい運用ができているのかな?って心配になります。 振替休日、代休の運用の際には、特に以下の点についてご注意ください。 ①代休と振替休日を混同しているのではないか。 ②代休を取得するのを前提として「休日出勤」の賃金を支払っていないのではないか。 ③週40時間を超えた場合の割増賃金を支払っているのか。 ④就業規則に「振替休日」に関する規定はあるのか。 ⑤就業規則に「代休取得時」の控除についての規定はあるのか。 ⑥休みが取れていない=過重労働となってはいないか。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

はじめまして。「レコル」カスタマーサポートの阿部です。 こちらの「レコル活用情報」ブログではレコルをより効果的に活用していただけるように、操作方法や設定方法などレコルの便利な使い方をご紹介させていただきます。 第1回目は、クラウド勤怠管理システムの一番のメリットである「リアルタイムな勤務時間の管理方法」をご紹介します。 昨今、社会問題にもなっている長時間労働は社員の健康管理や離職にも繋がると言われていて、これらを未然を防ぐには日々の残業時間を正確に把握しておくことがとても重要です。 レコルを活用した残業時間の管理方法 ダッシュボード レコルには勤怠管理者向けに便利なダッシュボードがあり、社員の実働時間や残業時間(時間外)をグラフで確認でき、一目で残業時間の多い従業員や偏りを把握することができます。 残業時間に関しては、締め日時点の予測値を「時間外見込み」として表示することもできますので、今のままだと最終的にどれくらいの残業時間になるか把握した上で稼動状況の見直しに取組むことができます。 また、前月と比較することができますので、前月に比べ残業時間が多くなりそうかなどを把握することもできます。 勤務表一覧 集計された勤怠情報を一覧で表示することができ、ダッシュボード同様に実働時間や残業時間(時間外)の管理をリアルタイムに行うことができます。 また、有休休暇の取得状況や遅刻早退勤務の日数も把握することができます。 タイムカードと比較してリアルタイムな勤怠管理にはこんなメリットが レコル導入前までタイムカードで勤怠管理していたお客様からよくこのようなお話をお聞きします。 「タイムカードだと月末月初に計算するまで残業時間が分からないため、残業時間抑制の対応ができていなかった。」 「休日出勤していたことをタイムカード集計するまで気付かなかった。」 こういったお客様からもレコル導入後は以下のような効果を実感いただいています。 「月中でも労働時間を把握できているため、稼働の多い従業員の作業を稼働の少ない従業員に分担させるなど、残業時間の抑制に対応しやすくなった。」 「休日出勤したことを把握できるため、代休取得を促すなど迅速な対応ができるようになった。」 今後のバージョンアップで残業時間の管理がもっと便利に レコルでは今後のバージョンアップで「アラート機能」や「勤怠分析機能」の予定をしています。 具体的には、残業時間が45時間を超えた従業員をアラート表示するなど、管理者の作業をこれまで以上に効率化できる機能を提供する予定です。 レコルの勤怠管理はますます便利になっていきますので、今後のバージョンアップにご期待ください。 【追記】バージョンアップにて「アラート機能」「勤怠分析機能」を対応しました。詳しくは「勤務アラート」「勤怠分析機能」をご覧ください。 また、こちらの機能は無料お試しにてご確認いただけますので、是非お試しください。 レコルを無料で試してみる

所定労働時間と法定労働時間 社員A この前、2時間残業したのに、割増賃金が1時間分しか支払われて無いんだけど…間違っていませんか? 担当者B 当社の『所定労働時間』は7時間なので、最初の1時間は割増賃金の支払いはしていません。しかしながら、『法定労働時間』を超えた分については25%の割増賃金を支払っています。 社員A 同じ日に残業しているのに支払われる賃金が違うのはどうしてなんだろうか?? 会話の中に出てきた『所定労働時間』と『法定労働時間』は似て非なるものです。この2つの違いが分からないとAさんの疑問は解決しません。 『所定労働時間』とは、労働者が働くこととなっている時間のことです。就業規則や雇用契約書に記載されている始業時間から終業時間までの時間から休憩時間を引いた時間のことをいいます。例えば、始業時間が9:00、終業時間が18:00、休憩時間が1時間であれば、所定労働時間は「8時間」となります。 『法定労働時間』とは、労働基準法第32条に規定されている労働時間の限度のことです。 