【令和8年分】年末調整のミスを防ぐチェックリスト|従業員の確認事項・訂正方法も解説

年末調整は、申告書の回収から年税額の計算・過不足額の精算まで、短期間に作業が集中する業務です。
とくに紙の申告書をExcelや給与計算ソフトに入力している企業では、従業員の記入ミスと担当者の入力ミスが重なりがちです。
さらに令和8年分の年末調整は、令和8年度税制改正で基礎控除や給与所得控除の最低保障額、扶養親族等の所得要件が変わりました。前年の判定や計算表をそのまま使えないため、例年以上に注意が必要です。
この記事では、年末調整で起こりやすいミスを整理したうえで、企業担当者向けと従業員向けのチェックリストを紹介します。ミスが見つかった場合の訂正方法や、従業員の確定申告が必要になるケースもあわせて解説します。
なお、年末調整の全体像や基本的な流れを先に確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2026年版】年末調整とは?中小企業向けに必要書類や進め方をわかりやすく解説|レコルブログ

年末調整で起こりやすいミスと原因
年末調整のミスは、「従業員が申告書を作成するとき」と「企業が内容を確認・入力・計算するとき」の2つの場面に分けて考えるとミスを見つけやすいでしょう。
どちらの場面で起きたミスでも、年税額の誤りは源泉徴収票や給与支払報告書に引き継がれ、翌年度の住民税にまで影響します。自社ではどちらの段階のミスが多いのか、過去の年末調整を振り返りながら確認してみてください。
従業員のよくあるミス
従業員側で起こりやすいミスは、次の4つに大別できます。
●申告漏れ
年の途中で結婚・出産した家族の追加漏れや、2年目以降の住宅ローン控除の申告忘れなど。自分で支払った国民年金保険料の申告漏れもよく見られます。
●判定の誤り
家族の収入を手取り額で記入したり、「収入」と「所得」を取り違えたりするミス。年末までの見込み額ではなく、前年の金額で判定してしまうケースなど。その結果、要件を満たさない家族を扶養親族として申告してしまうこともあります。
●記入ミス
生命保険料の新旧区分の誤りや、控除証明書の金額の転記ミスが代表的。控除証明書には、証明日時点の「証明額」と年末までの見込みを含む「申告額」が併記されていることが多いため、どちらを書くべきか、迷いやすい項目です。控除の対象にならない保険料を申告してしまうケースも。
●提出遅れ
控除証明書の紛失や再発行待ち、締切の失念などで、年末調整に間に合わないケースも。
いずれも、年に一度の手続きで記入方法を覚えていないことや、前年の申告書をそのまま書き写してしまうことが主な原因です。
企業のよくあるミス
企業側のミスは、申告内容をExcelや給与計算ソフトへ移す工程と、給与データの集計工程で起こりやすくなります。
●入力・転記ミス
桁の打ち間違いや、別の従業員の欄への入力、修正後の申告書を受け取ったのに旧データのまま計算してしまうミス。
●集計ミス
賞与や臨時の手当、現物給与(経済的利益)の集計漏れが代表的。中途入社者の前職分の給与・源泉徴収税額を合算し忘れるケースも。
●重複入力
給与から天引きした社会保険料やiDeCoの掛金を、保険料控除申告書の申告分としても入力してしまう二重計上が典型例。
●計算方法の誤り
税制改正前の控除額や数式が残ったExcelの流用、給与計算ソフトの改正対応版の未適用などによるミス。
●確認漏れ
記入漏れや控除証明書の添付漏れなど、申告書の明らかな不備に気づかないまま処理してしまうミス。
背景には、短期間に作業が集中することや、担当者1人で確認まで完結している体制があります。
次章からは、これらのミスを防ぐためのチェックリストを紹介します。
【令和8年】年末調整で使える企業担当者向けチェックリスト
年末調整は書類の配付・回収から源泉徴収票の交付・税額の納付まで、ステップが多い業務です。
国税庁も、年末調整で間違えやすい点を「令和8年分 年末調整チェック表」として公開しています。チェック表は、扶養控除や各種保険料控除・給与の集計・税額計算などの区分ごとに確認項目をまとめたものです。
本記事では、国税庁のチェック表から重要な項目を抜粋し、人事の実務目線で確認したい項目を加えました。そのうえで、業務の流れに沿って次の4つのブロックに整理しています。
- 準備
- 申告内容の確認
- 入力・計算
- 最終確認