労働基準法第32条 第1項 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時を超えて労働させてはならない。 第2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日ついて8時間を超えて、労働させてはならない。 とそれぞれ規定されています。この1週間または1日の労働時間の上限である『1週間40時間』、『1日8時間』のことを法定労働時間と言います。 労働基準法は、最低限度の基準を定めている法律ですから,『法定労働時間』を超える労働時間を『所定労働時間』として定めることは許されません。つまり,「所定労働時間」を1日9時間や1週50時間と定めることは許されないということです。仮に、法定労働時間を超える所定労働時間を定めていたとしても,法定労働時間を超える部分は無効となります。上記の例でいうと、1日「9時間」と定めていたとしても法定労働時間である「8時間」が優先されるということになります。 なお、業種・規模によって1週間の法定労働時間が例外的に「44時間」が適用されるケースや「変形労働時間制」による例外もあります。 「所定労働時間」≠「法定労働時間」の場合は注意が必要 「所定労働時間」と「法定労働時間」が違うものだということは、当然ですが両者が一致するとは限らないということになります。所定労働時間と同じ時間の法定労働時間が定められることもあれば,所定労働時間とは異なる時間の法定労働時間が定められることもあります。 先の会話に出てくるX社では、所定労働時間は「7時間」、法定労働時間は「8時間」ということで「所定労働時間」とは異なる時間の「法定労働時間」が定められています。 この「所定労働時間」≠「法定労働時間」場合に、Aさんの疑問が生じることがあるのです。 一般的に『残業』とは、労働者が働くことを決められている時間=『所定労働時間』を超えて働くことをいいます。 しかしながら、労働基準法において、割増賃金の支払いが義務付けられているのは『法定労働時間』を超えた場合となっています。 この割増賃金の支払いが義務付けられていない残業を「法定内時間外労働」といい、割増賃金の支払いが義務付けられている残業を「法定外時間外労働」といいます。 ちなみに、「法定外時間外労働」の際に支払う割増賃金の割増率は、「25%以上50%以下の範囲」とされています。 これらを踏まえた上で、Aさんの疑問を解消するために、先の会話を解説します。 X社は、1日の『所定労働時間』が「7時間」となっているところ、Aさんは、「2時間残業」したとのことです。つまりその日は「9時間」働いたということになります。 残業を始めて最初の「1時間」は、「法定内時間外労働」となりますので割増賃金を支払う必要がありません。しかしながら、『法定労働時間』である8時間を超えてからは「法定外時間外労働」となりますので、9時間までの「1時間分」については、25%以上50%以下の範囲の割増賃金を支払わなければならないのです。 これを図で示すと以下の通りとなります。 なお、X社は、法律通りの運用をしており、「法定内時間外労働」に対しては割増賃金の支払いをしていません。もちろん、「法定内時間外労働」に対して割増賃金を支払うことは、法律の定めを上回ることになりますので、問題ありません。いずれにしろ、割増賃金を支払うのか、支払わないのかは就業規則等に規定しておかなければなりません。X社の場合はこんな感じに就業規則に定めることとなります。 就業規則記載例)法定外時間外労働に対してのみ割増賃金を支払う場合 時間外勤務手当は、法定労働時間を超えて勤務した時間数に対して、次の算式により計算して支給します。なお、所定労働時間を超えて法定労働時間までの勤務に対しては、「1.25」を「1.00」に読み替えて計算します。 また、所定労働時間を超えた時間に対して割増賃金を支給する場合は次のように就業規則に定めることとなります。 就業規則記載例)所定労働時間を超えた時間に対して割増賃金を支払う場合 時間外勤務手当は、所定労働時間を超えて勤務した時間数に対して、次の算式により計算して支給します。 所定労働時間は明確にしておくこと 所定労働時間の基となる「始業時刻」「終業時刻」「休憩時間」については、採用時に書面などで明示しなければならない『労働条件』となっています。なお、「所定労働時間」≠「法定労働時間」の場合の割増賃金の計算方法についても書面等による明示が義務付けられている事項となっています。 明示の方法としては、「労働条件通知書」として労働者に書面を交付する方法があります。しかしながら、後のトラブルを避けるために労働者、使用者双方が内容を確認した上で、捺印をして締結する「雇用契約書」による方法をお勧めします。 労働基準法第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。 ※明示しなければならない労働条件 (1) 労働契約の期間 (2) 就業の場所・従事する業務の内容 (3) 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項 (4) 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項 (5) 退職に関する事項(解雇の事由を含む) 所定労働時間が日によって異なる働き方をしているケースもあるでしょう。この場合の記載方法をいくつか挙げておきます。 例1)曜日ごとに決められているケース 月、水、金曜日は9:00から18:00 休憩時間1時間 火、木曜日は10:00から18:00 休憩時間1時間 例2)シフト表で定めるケース 1日の所定労働時間は8時間以内とし、各日の始業、終業の時刻は前月末日までにシフト表によって定め、労働者に通知する。 なお、休憩時間は各日とも1時間とする。 昨今、働き方改革ということで所定労働時間を短縮する等の多様な働き方があります。この場合に、採用時の所定労働時間を変更することも考えられます。所定労働時間を変更する場合には、双方で明確にできるよう「書面」によって労働者に通知しておくべきです。もちろん、所定労働時間と法定労働時間が異なる場合には、割増賃金の対象となる時間も明確にしておきます。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

遅刻や早退時間、法定内残業、法定外残業の集計に対応しました。 いつもレコルをご利用いただきありがとうございます。 2017年7月13日(木)にレコルをバージョンアップしました。 今回のバージョンアップでは、遅刻時間や早退時間、法定内残業、法定外残業の集計項目追加に加えて、 ファイル出力項目をカスタマイズできるようになりました。 これにより、給与ソフトへのcsv連携がさらに容易になっています。 遅刻時間や早退時間、法定内残業、法定外残業の集計に対応 遅刻早退の時間集計と法定内残業、法定外残業は自動で集計され、勤務表や勤務集計画面で確認することができます。 勤務設定の開始/終了時刻(あるいはコアタイム)を過ぎた出勤や退勤から自動で「遅刻時間」「早退時間」として集計されます。 例)開始-終了(09:00 - 17:30)の場合 ①10:00出社 → 01:00が遅刻時間として計上されます ②16:30退社 → 01:00が早退時間として計上されます ※遅刻早退時に勤務区分を自動で「遅刻」や「早退」に設定することができます 勤務設定の所定時間を元に法定内残業と法定外残業が自動で集計されます。 例)所定時間が7時間30分で、09:00 - 18:30(休憩1時間)と8時間30分勤務した場合、 ①00:30が法定内残業として計上されます ②00:30が法定外残業として計上されます 遅刻時間や早退時間、法定内残業、法定外残業を集計する場合は、[設定]-[表示項目設定]から各項目をONにしてください。 出力項目のカスタマイズ 出力項目をカスタマイズして、給与ソフトとの連携用に項目名を変更したり、項目を追加したりできるようになりました。 出力項目の名称を給与ソフトなどにあわせて自由に変更することができます。 例)ログインID → 従業員コード レコルにはない項目を追加して、給与ソフトの勤怠データ取り込み形式にあわせることができ、 追加項目の出力する値も設定できます。 例)性別を追加(出力する値は空) 勤務表の印刷プレビュー機能 [設定]-[環境設定]の「勤務表の印刷画面表示ボタンを表示する」にチェックしておくと、勤務表の印刷プレビューを表示することができるようになりました。 このまま印刷することはもちろんのこと、ブラウザの印刷機能からpdfとして保存することも可能です。 最後に レコルは今後も新機能のリリースや機能改善を継続していきます! また、ご利用のお客様の声を積極的に取り入れてまいりますので、機能やUIの使い勝手などどんなことでも お気軽にサポートまでお伝えいただけますと幸いです。