準備|対象者・担当範囲・当年分の資料を確認する
| 確認 | チェック項目 | 確認する資料・方法 |
|---|---|---|
| □ | 中途入社者・退職者・休職者を含め、対象者を確認したか | 従業員名簿と年末調整の対象者一覧を照合する |
| □ | 扶養控除等申告書を提出すべき従業員に、提出漏れがないか | 申告書の回収状況と対象者一覧を照合する |
| □ | 中途入社者や新たに扶養親族を申告する従業員について、必要なマイナンバーを収集・確認したか | 収集済みの情報を確認し、未収集の場合は所定の方法で収集・本人確認を行う |
| □ | 所得要件の改正で新たに扶養控除等の対象となる家族がいないか、従業員へ周知したか | 該当する場合は扶養控除等(異動)申告書の提出を依頼する |
| □ | 申告書・Excel・計算ソフトが令和8年分に対応しているか | 国税庁の当年分資料やソフトの更新情報を確認する |
| □ | 企業と税理士の担当範囲を決めたか | 不備確認、修正依頼、入力、再計算を誰が行うか整理する |
| □ | 計算後の修正も含め、連絡先と締切を決めたか | 給与確定日・税理士への引き渡し日から逆算する |
準備段階では、まず「誰の年末調整をするのか」を確定させます。年末調整の対象は、原則として扶養控除等申告書を提出し、年末まで在籍している従業員です。
給与収入が2,000万円を超える従業員や、年の途中で退職した従業員(一部の例外を除く)は対象外です。名簿と突き合わせて、対象者一覧を作成しておきましょう。
令和8年分は、扶養親族等の所得要件の改正により、前年は対象外だった家族が新たに扶養控除等の対象となる場合があります。申告書の配付時に改正内容を案内し、該当する従業員から異動申告を受けられるよう準備しておくことが大切です。
また、計算後に修正が発生した場合の窓口と締切も、この段階で決めておくと年明けの混乱を防げます。
申告内容の確認|前年との変更・所得・証明書を照合する
| 確認 | チェック項目 | 確認する資料・方法 |
|---|---|---|
| □ | 家族構成や扶養状況の変更を反映したか | 当年の申告書と前年の登録情報を照合する |
| □ | 本人・家族の収入と所得を取り違えていないか | 申告書の記入欄と当年分の計算方法を確認する |
| □ | 扶養控除・配偶者控除等・特定親族特別控除の区分が正しいか | 年齢、所得、生計関係などの要件と照合する |
| □ | 国外居住親族について、必要書類の提出・提示を受けたか | 親族関係書類・送金関係書類などを確認する |
| □ | 保険料の金額・契約区分が証明書と一致しているか | 申告書と控除証明書を照合する |
| □ | 保険料控除申告書の「23歳未満の扶養親族」欄の記載が正しいか | 扶養控除等申告書の扶養親族の生年月日と照合する |
| □ | 社会保険料や掛金を重複して申告していないか | 給与から控除した分と、本人が直接支払った分を区別する |
| □ | 住宅ローン控除など、個別確認が必要な申告を確認したか | 適用年数、必要書類、証明書方式・調書方式などを確認する |
申告内容の確認では、前年の登録情報との差分に注目すると効率的です。家族の増減や収入の変化があった従業員は、扶養控除・配偶者控除等・特定親族特別控除の区分を改めて判定します。
国税庁のチェック表では、別居の親族への仕送りの有無も確認項目に挙げられています。国外居住親族については、親族関係書類・送金関係書類の提出または提示を受けたかの確認も必要です。
保険料控除では、申告された保険料を本人が支払ったか、控除証明書があるかも確認しましょう。旧生命保険料は1契約の年間支払額が9,000円を超えるもの、それ以外の保険料は金額にかかわらず控除証明書が必要です。
国民年金保険料や国民年金基金の掛金、本人が直接支払ったiDeCoの掛金も同様に、支払いを証明する書類が必要です。
書類回収時の注意点については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:年末調整の必要書類と回収方法|回収漏れを防ぐコツ・注意点を解説
入力・計算|転記漏れ・二重計上・修正漏れを確認する
| 確認 | チェック項目 | 確認する資料・方法 |
|---|---|---|