『労働時間管理』きちんとできていますか? 過去に対応したご相談の中で『労働時間の把握』をしていなかったことが原因である相談・トラブルが数多くありました。 例えば… (1)A社に最近入社した労働者に遅刻が多いので注意したところ・・・ 「遅刻をした証拠があるのか! それより残業代も支払ってないくせに!!」 と返されてしまった… (2)B社を退職したXから届いた郵便の内容は… 「毎日20時過ぎ迄残業をしていたのに、今まで一度も残業代を支払って貰ったことがない!」 「在職中の残業代1日2時間×労働日数240日×2年分=480時間分を支払え!」 といったものでした。実際のところを確認しようにも会社にあるのは、出社した記録だけ… (3)C社からは 日曜日の休日出勤中に労働者が負傷したとのこと。労災の申請を行うために「勤務表」を確認すると名前以外は何も記載が無い。 担当者に確認すると… 「残業や休日出勤があれば労働者自身が記載することとなっています。」 負傷したのは休日出勤中だったのにその日には「休日出勤」の記載無。 これってホントに労災? 労働時間を把握できていないと 遅刻を注意したら労働者に逆ギレ! 残業代払おうにもいくら払ったら良いか分からず… 労災って言われてもその日に出勤記録が無ければ、労災かどうかも確かめられず… 会社としての義務を果たそうと思っても果たせません! 労働時間の把握は、会社に義務付けられています 労働時間の把握の方法については、労基法には、明確に規定されてはいません。 でも、労働時間を把握していなければ、残業代や深夜労働に対する割増賃金を支払うことは出来ないし、労働時間数が分からなければ、労働時間数等を賃金台帳に記載することも出来ません。 つまり、労働者が働いている時間を正確に把握出来なければ労基法の義務が果たせないのです。 しかしながら、上記のような相談・トラブルが数多くあることから、厚生労働省は『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』(労働時間ガイドライン)を策定しました。(平成29年1月20日策定) 「労働時間ガイドライン」によると、「使用者が労働日ごとに始業・終業の時刻を確認し記録すること」としており、その記録の方法として、原則2つの方法を挙げています。 (1)使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。 (2)タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。 この原則の方法で行わずに、『自己申告制』により始業・終業の時刻の確認、記録を行わざるを得ない場合には、使用者は次の措置を講じなければなりません。 ① 自己申告制の対象となる労働者に対して、「労働時間ガイドライン」を踏まえて、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。 ② 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、労働時間ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。 ③ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間を補正すること。 特に、入退場記録やPCの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。 ④ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。 その際。休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。 ⑤ 自己申告は労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。 また、時間外労働の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。さらに、36協定により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが慣習的に行われていないかについても確認すること。 「自己申告制」による労働時間の把握 「労働時間ガイドライン」を見ると、厚生労働省は「自己申告」による労働時間の把握については信頼性に乏しいと考えているようです。 特に、以下の点については注意が必要です。 「入退場記録」「PCの使用時間の記録」と「自己申告により把握した労働時間」とのかい離 労働時間終了後に社内にいる「休憩」「自主的な研修」「教育訓練」「学習」の時間の実態 「時間外労働削減のための社内通達」「時間外労働手当の定額払」の措置の適正な運用 36協定について「記録上、守っているようにすることが慣習的に行われていないか」 おそらく、労働基準監督署の臨検等で調査の中でも、このような違反が多くあったのでしょう。いずれにしても、「自己申告制」という労働者に「労働時間の申告」をゆだねている場合においても、その正確性の担保は使用者にあるといったところを理解しておかなければなりません。 つまり、「会社は、早く帰れっていっているのに労働者が勝手にやっていることだ!」とか「会社が命令した時間じゃないから、労働時間としては認められない!」といった社長の言い訳は通用しないということになるのです。 労働時間を管理する必要性 単純に、使用者の指揮命令下にある「労働時間」について、会社が把握していないって「無責任」って思いませんか。 「労働時間の管理ができていない」 ⇒ 「長時間労働」 ⇒ 「ブラック企業」 こういった図式は定着しているといえます。 労基署の臨検の際にもタイムカード上は、残業時間が少なく表示されているにもかかわらず実際に調べてみると、「把握できていない労働時間」「隠れた(隠された)労働時間」が発覚して多額の未払賃金の支払いとなった例は数多く経験しました。 今や「労働時間管理」は、労働時間を適正に把握するだけにとどまらず、「労働時間を抑制 (コントロール)」することが目的と考えなければなりません。本当に働いた時間が把握できなければ、労働時間をコントロールすることはできません。 適正に労働時間を把握して、メリハリのある働き方ができるように労働時間をコントロールすること、これが「働きやすい職場」づくりの第一歩ではないでしょうか。 もちろん、必要な残業はやってもらわなければなりません。ときには、徹夜で業務を行ってもらわなければならないこともあるかも知れません。 その場合に、遅くまで仕事をしていたことを「正しく申告できない」のであれば、会社に働いていたことさえも認識してもらえず、当然、その分の賃金も支払われず、労働者にとって”泣きっ面に蜂″です。『こんな会社に辞めてやる!』ってなってもおかしくないですよね。 この人手不足の折、不本意な理由で労働者が辞めてしまうことは良いことではありません。 少なくとも、上司は、 ①残業をしなければならない状況にあること ②残業をする必要性があること ③他の者に手伝わせることができるか については確認しながら残業をさせることが必要です。 こんな効果も 労働時間を正確に把握することで、「残業時間」や「欠勤日数」「遅刻、早退」などの労働者の勤怠の実態が分かります。こういった労働者の勤怠の実態を見て、必要に応じて労働者に声掛けをすることも重要です。 社内におけるトラブルの多くは「社内のコミュニケーション不足」を原因となっています。 「昨日、だいぶ遅くまで残っていたけど何かあったのか。」とか「先週、休んでいたけど体調は大丈夫か」、こういった声掛けが『社内のトラブル』を未然に防ぐことにもつながるのです。 もちろん、私も使用者として、職員の労働時間を管理しています。「勤怠管理システム」で出社の処理を行うと、「勤怠管理システム」から「おはようございます。」のメッセージ、終業時には、「お疲れさまでした。」とメッセージが聞こえてくるのです。その音声が聞こえるとみんな「ニコッ」としています。中には、「勤怠管理システム」に返事をしちゃったりすることも… 当事務所の社内の雰囲気づくりの一端を勤怠管理システムが担ってくれています。 「労働時間の適正な把握」 ⇒ 「適切な労務管理」 ⇒ 「働きやすい職場環境」 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/

初めて勤怠管理システムを導入しようとすると、勤務時間の自動集計、リアルタイムな勤務状況の把握、給与ソフトへの連携など、一見メリットしかないように思えます。しかしシステムということはエクセルや紙のタイムカードとは違って、導入後に「やっぱりこうだった」「これも必要かも」となった場合に自由に変更することができないというリスクを抱えています。 そこで今回は、勤怠管理システムの導入で後悔しないためにはどんなことに注意すればいいかを6つのポイントでご紹介します。 ポイント1:自社の勤務体系にシステムが合うか ポイント2:打刻方法について ポイント3:社員が使いやすいシステムか ポイント4:クラウド型かパッケージ型か ポイント5:サポート体制について ポイント6:無料お試しの有無 ポイント1:自社の勤務体系にシステムが合うか 勤怠管理システム導入前にまず確認したいのが、自社の勤務体系に検討中のシステムが合うかどうかです。