| □ | 入力した金額・控除区分が申告書と一致しているか | 入力結果を元の申告書・証明書と照合する |
| □ | 前職分の給与・源泉徴収税額・社会保険料を反映したか | 前職の源泉徴収票と計算データを照合する |
| □ | 給与・賞与・課税手当などの集計漏れがないか | 年間の給与台帳と集計結果を照合する |
| □ | 臨時の給与、現物給与(経済的利益)、本年中に支払いが確定した未払給与を集計に含めたか | 給与台帳と支給・確定の記録を照合する |
| □ | Excelの数式や集計範囲に漏れがないか | 追加した従業員・行・シートが計算対象に含まれるか確認する |
| □ | 修正後の申告内容を入力し直したか | 修正記録と最終データを照合する |
| □ | 税理士へ渡した後の変更を共有したか | 追加・修正事項の送付と、反映完了を確認する |
| □ | 当年分の控除額・計算方法を使用しているか | 令和8年分の資料と計算設定を照合する |
| □ | 端数処理が正しいか | 課税給与所得金額は1,000円未満、年調年税額は100円未満を切り捨てているか確認する |
入力・計算の段階では、「申告書のとおりに入力されているか」と「集計の範囲に漏れがないか」の2つの視点で確認します。
給与の集計では、臨時の手当や現物給与、本年中に支払いが確定した未払給与も集計の対象です。一方、前年中に支払いが確定していた給与を本年に支払った場合は、本年の集計から除外します。
給与所得控除後の給与等の金額は、国税庁の「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めます。年調年税額は、算出所得税額から住宅借入金等特別控除額を差し引き、102.1%を掛けた復興特別所得税を含む金額です。
ダブルチェックをする場合は、入力した本人以外が元の申告書と照合すると、思い込みによる見落としを防ぎやすくなります。
最終確認|精算額・交付書類に最新の計算結果を反映する
| 確認 | チェック項目 | 確認する資料・方法 |
|---|---|---|
| □ | 還付・追加徴収の金額が最終の計算結果と一致しているか | 年末調整結果と給与明細を照合する |
| □ | 実際の振込額・徴収額へ反映したか | 給与明細と振込データなどを照合する |
| □ | 源泉徴収票・給与支払報告書に修正内容を反映したか | 最終データと作成書類を照合する |
| □ | 計算結果に大きな変化がある従業員の理由を確認したか | 給与、扶養、控除の変更や入力誤りの有無を確認する |
| □ | 住宅ローン控除の控除可能額が算出所得税額を超える場合、源泉徴収票に記載したか | 源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」欄を確認する |
| □ | 納付税額がない場合も、所得税徴収高計算書(納付書)を作成したか | 納付書の作成・提出状況を確認する |
| □ | 未解決の確認事項や修正依頼が残っていないか | 管理表の未完了項目を確認する |
最終確認では、計算結果が給与明細や振込額、源泉徴収票まで正しく反映されているかを確認します。計算の途中で申告書が差し替わると、計算データだけ直して給与明細などに反映し忘れるズレが起こりやすいためです。
前年と比べて還付額や徴収額が大きく変わった従業員は、その理由が扶養・控除の変更か入力ミスかを確認しておきましょう。従業員からの問い合わせにも答えやすくなります。
なお、年末調整による還付で納付税額がない場合でも、所得税徴収高計算書(納付書)は作成して税務署へ提出する必要があります。
令和8年分の年末調整でとくに注意したいチェック項目

令和8年度税制改正による基礎控除の引上げなどは、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はありません。12月の年末調整で、改正後の基礎控除額などを使って1年間の税額を計算し、精算する流れです。
なお、ひとり親控除の引上げ(35万円→38万円)は令和9年分以後の適用のため、令和8年分の年末調整には影響しません。配付する令和8年分の申告書は、裏面の注意事項が改正前の内容のままの場合がある点にも注意しましょう。
ここでは、前章のチェックリストの補足として、令和8年分ならではの確認ポイントを3つ取り上げます。