業者や会社規模ごとに就業規則や勤務体系は大きく異なります。 例えば、様々な自社独自の就業ルールに対応できるか 導入してから自社の就業ルールに合わなかったといったことがないように、導入前に無理なく対応できるか確認することをオススメします。 また、勤怠管理システムの導入を機に無駄な運用がないか見直してみるのもいいかもしれません。 ポイント2:打刻方法について 勤怠管理システムには様々な打刻方法が用意されています。 例えば、ICカードをかざすだけで出退勤を記録できるタイムレコーダーや、パソコンのブラウザから各自がログインして打刻、あるいはスマホに専用アプリケーションをインストールして打刻する方法などが用意されています。 スマホやパソコン操作に慣れている人であれば、どんな打刻方法でも簡単につかいこなせるでしょうが、不慣れな人の場合はそうもいきません。その他にも指紋や静脈による打刻など不正打刻を防止できる打刻方法やスマホアプリのGPS機能を使って位置情報を打刻時に記録する方法などもあります。 どんな打刻方法が用意されていて、自社の社員が使いこなせる打刻方法を選択することがポイントです。 ポイント3:社員が使いやすいシステムか 多くの社員が毎日使うシステムですので、使いやすく手軽に導入できることも勤怠管理システムを選ぶ上で大切になります。 勤怠管理システムを導入する際には、使い始めるまでに自社向けの設定や従業員の登録が必要になります。 また、導入後は全社員に使い方や運用を説明(教育)しなければいけません。誰でも使いやすい勤怠管理システムだと社員への教育コストもかからずにスムーズに導入することができるなどのメリットがあります。 誰でも使いやすい勤怠管理システムを導入することが大切 各担当者目線で使いやすさを確認したり、必要のない機能が多く、オーバースペック故に複雑になっていないかを確認することをオススメします。 ポイント4:クラウド型かパッケージ型か 勤怠管理システムには大きく2つの種類があります。 1つはパッケージ型でパソコンに専用のソフトをインストールして使う勤怠管理ソフト。もう1つはネット環境さえあれば利用できるクラウド型の勤怠管理システムで、年々クラウド型を選択される方が増えてきています。 パッケージ型に比べてクラウド型のメリットは多くあります。 クラウド版 パッケージ版 ソフト管理 不要 必要 利用シーン ネットとPC、スマホがあればどこでも使える 特定のデバイスに限られる バージョンアップ 無償でバージョンアップ 新たに買い直す必要がある スマホとの相性 非常に良い 対応されてない場合が多い 自社に運用体制がしっかり整っている場合は、パッケージ型もオススメですが、コストや利便性を考えるとクラウド型が有利で、すでにクラウドが時代の潮流となっています。 ポイント5:サポート体制について サポートの体制についても事前に確認しておくことが大切です。 サポート対応が有料の勤怠管理システムもあり、導入後に思わぬコストがかかる場合もあります。導入後はもちろんのこと、導入前から無料で丁寧にサポートしてくれるサービスもあり特に初めて勤怠管理システムを導入する際は心強いサポートになります。 運用や就業ルールにあわせた設定方法の相談にのってくれるか。 あるいは操作方法のサポートはしてもらえるのか。 導入前にサポート体制がどうなっているか確認することをオススメします。 ポイント6:無料お試しの有無 これまでにご紹介したように勤怠管理システム導入時には確認すべきポイントが幾つかあります。 事前にホームページや資料で確認しておいても、いざ導入して使ってみると「自社の就業ルールにあわない」や「設定が複雑な上に使いにくい」などの問題が発生する場合があります。 導入後に自社に合わず失敗するケース 事前に自社と合っているかしっかり確認して、導入が成功するケース 多くの勤怠管理システムは導入前に「無料お試し」を用意していますので、実際に使ってみて、自社にあったシステムか確認することをオススメします。 まとめ:初めて勤怠管理システムを始めて導入する際の6つのポイント ポイント1:自社の勤務体系にシステムが合うか ポイント2:打刻方法について ポイント3:社員が使いやすいシステムか ポイント4:クラウド型かパッケージ型か ポイント5:サポート体制について ポイント6:無料お試しの有無 勤怠管理システムは導入後に大きなメリットをもたらしてくれますが、一度導入すると全社員が使うシステムのため、運用を変えることは非常に難しいようです。ですので、導入した後に後悔することがないよう事前にこれらのポイントをしっかりと確認して、ぜひ自社に最適な勤怠管理システムを選んでください。 勤怠管理システムの選び方やおすすめのシステムについては、労務代行サービス「まるごと労務」の下記の記事も参考にしてみてください。 https://marugotoinc.jp/blog/attendance_system/ 最後に:クラウド勤怠管理システム「レコル」のご紹介 「レコル」は豊富な機能を一人100円で利用できるクラウド勤怠管理システムです。これまでご紹介したポイントを押さえながら、無料お試しで自社の運用に合うか是非ご確認ください。