基礎控除・給与所得控除を前年の金額で計算していないか
令和8年分の基礎控除額は、本人の合計所得金額に応じて次のとおりとなりました。
| 合計所得金額 | 令和8年分 | 令和7年分 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 104万円 | 95万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 104万円 | 88万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 104万円 | 68万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 | 63万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 | 58万円 |
※合計所得金額2,350万円超の区分は改正なし
また、給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に引き上げられました。給与収入が220万円以上の給与所得控除額は改正されていません。基礎控除と給与所得控除だけで見ると、給与収入178万円までは所得税がかからない計算になります。
前年のExcelや計算表を流用する場合は、基礎控除額や給与所得控除後の金額の計算式が更新済みか必ず確認しましょう。給与計算ソフトを使う場合も、令和8年分の改正に対応したバージョンになっているか、計算設定を確認します。
基礎控除は本人の合計所得金額に応じて判定するため、全員に同じ金額を一律に適用しないよう注意してください。
家族の所得要件の変更を扶養・配偶者の判定へ反映したか
令和8年分では、扶養親族などの所得要件も次のように引き上げられました。
| 区分 | 令和8年分の所得要件 | 給与収入のみの場合の目安 |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 | 合計所得金額62万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族(19歳以上23歳未満) | 合計所得金額62万円超123万円以下 | 136万円超197万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 合計所得金額62万円超133万円以下 | 136万円超207万円以下 |
| 勤労学生 | 合計所得金額89万円以下 | 163万円以下 |
前年は所得要件を超えて控除の対象外だった家族でも、令和8年分では対象となる可能性があります。前年の判定を引き継がず、改めて確認しましょう。
改正により新たに扶養親族等の要件を満たす家族がいる場合は、扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。国税庁のQ&Aでは、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載してもらう取り扱いが示されています。
また、家族の給与収入から所得を計算するときは、改正後の給与所得控除を使う点にも注意が必要です。例えば、配偶者の給与収入が前年と同じでも、配偶者控除・配偶者特別控除の区分や控除額が変わる場合があります。
19歳以上23歳未満の親族は、合計所得金額62万円以下なら扶養控除(特定扶養親族)の対象です。62万円超123万円以下の場合は、特定親族特別控除の対象となります。控除額は親族の所得に応じて63万円から3万円まで段階的に変わるため、対応表で確認しましょう。
生命保険料控除の特例に必要な家族情報を確認したか
令和8年分・令和9年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例が適用されます。新生命保険料(一般生命保険料のうち新契約分)の控除額の上限が、4万円から6万円に引き上げられる特例です。
旧生命保険料と特例の対象となる新生命保険料の両方を支払っている場合も、一般生命保険料控除の上限は6万円です。介護医療保険料・個人年金保険料の控除額や、生命保険料控除全体の上限12万円は変わりません。
この特例は、保険の契約情報だけでは判定できず、従業員に23歳未満の扶養親族がいるかどうかで適用が決まります。そのため、保険料控除申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」欄と、扶養親族の年齢・所得要件をあわせて確認しましょう。
令和8年分では、平成16年1月2日以後に生まれた扶養親族が対象となります。ここでいう扶養親族には、扶養控除の対象とならない16歳未満の子も含まれます。扶養控除の対象人数だけで判断すると、特例の適用漏れにつながるため注意しましょう。一方、所得要件(合計所得金額62万円以下)を超える家族は扶養親族に該当しません。
参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁
参考:令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし|国税庁PDF
【従業員向け】書類提出前に使える年末調整チェックリスト

企業側でいくら確認を徹底しても、提出された申告書に不備が多ければ、差し戻しや問い合わせの対応に時間を取られてしまいます。従業員自身が提出前にセルフチェックできるよう、申告書の配付時にチェックリストを同封しておくと効果的です。
ここでは、「必要な申告・提出書類を確認するチェックリスト」と「提出前チェックリスト」の2種類を紹介します。自社の運用に合わせて、提出方法や締切、問い合わせ先などを書き加えて活用してください。
【従業員向け】必要な申告・提出書類を確認するチェックリスト
| 確認する質問 | チェック欄 | 「はい」の場合の対応 |
|---|---|---|
| 今年、入社前にほかの勤務先で給与を受け取りましたか | □はい □いいえ □不明 | 前職の源泉徴収票を提出する。未取得の場合は会社へ連絡する |
| 今年、住所・氏名・家族構成に変更がありましたか | □はい □いいえ □不明 | 変更後の情報を申告書へ記入する。提出済みの場合も会社へ伝える |
| 配偶者について控除を申告しますか | □はい □いいえ □不明 | 配偶者の今年の収入・所得見込額を確認し、配偶者控除等申告書へ記入する。収入が前年と同じでも、令和8年分は控除額が変わる場合がある |
| 生活費を負担している子ども・親などの家族がいますか | □はい □いいえ □不明 | 年齢・所得見込額などを確認し、扶養控除等申告書の該当欄へ記入する。16歳未満の子も指定の欄を確認する |
| 前年は収入が多く扶養の対象外だった家族で、今年の給与収入が136万円以下(給与収入のみの場合)の人はいますか | □はい □いいえ □不明 | 令和8年分の改正で扶養控除等の対象となる可能性があるため、会社へ連絡し、扶養控除等(異動)申告書を提出する |
| 生活費を負担している19歳以上23歳未満の子ども・兄弟姉妹などに、アルバイト等の収入がありますか | □はい □いいえ □不明 | 扶養控除または特定親族特別控除の対象になるか確認し、該当する申告欄へ記入する |
| 自分や扶養する家族に障害がありますか | □はい □いいえ □不明 | 障害者控除の対象になるか確認し、該当欄へ記入する |
| 配偶者がいない状態で子どもを扶養している、または配偶者と離婚・死別したなどの事情がありますか | □はい □いいえ □不明 | ひとり親控除・寡婦控除の対象になるか確認し、該当欄へ記入する |
| 働きながら学校に通っていますか | □はい □いいえ □不明 | 勤労学生控除の対象になるか確認し、該当欄へ記入する |
| 控除を申告する配偶者・親族が海外に住んでいますか | □はい □いいえ □不明 | 親族関係書類・送金関係書類など、必要書類を会社へ確認して提出・提示する |
| 自分で生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払いましたか | □はい □いいえ □不明 | 保険料控除申告書へ記入し、必要な控除証明書を提出・提示する |
| 生命保険料控除を申告し、かつ23歳未満の扶養親族(16歳未満の子を含む)がいますか | □はい □いいえ □不明 | 保険料控除申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」欄を確認・記入する |
| 自分で地震保険料や、控除対象となる旧長期損害保険料を支払いましたか | □はい □いいえ □不明 | 保険料控除申告書へ記入し、控除証明書を提出・提示する |