労働基準法は労働条件の最低基準のルール 労働基準法(以下「労基法」という。)は、職場における様々なルールを定めたもので、労働条件に関する『最低基準』を規定している法律です。この『最低基準』の意味合いは、労基法に違反する労働条件は、たとえ会社と労働者の同意があったとしても、無効でありその部分については、労基法の基準に置き換えられるということになります。 X社に入社するAのお話し… 社員A 僕は、働くのが大好きなので年次有給休暇はいりません。権利を放棄したいと思っています。 社長B それはありがたい。そうは言っても全く無しって訳にもいかないでしょうから、 労基法の基準の半分を付与するということでどうだろうか。つまり、入社後6か月で5日付与することにしよう。 それでよければ、その内容で労働契約書を締結しよう。 社員A ご配慮ありがとうございます。もちろん、その内容で契約させて下さい。 といったやり取りの上、AはX社に入社することになりました。 その数日後、〇〇労働基準監督署の監督官がX社を訪れました。 監督官 〇〇監督署から参りました。 今日は、御社で締結している労働契約書の内容を確認しに来ました。直近のご入社の方の契約書を見せていただけますか。 社長B もちろんです。当社は労働者に労働契約の内容を説明し、 納得してもらった上で契約を締結していますので何も問題無いはずですよ。 監督官 わかりました。では、契約書を確認させて下さい。 あれっ?Aさんの労働契約書に「年次有給休暇は労基法の基準の半分を付与する」となっていますが、これはどういうことですか。 社長B あー、それはAが年休はいらないと言ってきたのですが、 そうもいかないだろうということで基準の半分を付与することで双方合意した事項ですので契約書にもその通り記載しました。 いらないって言ったのに半分くれるなんてと言ってAは喜んでましたよ。 監督官 それはダメですよ。Aさんからの申出があったとしても労基法のルールは最低基準となっていますのでそれを下回るルールは労基法の基準となります。 ですから、入社後6か月経過した場合に付与しなければならない年休は10日となります。 といった形でX社は指導されてしまいました。 いくら労働者との間で合意した労働条件であっても労基法の基準を下回ることは許されず、 万が一、下回る労働条件で労働契約を締結したとしても、下回る部分は、無効となり労基法の基準が適用されことになっています。 労基法にはどんなことが定められているのか? 全文で13章、138条から成る法律となっています。その概要は、次の通りです。 第1章 総則 労基法の目的やその適用範囲、「労働者」「使用者」の用語の定義などについて 第2章 労働契約 労働契約の期間の制限や労働条件の明示、解雇や退職後の証明などについて 第3章 賃金 賃金の支払いに関する原則や休業手当などについて 第4章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 法定労働時間・変形労働時間等の労働時間制度、休憩・休日・年次有給休暇や割増賃金の支払いなどについて 第5章 安全及び衛生 労働者の安全および衛生について(詳細は労働安全衛生法の定めによる) 第6章 年少者 働くことができる最低年齢の定めや18歳未満の年少者が働くに当たっての深夜業その他の保護規定などについて 第6章の2 妊産婦等 妊産婦(妊娠中または産後1年を経過していない女性)の就業制限や労働時間の制限など女性が働くための保護規定などについて 第7章 技能者の養成 技能習得者の保護、職業訓練などに関する規定について 第8章 災害補償 業務上の負傷・疾病に対する療養補償、障害補償などの補償について 第9章 就業規則 就業規則の作成、変更、届け出義務などについて 第10章 寄宿舎 寄宿労働者に対する私生活の自由の保障や寄宿舎の設備、安全衛生などについて 第11章 監督機関 労働基準監督官の権限や監督機関の組織や権限などについて 第12章 雑則 就業規則などの周知義務や労働者名簿・賃金台帳の法定帳簿の作成・保存などについて 第13章 罰則 労基法に違反した場合の罰則規定や両罰規定などについて 付則 法律改正に伴う経過措置などについて 労基法に違反すると、罰則が… 労基法は、違反すると懲役や罰金刑が科せられる強行法規となっています。 