| 給与天引き以外で、自分や生計を一にする家族の国民年金・国民健康保険料などを支払いましたか | □はい □いいえ □不明 | 自分が支払った対象額を保険料控除申告書へ記入する。国民年金・国民年金基金は証明書も提出・提示する |
| 給与天引き以外でiDeCoや小規模企業共済などの対象掛金を支払いましたか | □はい □いいえ □不明 | 保険料控除申告書へ記入し、払込証明書を提出・提示する |
| 住宅ローン控除を受けますか | □はい □いいえ □不明 | 初年度は確定申告をする。2年目以降は、必要書類を会社へ確認して提出する |
| 今年の給与収入が850万円を超え、23歳未満の扶養親族がいる、本人や配偶者、扶養親族が特別障害者であるなどの条件に該当しますか | □はい □いいえ □不明 | 所得金額調整控除申告書の該当欄へ記入する |
【従業員向け】年末調整書類の提出前チェックリスト
| チェック欄 | 提出前の確認事項 |
|---|---|
| □ | 氏名・住所などの必須項目を記入した |
| □ | 前年の申告書の内容をそのまま書き写さず、今年の状況で記入した |
| □ | 基礎控除を受ける場合、本人の今年の所得見込額を記入し、令和8年分の控除額を確認した |
| □ | 本人・家族の収入は、年末までの見込みを含めて確認した |
| □ | 給与の「収入金額」には手取り額ではなく税金・社会保険料が引かれる前の金額を記入し、「所得金額」には申告書の計算欄で求めた金額を記入した |
| □ | 保険料控除申告書には、控除証明書の「申告額」(年末までの支払見込額)と実際の年間支払額に相違がないかを確認して記入した |
| □ | 保険料控除申告書に、給与から差し引かれた社会保険料やiDeCoの掛金を記入していない |
| □ | 会社から案内された書類一覧を確認し、自分の申告に必要な証明書を揃えた |
| □ | 書き間違えた箇所は修正液・修正テープを使わず、二重線で訂正した |
| □ | 不明な項目や、締切までに用意できない書類を会社へ相談した |
| □ | 令和9年分の扶養控除等申告書もあわせて提出する場合、令和8年分の申告書と取り違えずに記入した |
| □ | 共働きの場合、同じ子どもを夫婦の両方で扶養控除や特定親族特別控除の対象として申告していない |
1つ目のチェックリストは、「どの申告書のどの欄に記入が必要か」を従業員自身が把握するためのものです。「不明」にチェックが入った項目は、担当者が個別に確認すると、申告漏れを早い段階で拾えます。
2つ目のチェックリストは、記入を終えた申告書を提出する直前の最終確認用です。令和8年分は控除額や判定基準が前年と異なるため、前年の申告書を書き写さないよう強く呼びかけましょう。
年末調整でミスが見つかった場合の訂正方法
チェックリストを活用しても、記入ミスや申告漏れを完全に防ぐのは難しいものです。ミスが見つかったときに慌てないよう、発覚したタイミングごとの対応方法を押さえておきましょう。
年末調整のやり直しの手順については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:年末調整後に修正が必要になったら?時期別の対処方法(年末調整のやり直し・確定申告)を解説 | レコルブログ
申告書の記入ミスはどう訂正する?訂正印の有無
年末調整の計算前に申告書の記入ミスが見つかった場合は、従業員本人に訂正を依頼するのが原則です。国税庁の「令和8年分 年末調整Q&A」でも、記載誤りがあれば従業員に訂正を依頼するよう示されています。
訂正の方法は、誤った箇所に二重線を引き、その近くに正しい内容を書き添えるのが一般的です。修正液や修正テープを使うと、訂正前の記載が確認できなくなるため避けましょう。
訂正印は、法令上は必要ありません。令和3年4月1日以後に提出する扶養控除等申告書などの年末調整関係書類は、押印が不要とされているためです。ただし、社内ルールで訂正印を求めている企業もあるため、自社の運用に合わせて案内しましょう。
担当者が独自の判断で申告内容を書き換えるのは避けるべきです。誤字や明らかな転記ミスなど軽微な誤りを担当者が補正する場合も、必ず本人に内容を確認しましょう。
年末調整後にミスが見つかったら会社でやり直せる?
年末調整が終わった後に、次のようなミスや状況の変化が判明することがあります。
- 生命保険料控除などの申告漏れ
- 年末調整後に支給した給与・賞与の集計漏れ
- 12月中の出産などによる扶養親族の異動
- 配偶者控除等申告書の提出漏れ
- 給与の集計・入力ミス
- 配偶者や本人の合計所得金額の見積額と、確定した金額との差
- 住宅借入金等特別控除申告書の提出漏れ
これらは、源泉徴収票を交付する前、かつ翌年1月末日までなら、企業で年末調整をやり直す(再調整する)ことができます。扶養親族の判定基準は、12月31日時点の現況です。例えば、12月中に子が結婚して控除対象扶養親族から外れた場合は、異動の申告を受けて再計算します。
なお、年末調整後に子が生まれても、16歳未満の子は扶養控除の対象外です。ただし、給与収入が850万円を超える従業員は、子の出生で所得金額調整控除の対象となる場合があります。所得金額調整控除申告書の提出を受ければ、再計算が可能です。23歳未満の扶養親族がほかにいなければ、生命保険料控除の特例が新たに適用されることもあります。
●年末調整をやり直す場合
やり直す場合は、正しい内容で年税額を再計算し、精算済みの金額との差額を翌月の給与で還付または徴収します。差額を源泉所得税の納付額に反映させることも必要です。
年末調整の時点で控除証明書が未提出だった保険料にも注意が必要です。翌年1月末日までに提出がない場合は、その保険料を除いて再計算し、不足額を徴収します。
すでに交付した源泉徴収票に誤りがあった場合は、正しい源泉徴収票を作成し、「再交付」と表示して従業員に交付し直します。税務署や市区町村へ提出済みの場合は、訂正分の提出も必要です。
従業員の確定申告が必要になるのはどのような場合?
翌年2月1日以降に控除の申告漏れなどがわかった場合、企業では年末調整をやり直せません。その場合は、従業員本人が確定申告をして精算します。還付を受けるための申告(還付申告)は、確定申告期間に関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出が可能です。
また、次のような控除は年末調整では受けられず、適用を受けるには確定申告をしなければなりません。
- 医療費控除
- 寄附金控除(ふるさと納税でワンストップ特例を利用しない場合など)
- 雑損控除
- 住宅借入金等特別控除の初年度分
このほか、給与収入が2,000万円を超える人や給与以外の所得が20万円を超える人なども、確定申告が必要です。年末調整の時期に「年末調整では対応できない控除」をあわせて案内しておくと、従業員からの問い合わせ対応も軽くなるでしょう。
ただし、企業の計算ミスで源泉徴収税額が不足していた場合は、従業員の確定申告では対応できません。源泉徴収義務者である企業が、不足額を納付する必要があります。
過年度のミスや税務署からの指摘にはどう対応する?