罰則については、第13章第117条から121条までに規定されており、1番重い処罰は、「強制労働を行わせていた場合(労基法第5条違反)」で、「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」が科せられます。 例えば、解雇予告手当を支払わずに即時解雇した場合には、労基法第20条の違反となりますが、この場合は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」に科せられます。 なお、この場合に処罰される対象は、労基法10条でいう『使用者』となっています。この『使用者』の範囲は結構広く、取締役・工場長等は言うまでもなく、支店長・課長・現場監督も含まれる可能性が有ります。通達(昭22.9.13発基17号)によると「部長、課長等の形式にとらわれることなく、各事業場において、本法(労基法)各条の義務について実質的に一定の権限を与えられているか否かによるが、かかる権限が与えられておらず、単に上司の命令の伝達者にすぎぬ場合は使用者とみなされないこと」となっています。 つまり、必ずしも「使用者=事業主」とはなっておらず、この場合に「使用者」のみを処罰し、事業主が全く処罰されないとなると妥当とはいえないでしょう。 こういった場合に事業主も処罰の対象とするために、労基法121条1項が規定されています。このような規定を両罰規定といいます。この規定により行為者である「使用者」と最高責任者である「事業主」ともに罰せられることがあるのです。 労基法を守って、会社を守る 総務省統計局が行っている労働力調査(平成29年(2017年)3月分)によると日本の就業者は、6,433万人となっています。日本の総人口が1億2,693万人ですからおよそ半分以上の人が就業していることとなります。労基法とは、前述の通り「働くルール」が規定されているわけですから、日本の人口の半分以上は何らかの形で労基法に関わっていると言えます。それだけ重要な法律であるにも関わらず労基法の内容をご存知ない方が多いのではないでしょうか?オフサイドを知らないサッカー選手はいませんよね。 しかし、労基法はこれだけ多くの人が関わっている重要な法律なのに、認知度が低い…そして毎日のように、労基法違反が報道されており、知らなかったからでは、取り返しのつかない事件も発生しています。厚生労働省によると、平成27年度業務上災害として認定された脳・心臓疾患を原因(主に過重労働が原因)とするものの死亡件数は96件、精神障害によるものによる自殺(未遂も含む)件数は93件となっています。生活の糧を得るための職場であってはならない事故がこれだけの数発生しているのです。 「こういった事故をなくすために」「決まり事だから」「最低限の基準だから」守らなくてはしょうがない、といった考えのもと、労基法を守ることももちろん大切なことです。しかし、企業として、積極的に労基法を守り、労働者が継続して勤務出来るための「安心感」を提供していくことが、結果として会社を守ることにつながるということを理解して頂きたい。これからの労務管理は「攻めの労務管理」を目指していかなければ、企業の継続的な発展はないといえます! 今後、このコラムでは、職場のルールである労基法とその関連する法律を「攻めの労務管理」といった視点に立ってお話ししていきます。 プロフィール 飯野正明 特定社会保険労務士 明治大学大学院経営学修士 1969年生まれ。社会人生活は、社会保険労務士一筋「27年」。2010年に東京都中央区日本橋に、いいの経営労務管理事務所を設立。現在は、Be Ambitious社会保険労務士法人代表として、職員9名(うち特定社会保険労務士2名)ともに、大手企業から中小零細企業まで多くの企業の労務相談の円満解決に力を入れている。“相談者の頼れる用心棒”としてたのしめる職場づくりを目指している。 主な著書に『労働法の知識と実務Ⅱ』(共著、東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編) 、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス発行)などがある。 http://www.sr-iino.com/