過年度の年末調整の誤りは、源泉所得税の税務調査で指摘されるケースが中心です。年末調整の申告書一式は税務署へ提出されないため、細かな誤りは調査で把握されることが多いからです。
このほか、納付書の内容や納付状況に不自然な点があれば、税務署から電話や通知で照会が入ることもあります。この照会は納付の都度の確認のため、通常はその年の分が対象です。
また、給与支払報告書を受け取る市区町村が、扶養人数の不整合などから誤りに気づく場合もあります。ただし、源泉所得税の是正を指導するのは、あくまで税務署(または国税局)です。
●税務調査でさかのぼる期間
税務調査では直近3年分程度を確認するのが一般的です。同じ誤りが続いている場合などは、5年程度までさかのぼって是正を求められることもあります。
源泉所得税の徴収権は原則5年で時効となるため、それ以上はさかのぼりません。ただし、故意に過少納付していた場合などは、偽りその他不正の行為として7年分が対象となることがあります。
●源泉徴収税額が不足していた場合
不足額が判明したら、正しい年税額を再計算し、税務署から指摘を受ける前に自主的に納付しましょう。不足額は従業員から徴収して精算します。
不納付加算税は原則10%です。納税の告知を予知する前に自主納付すれば5%に軽減され、一定の要件を満たせば課されません。
延滞税は法定納期限の翌日から納付日までの期間に応じてかかるため、納付が遅れるほど負担が増える点に注意が必要です。延滞税は1,000円未満ならかからず、加算税や延滞税そのものにも延滞税は課されません。まずは本税の納付を最優先にしましょう。
●源泉徴収税額を納め過ぎていた場合
年末調整の計算誤りなどで企業が源泉所得税を過大に納付していた場合は、企業が還付・充当の手続きをするのが原則です。
「誤納額還付請求書」で還付を受けるか、「誤納額充当届出書」で以後の納付額に充当し、従業員へ返金します。納付した日から5年を過ぎると、手続きができない点にも注意が必要です。
一方、従業員の控除漏れなどで納め過ぎとなり、再年末調整もできない場合は、本人の還付申告で精算します。すでに確定申告をしている場合は、更正の請求による対応です。
どちらで是正するかはケースによりますが、年末調整の計算誤りであれば、税務署も企業側での是正を指導します。
過年度の訂正は、加算税や住民税への影響など判断が複雑になりやすい分野です。顧問税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
参考:No.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき|国税庁
参考:6 年末調整後に給与の追加払や扶養親族等の異動があった場合の再調整|国税庁PDF
レコルの年末調整機能で入力・確認の手間を減らそう
紙の申告書を目視で確認してExcelに転記する方法では、記入ミスや転記ミス・提出状況の管理漏れが起こりやすくなります。従業員数が増えるほど、チェックリストを使った確認作業そのものが大きな負担になりがちです。
レコルの年末調整機能を使えば、年末調整の手続きをWeb上で完結でき、紙の書類の配付・記入が不要になります。従業員はPCやスマートフォンから必要な情報を入力するだけで、手続きが完了します。人事担当者は提出状況をWeb上で把握できるため、未提出者への催促もスムーズです。
申告書の転記や回収状況の管理にかかる手間を減らし、内容の確認に時間を使いたい場合は、ぜひ導入を検討してみてください。
関連リンク:年末調整|勤怠管理システムの「レコル」
まとめ
年末調整のミスは、従業員の申告段階と、企業の入力・計算段階の両方で起こります。ミスを防ぐには、業務の流れに沿ったチェックリストでの確認と、従業員による提出前のセルフチェックが効果的です。
令和8年分は、基礎控除や扶養親族等の所得要件などが変わり、生命保険料控除の特例も始まる年です。前年の計算表や判定結果をそのまま使わないよう、とくに注意しましょう。
万が一ミスが見つかった場合も、翌年1月末日までであれば企業で年末調整をやり直せます。本記事のチェックリストを、令和8年分の年末調整の準備と確認にお役立てください。
プロフィール

長澤 千晴(特定社会保険労務士/産業カウンセラー/ライター) |
| 長澤アンカー社会保険労務士事務所 代表 HR専門のコンテンツマーケティング「人事ライター」所属 大学卒業後、大手旅行会社に入社し、団体旅行営業・添乗業務を担当。その後、出版業界に転身し、月刊誌・隔週刊誌・週刊誌及び書籍・ムックの編集に従事。 |
https://jinjiwriter.com/author/Chiharu
記事監修
神崎 遊(ゆとり税務会計 代表税理士/ライター)
HR専門のコンテンツマーケティング「人事ライター」所属
https://jinjiwriter.com/author/yutori
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